“円安時代”の腕時計の選び方とは。プロが見極める「アンダー30万円」の良質時計5選
&GP / 2024年12月30日 21時0分
“円安時代”の腕時計の選び方とは。プロが見極める「アンダー30万円」の良質時計5選
【2024年人気アイテム総まとめ】
「時計が高い!」2024年は、こんな嘆きが多く聞かれる一年だった。原材料費や人件費の高騰に加え、円安とスイスフラン高が重なり、日本におけるスイス時計の価格が急上昇したことが背景にある。約10年前、スイス国立銀行は市場介入を行い、1スイスフランが100円を超えることはなかったが、その政策が終了して以降、スイスフラン高が止まらず、現在では1スイスフランが約170円に達している。この状況では、スイス時計の価格上昇も避けられない。
そんな中、ミドルレンジ価格帯の時計がさらに注目を集めそうだ。ここでいう“ミドルレンジ”とは、全体の価格底上げを反映し、10万円から30万円の範囲を指す。この価格帯であれば、納得のクオリティと語れるストーリーを持つ時計に出会える可能性が高く、十分な満足感を得られるだろう。
注目されるのは、為替の影響を受けにくい国産ブランドだが、スイスのブランドにも、ミドルレンジを意識して優れた時計を生み出しているものが少なくない。気骨のあるブランドがこの価格帯で提供する時計には、コスト以上の価値を感じられるものが多い。
時計の価値は、単なる価格では語れない。しかし、手頃な価格で質の高い時計を見つけたとき、自分のセンスが評価されたような気持ちになれるものだ。時計高騰の時代だからこそ“光る”ミドルレンジの秀作時計を探し出し、自分だけの逸品を手に入れてほしい。
1. 時代を超えた洗練美。“東京モダン”を宿すキングセイコーの新たな姿
キングセイコー
「SDKS029」24万2000円
▲キャリバー6R51 メカニカル 自動巻(手巻つき)、+25秒~-15秒、ステンレスケース、ケース径36.1mm、厚さ11.6mm、日常生活用強化防水(10気圧)、パワーリザーブ約72時間(最大巻上時)
1960年代に第二精工舎・亀戸工場で製造されていた「キングセイコー」。その中でも傑作とされる“KSK”モデルを、現代的にデザインしたのが本モデルである。シャープな平面を組み合わせた稜線は、亀戸工場が得意としたレディースウオッチの繊細なデザインを彷彿とさせるものであり、後のグランドセイコーのデザインにも多大な影響を与えたと推測される。
切れ味のある針のデザインは、視認性の高さとモダンな雰囲気を両立させており、クラシックな王道ウオッチとしての風格を漂わせる。
ニュアンス豊かなアイビーグリーンのダイヤルは、控えめながらも印象的な存在感を放つ。ムーブメントには自社製のCal.6R51を搭載し、約72時間のパワーリザーブを実現。
さらに、ケース径は36.1mmと小ぶりで、さまざまなファッションスタイルに馴染む点も魅力的だ。
>> キングセイコー
2. 本格スペック×都会的デザイン。「SBDC203」が描く新たなダイバーズ像
セイコー プロスペックス
「SBDC203」17万6000円
▲キャリバー6R55 メカニカル 自動巻(手巻つき)、日差+25秒〜−15秒、ステンレスケース、ケース径41.3mm、厚さ12.5mm、300m空気潜水用防水、パワーリザーブ約72時間(最大巻上時)
国産ダイバーズの象徴であるセイコー。その伝統を継ぐ「プロスペックス」は、ツールウオッチとしての機能美を追求し、多くの支持を集めている。一方で、ダイビングコンピューターの進化に伴い、ダイバーズウオッチはライフスタイルに寄り添うタフウオッチへと新たな価値を確立している。
本モデルは、空気潜水用防水300mという本格的なスペックを備えつつ、ケースの磨き上げやベゼル、ダイヤルのデザインに細部までこだわりぬいた一本。そのため、水中での使用はもちろん、ビーチサイドのカフェや都会的なビジネスシーンにも映えるデザインが特徴となっている。
ムーブメントには、自社製のCal.6R55を搭載し、約72時間のロングパワーリザーブを実現。実用性とデザイン性を両立させた一本として、さまざまな場面で活躍すること間違いなしだ。
>> セイコー プロスペックス
3. 「GPHG」で大きな話題を呼んだレイモンド・ウェイルの新生ドレスウォッチ
RAYMOND WEIL(レイモンド ウェイル)
「ミレジム 35mm」28万6000円
▲キャリバーRW4200 メカニカル 自動巻(手巻つき)、SSケース(ストラップはカーフレザー)、ケース径35mm、厚さ9.18mm、5気圧防水、パワーリザーブ約41時間(最大巻上時)
世界中の時計関係者やジャーナリストの投票で決定される、時計界の最高権威「ジュネーブ時計グランプリ(GPHG)」で注目を集めたレイモンド ウェイルの「ミレジム」。
その最大の特徴は、時分秒がそれぞれ異なるインデックスで読み取れる「セクターダイヤル」だ。1930年代に流行したこのデザインに、シャープな針を組み合わせることで、レトロさとモダンさを絶妙に融合させている。
ケース径は35mmと小径にまとめられ、レトロな雰囲気を強調。一方で、シルバーダイヤルとグレーストラップによるモノトーン配色が洗練された印象を引き立てている。デザインは普遍的で、時代を超えて愛用できる魅力を備えたこの時計は、ミドルレンジの価格帯とは思えない完成度だ。
レイモンド ウェイルらしい伝統と革新の融合が詰まった「ミレジム」は、クラシカルな装いにもモダンなスタイルにもマッチし、時計好きの心をくすぐる逸品といえるだろう。
>> RAYMOND WEIL
4. “フォージドカーボン”で魅せる、価格以上の価値を実現するティソの新作
TISSOT(ティソ)
「PRX パワーマティック 80 40mm カーボン」15万4000円
▲キャリバー11 1/2''' メカニカル 自動巻(手巻つき)、フォージドカーボン、ケース径40mm、厚さ11.23mm、10気圧防水、パワーリザーブ約80時間(最大巻上時)
時計の価格は、使用する素材やムーブメントのスペックと深い相関関係がある。しかし、その常識を覆すのがティソ「PRX パワーマティック 80 カーボン」だ。PRXは1970年代に誕生したスポーツウォッチを現代的にブラッシュアップしたシリーズ。
そのムーブメントである「パワーマティック 80」は、最長80時間というロングパワーリザーブを実現し、非磁性素材であるシリコン製ヒゲゼンマイを採用することで高い耐磁性能も備えている。さらにケースには軽量かつ頑丈なフォージドカーボンを採用し、独特のマーブル模様と質感時計に迫力を加える。
歴史的デザイン、優秀なムーブメント、特殊素材という3拍子が揃いつつ、この価格帯を実現できるのは、ティソが世界最大級の時計ブランドであることに由来する。
スケールメリットを生かした製品だからこそ、価格以上の価値を感じさせる一本に仕上がっているのだ。
>> TISSOT
5. 控えめだからこそ映える。チューダー「1926」の洗練デザイン
TUDOR(チューダー)
「1926」26万9500円(※)
▲キャリバーT601 メカニカル 自動巻(手巻つき)、SSケース、ケース径36mm、厚さ9.2mm、100m防水、パワーリザーブ約38時間(最大巻上時)
タフウォッチの名門として高い人気を誇るチューダー。F1チームやヨットチームとのコラボレーションや、高性能ムーブメントの搭載で常に注目を集めているが、スポーツ系だけではなく、ドレスウォッチの分野でも秀作が揃う。
本モデルは、ブランドの創設年である1926年にオマージュを捧げたもので、シンプルかつ端正なデザインが魅力だ。センターセコンドとカレンダーという普遍的な組み合わせが、タイムレスな美しさを感じさせる。
ユニークなポイントは、その豊富なサイズ展開にある。28mm、36mm、39mm、41mmの4サイズをラインナップし、好みに合わせて選べる自由度が高い。
中でも筆者のおすすめは36mm。腕にしっくりと馴染むサイズ感に加え、ケース厚9.2mmと非常に薄いため、シャツの袖口とも干渉しにくく、日常使いにも最適だ。
シンプルで実用性の高い「1926」は、デザインと機能性のバランスが絶妙な一本と言える。
※2025年1月1日より28万1600円となります
>> TUDOR
<画像提供/SEIKO、RAYMOND WEIL、TISSOT、TUDOR>
監修・執筆/篠田哲生
男性誌の編集者を経て独立。コンプリケーションウォッチからカジュアルモデルまで、多彩なジャンルに造詣が深く、専門誌からファッション誌まで幅広い媒体で執筆。時計学校を修了した実践派でもあり、時計関連の講演も行う。
【関連記事】
◆ゴールドカラーが一際目を引く「シチズン シリーズエイト」GMTモデル
◆時計になっても神出鬼没!? ダイヤルにあしらわれたバンクシーのアートが見られる条件とは
◆GPSウォッチもここまで来た!ガーミン「MARQ」の新作はダマスカス鋼製の武骨さが魅力
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
日本の美意識をダイヤルに宿したキングセイコー、2つのコレクション
マイナビニュース / 2025年1月3日 10時0分
-
グランドセイコーの秋冬新作、限定モデルもまだ買える!
マイナビニュース / 2025年1月2日 10時0分
-
歴史を感じる“温もりのある”アイテムへ - 2024年、そして2025年の腕時計トレンド
マイナビニュース / 2024年12月30日 11時45分
-
グランドセイコーブティック限定モデル、製造工場・岩手に広がる春の情景がダイヤルに
マイナビニュース / 2024年12月18日 22時0分
-
今売れている「セイコーの機械式腕時計」おすすめ&ランキング 2万円台から!【2024年12月版】
Fav-Log by ITmedia / 2024年12月12日 17時45分
ランキング
-
1元銀行員は見た!「老後貧乏」になる人の特徴
オールアバウト / 2025年1月4日 20時30分
-
2使用していない「iPhoneアプリ」はこまめに終了させるべき? 実は逆効果な可能性も……!?
オールアバウト / 2025年1月4日 20時35分
-
3ストローが万能アイテムだったとは! ぐちゃぐちゃコード類すっきり キーホルダー装着もカンタン
まいどなニュース / 2025年1月4日 16時0分
-
4軽自動車は「車庫証明がいらない」「無くても納車できる」って本当? 実は「罰金10万円」の可能性も! 知らないと「ヤバすぎる」手続きの必要性とは
くるまのニュース / 2025年1月4日 14時10分
-
5「デートのつもりで行ったのに…」恋愛経験ゼロの20代女性が、婚活で“心底ガッカリした”理由
女子SPA! / 2025年1月4日 15時47分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください