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本当の腕時計好きは“中身”で選ぶ?良質なムーブメントを搭載した本格時計をプロが徹底解説!

&GP / 2025年1月5日 22時0分

本当の腕時計好きは“中身”で選ぶ?良質なムーブメントを搭載した本格時計をプロが徹底解説!

本当の腕時計好きは“中身”で選ぶ?良質なムーブメントを搭載した本格時計をプロが徹底解説!

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時計を動かすエンジンである「ムーブメント」は、デザインと並んで時計選びの重要なポイントだ。ムーブメントの良し悪しは時計のクオリティに直結し、使い勝手にも大きな影響を与える。そのため、多くの名門ブランドはムーブメント開発に力を注ぎ、時計の進化を追求している。

こうした新型ムーブメントの開発には膨大な時間とコストがかかるため、ムーブメント自慢の時計はどうしても高価になる傾向がある。それでも、高品質でありながら手頃な価格を実現した、ムーブメントに自信を持つ時計も存在する。

ここで注意したいのは、必ずしも機械式ムーブメントだけが良質なムーブメントの“正解”ではないということだ。一般的に安価と思われがちなクオーツ式ムーブメントにも、技術的に優れたキャリバーは存在するし、オールドスクールな手巻き式ムーブメントも現代的に進化している。また、ユーザーの使い勝手を向上させるロングパワーリザーブ化や耐磁性能の強化といった機能も注目に値する。

結局のところ、“高品質なムーブメント”とは、ユーザーフレンドリーなムーブメントのことなのだ。時計選びでは、性能と使い心地を両立させたムーブメントに注目したい。

監修・執筆/篠田哲生
男性誌の編集者を経て独立。コンプリケーションウォッチからカジュアルモデルまで、多彩なジャンルに造詣が深く、専門誌からファッション誌まで幅広い媒体で執筆。時計学校を修了した実践派でもあり、時計関連の講演も行う。

 

【1本目】機能と美の融合。年差±5秒の超精密時計

シチズン
「ザ・シチズン AQ4091-56M」44万円

▲キャリバーA060(光発電エコ・ドライブ)、年差±5秒、スーパーチタニウム、ケース径40mm、厚さ12.2mm、10気防水、パワーリザーブ約1.5年(パワーセーブ作動時)、1種耐磁、夜光

シチズンが誇る年差クオーツは、時間をかけて厳選された良質な水晶振動子を採用し、さらに温度変化による振動のズレを補正するため、ICにプログラムが組み込まれている。内部センサーが温度を監視し、正確に補正を行うことで、一年間の誤差はわずか±5秒という驚異的な精度を実現している。この高度な技術を、光発電技術「エコ・ドライブ」で駆動させている点も驚きだ。

高精度クオーツの最大のメリットは、正確な時間が常にわかることだ。忙しいビジネスマンにとって、一分一秒も無駄にできない場面は多い。そのため、「ザ・シチズン」は時間の価値を知る人々から高く評価されている。

しかし、「ザ・シチズン」の魅力は、単なる機能性だけにとどまらない。このモデルでは、土佐和紙を藍染めしたダイヤルを採用。光を透過しながらも、美しい表情を生み出す独特の質感が特徴だ。機能的でありながら、感性を揺さぶるデザインも楽しめる、まさに理想の一本だろう。

>> ザ・シチズン

【2本目】時計好きが唸る! 語れるポイント満載な1本

HAMILTON(ハミルトン)
「カーキ フィールド マーフ オート 38mm」13万6400円

▲キャリバーH-10 メカニカル 自動巻(手巻つき)、日差±10秒、ステンレスケース、ケース径38mm、厚さ11.1mm、10気圧防水、パワーリザーブ約80時間(最大巻上時)

機械式ムーブメントの実用性を大きく左右するのは、パワーリザーブ、つまり連続駆動時間である。駆動時間が長いほど、動力ゼンマイが発するトルクが安定しやすく、高い精度を維持できる。

さらに、長い持続時間を備えた時計であれば、金曜の夜に帰宅して時計を外し、休日を家でのんびり過ごしても、月曜の朝まで正確に時を刻み続ける。これは、ユーザーにとって大きなメリットとなる。

しかし、持続時間を長くするには、動力ゼンマイの体積を大きくする必要がある。そのため、人気のSF映画をモチーフにした「カーキ フィールド マーフ オート」に搭載される自動巻きムーブメントH-10の優秀さには驚かされる。

標準持続時間は80時間を誇りながら、ケース径は38㎜という好バランスを実現している。カレンダーのないシンプルなデザインながら、語るべきポイントが多く詰まった時計である。

>> HAMILTON

【3本目】機械式腕時計の真髄を堪能。グランドセイコーが贈る「巻き上げ」の美学

Grand Seiko(グランドセイコー)
「SLGW003」152万9000円

▲キャリバー9SA4 メカニカル 手巻、日差+5秒〜-3秒、ブリリアントハードチタン、ケース径38.6mm、厚さ9.95mm、日常生活用防水、パワーリザーブ約80時間(最大巻上時)

機械式ムーブメントには、自動巻き式と手巻き式の2種類がある。自動巻き式のメリットは、着用している限りゼンマイが常にフル巻き上げ状態を保ち、安定したトルクを発揮できる点にある。

一方、手巻き式は定期的にゼンマイを手動で巻き上げる必要があるため、手間だと敬遠する人も少なくない。

しかし、グランドセイコーはこの「ゼンマイを巻き上げる」という行為に注目した。Cal.9SA4は80時間というロングパワーリザーブを実現しているが、その分ゼンマイを巻き上げる際の感触はやや重め。しかしながら、この重みが手巻き時計ならではの良好な操作感を生み出している。

また、ゼンマイの巻き戻りを防ぐ「コハゼ」というパーツには、山間部に多く生息する鳥「セキレイ」の姿を模しており、巻き上げ時にはセキレイがついばむような動きを見せる。このディテールが、操作に楽しさを添えている。このモデルは、ムーブメントを眺めながらゼンマイを巻き上げ、時計との対話を楽しむためのもの。手巻き時計ならではの深い味わいを堪能できる逸品である。

>> Grand Seiko

【4本目】視覚で楽しむ時計の時間。ロンジン独自のパワーリザーブ機構が生む表情の変化

LONGINES(ロンジン)
「コンクエスト ヘリテージ セントラル パワーリザーブ」59万5100円

▲キャリバーL896 メカニカル 自動巻(手巻つき)、SSケース、ケース径38mm、厚さ12.30mm、5気圧防水、パワーリザーブ約72時間

時計にはさまざまな付加機構が存在する。最も一般的なものはカレンダー機構だが、動きを楽しめる機構として挙げられるのが「パワーリザーブ表示」だ。

この機構は動力ゼンマイの残量を視覚的に示すもので、実用性だけでなくデザイン面でも重要な役割を果たしている。ブランドごとに設置位置やデザインが異なるため、ダイヤルの印象を大きく左右する要素にもなる。

本モデルは、二重回転ディスクを用いたユニークなパワーリザーブ表示を搭載している。外周にはムーブメントの残量を示す目盛りを配し、内側にはパワーリザーブインジケーターを配置して残量を正確に読み取れる仕組みだ。中央にパワーリザーブを配置することで、刻一刻と変化するダイヤルの表情を楽しむことができる。

搭載されたムーブメント「Cal.L896」は、モノクリスタルシリコン製ヒゲゼンマイを採用し、約72時間のパワーリザーブを誇る高性能ムーブメントである。しかし、このモデルの真価は、その技術だけにとどまらない。精巧な機構が生み出す、常に変化し続ける一期一会のダイヤルの表情こそが、この時計を唯一無二の存在たらしめている。

>> LONGINES

【5本目】耐磁性&超ロングパワーリザーブを誇るオリスの新境地

ORIS(オリス)
「アクイスデイト キャリバー400 アップサイクル」63万8000円

▲キャリバー400 メカニカル 自動巻(手巻つき)、+5秒〜-3秒、SSケース、ケース径43.5mm、厚さ12.30mm、30気圧防水、パワーリザーブ約120時間(最大巻上時)、耐磁(ISO764)

1969年にセイコーが次世代ムーブメントとして発表したクォーツ式ウォッチは、時計業界に革命をもたらし、機械式ムーブメントは一気に時代遅れと見なされるようになった。そんな中、機械式時計の価値を信じ続けた数少ないブランドの一つがORIS(オリス)だ。

1904年の創業以来、手の届きやすい価格で良質な時計を作り続けてきたオリスは、クォーツ式に流されることなく、機械式時計にこだわり続けた。この姿勢は、「価格以上の価値を提供したい」というブランドの信念を如実に物語っている。

価格を意識しつつ汎用ムーブメントを多用する一方で、オリスはブランドのアイデンティティを体現する自社製ムーブメントの開発にも注力している。代表的なCal.400は、5日間のパワーリザーブ、耐磁性能、そして10年間のメンテナンスフリーを実現し、ユーザーにとって大きなメリットを提供している。

また、本モデルにおいては、収集された海洋プラスチックをアップサイクルし、美しいダイヤルとして再利用。環境意識とデザイン性を兼ね備えたこのモデルは、ムーブメント、デザイン、ブランドの理念が理想的に融合した時計といえる。

>> ORIS

<画像提供/CITIZEN、Grand Seiko、HAMILTON、LONGINES、ORIS>

 

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