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[再現!文学ごはん]エミール・ゾラ『居酒屋』の「仔牛のブランケット」

&GP / 2016年12月15日 21時0分

[再現!文学ごはん]エミール・ゾラ『居酒屋』の「仔牛のブランケット」

[再現!文学ごはん]エミール・ゾラ『居酒屋』の「仔牛のブランケット」

今回は海外文学から。ピックアップするのは1877年に書かれたゾラの『居酒屋』です。

もちろん完全にタイトルで選んだわけですが、決して、とりあえずで生ビールと冷やしトマトを頼んだり、タコブツで冷酒をやったりする小説ではありません。

フランス自然主義の巨頭エミール・ゾラの『居酒屋』は、パリに暮らす貧しい人たちのリアルが、これでもか! これでもか! と描写され続ける小説です。

大まかな筋書はというと、若く可憐な主人公のジェルヴェーズが貧乏のズンドコから浮かび上がりささやかな幸せを手にするものの、最終的に絶望的に堕落してしまう。そんなお話です。

現代の日本でも、多重債務者を描いた漫画作品などが人気を集めていますが、この『居酒屋』に出てくる人々も、その姿にちょっと似ています。

宵越しの銭を持たないどころか、すぐに小金を借ります。

小金を借りると調子に乗ります。

酒に溺れます。

浮気します。

女房を他人と共有したりもします。

やっぱり体を壊します。

不衛生でしどけなく残酷、身持ちが悪くみじめで猥雑。ああもう苦しい。なんとも言えない閉塞感!

そんな若干ムナクソ悪めな小説ではあるのですが、それと同時にやっぱり素晴らしいのです。

洗濯女やブリキ職人、パリの街の底を生きる人たちが隣人のように立体感を持って感じられ、まるでドキュメンタリーを見るような複雑な心の動きを誘います。

さて前置きが長くなりましたが、お料理です。

『居酒屋』には実は明るいシーンも多々あります。貧乏と背中合わせの陽気さで、集まり、酒を飲み、腹一杯食べる「長屋の花見」的パーティーがいくつか出てきて、パリの庶民食や酒飲み食がたくさん描かれます。

今回はその中からフランスの定番ご馳走「仔牛のブランケット」を作ってみました。

 

■さすがフランス!これはワインが進むぞ!

小説の中にはレシピは書かれていないので、圧力鍋1つで作る簡易バージョンでいきます!

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材料は牛肉、野菜類(今回はタマネギ、ニンジン、マッシュルーム、セロリ)、ブーケガルニ、白ワイン、コンソメキューブ、常温のバターと小麦粉を混ぜたもの、卵黄と生クリームを混ぜたもの。

仔牛はスーパーにないので普通の牛を使いました。柔らかな仔牛に近づけるため圧力鍋を使うので、部位はなんでもOK。

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まず圧力鍋のフタをしない状態で、肉を熱湯で茹でこぼし、軽く水洗いします。

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もう一度鍋に水を張り、肉、ブーケガルニ、コンソメキューブ、白ワインをコップに一杯入れてフタをして煮ます。10分ほど圧力をかけたら一旦火を止めます。

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圧力が下がったらフタを開け、野菜類を投入。もう一度フタをし火にかけ、5分ほど圧力!

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再度フタを開け、網じゃくしで肉と野菜を残らず取り出します。

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鍋に残ったスープを、フタを開けたまま沸騰させ、半量になるまで煮詰めます。

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スープが半分になったら、肉と野菜を戻し、小麦粉とバターを混ぜたものと、卵黄と生クリームを混ぜたものを入れて溶かし、フタを開けたまま弱火にかけ少し煮詰めます。

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出来上がり!「普通の牛肉のブランケット」です。

チーズのような濃ゆいコクと、白ワインのかすかな酸味、肉の旨み。かなりワインが進んでしまいそう!

優しいクリームシチューでは飽き足らない大人にオススメしたい一皿です。

【参考・引用元】
>> ゾラ/著、古賀照一/訳『居酒屋』(新潮社)

 

(取材・文/くぼきひろこ

C くぼきひろこ/ライター

美食・カルチャー・ライフスタイル・クルマ・ゴルフ・巷の美女etc……対象は様々に、雑誌・ウェブサイト等の各種媒体にて活動中のフリーライター。「人の仕事のすべて。そして、その仕事から生み出されるすべてのモノゴトが面白い!」と津々浦々の興味津々で取材・執筆を行う。

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