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格安SIMへの乗り換え前に知っておきたい5つの落とし穴

&GP / 2016年11月22日 19時0分

格安SIMへの乗り換え前に知っておきたい5つの落とし穴

格安SIMへの乗り換え前に知っておきたい5つの落とし穴

大手キャリアよりも安くスマホを使える“格安SIM”が、じわじわと広がっています。総務省が9月30日に公表したデータによると、今年の6月末で、MVNO(仮想移動体通信事業者)の契約回線数は1346万件。このうちSIMカード型(いわゆる格安SIM)の契約数は678万件に達したそうです。依然として増加傾向にあり、早ければ来年度中に、格安SIMのユーザー数は1000万人を超えるかもしれませんね。

格安SIMに乗り換えると、データ通信料がぐ〜んと安くなります。使い方や契約するプランにもよりますが、おそらく大手キャリアの1/3〜1/5程度になるでしょう。通話料も「5分かけ放題」といったオプションサービスが広がり、長電話をしなければ、キャリアよりも安く抑えられるようになってきました。利用する回線は大手キャリアのものなので、通信・通話の品質も心配無用。

もはや「乗り換えなきゃ損じゃん!」と思いがちな格安SIMですが、そのサービス内容は、大手キャリアと「まったく同じ」というわけではありません。あくまでも「ほぼ同等」のサービスを利用できるに過ぎません。契約してから後悔しないように、格安SIMのデメリットも知っておきましょう。

 

【注意1】サポートセンターの電話がつながりにくい

スマホを使っていると「ネットにつながらない」「アップデートできない」など、予期せぬトラブルに遭遇することがあります。設定や使い方に原因がある場合もあるでしょうが、その原因自体が自分では分からなかったりします。端末に問題があるのか、それともネットワーク側に問題があるのかの判断もつかないものです。

そんなときに力になってくれるのが「お客様センター」「お客様サポート」といった窓口です。大手キャリアの場合は、電話をかけると、ていねいに対処方法を教えてくれます。また、近くにドコモショップ、auショップなどのキャリアショップがあれば、そこに出向いて対面で相談することもできます。

MVNOにもユーザー向けの相談窓口があり、ウェブと電話での対応が一般的です。しかし、ほとんどのMVNOはサポートのために、さほど多くの人員を充てていません。ウェブから質問しても、返事が届くのが遅かったり、電話をかけてもなかなかつながらず……ということがありがちです。楽天モバイルやU-NEXTなど、直営店を構える事業者もありますが、店舗数はまだ少ないのが現状です。

MVNOがセット販売するスマホを買った場合を除き、スマホ本体で問題が発生した場合は、スマホのメーカーに問い合わせる必要が生じます。

SIMフリースマホにも1年間のメーカー保証が付く。故障時に連絡するコールセンターの電話番号なども確認しておこう。 SIMフリースマホにも1年間のメーカー保証が付く。故障時に連絡するコールセンターの電話番号なども確認しておこう。

筆者は幸いなことに、SIMフリースマホで致命的な不具合に遭遇したことがありませんが、端末メーカーの修理対応が遅いことに不満を漏らしていた友人は複数います。キャリアは回線と端末をセットで提供するビジネスなので、故障・修理時には代替機を貸してもらえますが、SIMフリースマホのメーカーの対応はまちまちです。代替機を借りられず、スマホを使えない期間が長引いても、MVNOの毎月の利用料は払い続けなくてはなりません。

また、大手キャリアで購入したスマホのSIMロックを解除して使っていた場合、端末メーカーに修理対応の義務はないので、故障時にどこにも修理を依頼できなくなる可能性があるので注意が必要です。

 

【注意2】意外と高い各種手数料

格安SIMには、大手キャリアのような「2年縛り」がなく、フレキシブルに使えそうに思っているかもしれませんが、そうでもないんです。

データ専用SIMの多くは「最低利用期間」を設定していませんが、音声通話SIMには「最低利用期間」があり、この期間内に解約する場合は「解約手数料」が発生します。6カ月の場合は6000円(税抜)、12カ月の場合は9800円〜1万円(税抜)が一般的です。

一部のMVNOは、音声通話SIMでも「最低利用期間」がないことを売りにしています。例えば、イオンモバイル、FREETEL SIM、mineoなどです。イオンモバイルは、いつ解約しても解約手数料は発生しません。ただし、契約後180日以内にMNPで転出した場合は、MNP転出手数料として通常よりも高い8000円(税抜)が請求されます。

イオンモバイルの各種手数料。契約前にウェブサイトの詳細ページも確認しよう。 イオンモバイルの各種手数料。契約前にウェブサイトの詳細ページも確認しよう。

FREETEL SIMも解約手数料はありませんが、利用期間が短いほどMNP転出手数料が高くなる仕組みになっています。mineoも解約手数料はありませんが、12カ月以内にMNPで転出する場合は、1万2420円(税込)が請求されます。

このほか、どのMVNOでも、データ専用SIMから音声通話SIMに変更する場合に、手数料が発生し、家族でシェアするプランでは、SIMを追加する度に手数料が発生します。また、SIM変更に際して、一旦解約して再度契約するという手間が生じるケースもあります。

最近は、大手キャリアのサービスに近づけるために、MVNOでも安心・安全のためのオプションサービスが増えています。格安のデータ通信料とは裏腹に、こうしたオプションは、大手キャリアと同等だったり、むしろ割高なものもあるので、加入には慎重な検討が必要です。

楽天モバイルのオプション・サービスの一例。アドレス帳・写真移行サービス(5000円・税抜)など、結構いい値段のオプションもある。 楽天モバイルのオプション・サービスの一例。アドレス帳・写真移行サービス(5000円・税抜)など、結構いい値段のオプションもある。

 

【注意3】海外ではSIMを差し替える必要が…

大手キャリアのスマホは、海外渡航時に国際ローミングサービスを利用できます。渡航先によっては、定額制でデータ通信を利用でき、国内通話料よりは割高になりますが電話も利用できます。

格安SIMの場合、音声通話SIMの多くは、電話の国際ローミングは利用できます。日本の電話番号のままで着信でき、渡航先からも電話を発信できます。ただし、データ通信のローミングには対応していません。

格安SIMは、そもそも自由にSIMを差し替えられることがメリット。海外に出かけたときは、現地で購入したプリペイド式のSIMも使えます。国・地域にもよりますが、大手キャリアの国際ローミングを利用するよりも圧倒的に安い料金でデータ通信や音声通話ができます。しかし日本向けのスマホの多くは、SIMは1枚しか装着できません。海外のSIMに差し替えると、日本からの電話は受けられなくなってしまいます。

最近は、「デュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS)」という2枚のSIMを差して、その両方で電話の待ち受けができるスマホも増えてきました。

デュアルSIMデュアルスタンバイに対応したASUSのZenFone 3。 デュアルSIMデュアルスタンバイに対応したASUSのZenFone 3。

海外出張・旅行が多い人は、DSDS対応のスマホを持っていると便利です。しかし、海外でのSIMの利用は、予期せぬトラブルに遭遇することもあります。初期設定がうまくいかなったり、認証用に届いた外国語のSMSの意味がわからなかったり、容量が足りなくなった後のチャージができなかったり……。日本でも初めて格安SIMを使う場合には、さまざまな疑問が生じますが、言葉が通じにくい海外では、なおさら疑問が増えることを肝に銘じておくべきでしょう。

 

【注意4】キャリアメールを使えなくなる

当たり前のことですが、格安SIMに乗り換えると、@docomo.ne.jp や @ezweb.ne.jpなどのキャリアメールは使えなくなります。スマホでは、家族や友達との連絡手段として「LINE」が普及しているので、さほど不便を感じることはないはずです。これまでキャリアメールでやり取りしていた人には「Gmailで送ればいいじゃん」と思うかもしれません。

しかし、ガラケーの利用者の多くは、迷惑メールフィルターを設定して、キャリアメール以外のメールの受信を拒否しています。しかも、受信が拒否されたことは、送信者にはわかりません。「メールを送ったはずなのに……」というトラブルが生じないように注意が必要です。対処法としては、相手のメールフィルターの設定を変えてもらうか、電話番号宛てに送るSMSを利用するかのどちらかでしょう。

 

【注意5】LINEのID検索ができなくなる

スマホ同士のコミュニケーション手段として普及している「LINE」も、格安SIMでは少しだけ不便が生じることがあります。

LINEは未成年者が安全に使えるように「年齢確認」という仕組みを導入しています。この年齢確認を行うことによって、LINEの全サービスが利用できる仕組みです。キャリアのスマホでは、キャリアのサポートサイトにログインして認証することで年齢を確認できますが、格安SIMではこれができません。このため、ID(ユーザー名)でほかのユーザーを検索することができません。

LINEのID検索は、全員が使っているサービスではありません。IDを設定しなくても、友達のIDを知らなくても困ることは、まずありません。筆者の場合、飲み会で知り合った人から「IDを教えるのでLINEで繋がってください」とFacebookでメッセージをもらったことがありました。お互いの電話番号を交換していなかったので、LINEの「友だちかも?」にその人の名前が現れることはなく、メールアドレスも知らないので、友だちの招待メールも送れずという状態。しばらくは、LINEで繋がることなく、Facebookメッセンジャーで連絡を取り合っていました。

ですが、その友人と、電話番号もメールアドレスも教え合うことなく、LINEの友だちになることができました。それは「LINEモバイル」を契約したからです。9月からサービスを開始した「LINEモバイル」は、今のところ唯一、年齢確認に対応している格安SIMです。「ID検索は必要」と思う人は、LINEモバイルを選ぶといいでしょう。

LINEモバイルでは「年齢認証」の画面に「LINEモバイルをご契約の方」という選択肢が表示される。 LINEモバイルでは「年齢認証」の画面に「LINEモバイルをご契約の方」という選択肢が表示される。

「通信速度は大丈夫なの?」「格安SIMって、狭い帯域に多くのユーザーを割り当てているのでは?」そんな印象を持っている人もいるかもしれませんね。筆者は、これまでに7社の格安SIMを購入して使っていますが、通信速度に大きな不満を感じたことはありません。もちろん、夕方の繁華街など、混雑する時間帯で速度が遅くなることを感じることはあるのですが、それは大手キャリアでも起こりうること。MVNOによっては「むしろキャリアよりも速いのでは?」と感じることもあります。また「少し前までは快適だったのに……」と思うことも。通信速度や品質は、さまざまな条件に左右される「水物」です。これは、注意のしようがありませんね。

 

(取材・文/村元正剛

むらもとまさかた/ITライター むらもとまさかた/ITライター

iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。

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