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ワインと餃子を結ぶのは?ソムリエが選んだ赤と白とロゼ

&GP / 2017年4月26日 18時0分

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ワインと餃子を結ぶのは?ソムリエが選んだ赤と白とロゼ

ワインつながりの友人から、「餃子に合わせてソムリエがワインを選んでくれるパーティーがあるんだけど、どう?」というお誘いをいただきました。私も、自宅で餃子を食べる時にワインを合わせたりしますが、ソムリエのセレクトというのは気になります。さて、どんなワインが登場するのでしょうか?

■焼き餃子だけでなく水餃子も登場!

会場となったのは、中目黒に2015年11月にオープンしたカフェ&ビストロ「nakameguro SLOW TABLE」。緑に囲まれ、オープンテラスが気持ちいい店です。外からは普通のカフェにしか見えませんが、この店のメイン料理は、なんと餃子!?

「当店では、普段から餃子に合わせてワインを勧めています」と、SLOW TABLEオーナーの長尾研一さん。今回のイベントでは、西麻布のワインレストラン「プロヴィナージュ」のオーナーソムリエ田中浩史さんが特別にワインをセレクトしました。田中ソムリエと長尾オーナーとは、お互いが独立する前に勤めていた店で先輩後輩の間柄だそうで、二人の息はバッチリ!

一本目のワインは、ロゼシャンパーニュの「Champagne Grand Cru Brut Rose NV Janisson & Fils」。ヴェルズネイ村のピノ・ノワール90%+シャルドネ10%のグランクリュシャンパーニュです。なめらかなテクスチュアで、しっとり吸い付くような飲み心地があります。これをアミューズの「フルーツと野菜のキムチ」に合わせてみました。フルーツは、リンゴ、バナナ、マンゴー、野菜はミニトマトと玉ねぎ。

「ヴェルズネイのキメ細かさと、玉ねぎのシャリシャリした食感がよく合うと思う」と田中ソムリエ。試してみると、玉ねぎの食感はシャンパーニュに合いましたが、気分的には少々もったいない気もします。甘いミニトマトと、なめらかでとろけるようなマンゴーは、甘美な組み合わせです。甘め、テクスチュア柔らかめ、ほどよい酸味のテイストのフードが、このロゼシャンパーニュには合うように思いました。

さて、いよいよ餃子の登場です!

まずは、40日間熟成の豚肉を使った焼き餃子をいただきます。

外側はパリッと焼き上がり、皮はほどよい厚みがあり、むっちり。

豚肉は肉の食感が残る粗さに挽かれているので、肉感がしっかりし、ボリューム感があります。皮がむちっとしているので、ボリューミーな肉餡とのバランスはバッチリ。なお、SLOWの餃子は、化学調味料を一切使用していないそうです。

「餃子は皮と具のテクスチュアとストラクチャーが同じなため、マリアージュを考えるのに苦労したが、色々なソースと合わせることを思いついた」と田中ソムリエ。

餃子用ソースとして、(左手前より時計回りに)シーソルト、山椒と黒七味を加えたゴマ油、ヴィネグレッドで伸ばしたフランス産マスタードのソース、トマトソースを用意。

トリュフの風味が濃厚で、まったりした味わいのトリュフオイルも餃子用ソースに。

焼き餃子に合わせて、まずは白ワイン2種「Riesling Grand Cru Saering 2012 Schlumberger」と「Bourgogne Blanc Terres de Pierres 2014 Verget」でトライ。いずれもフランス産。

リースリングはアルザスのグランクリュ。独特のミネラル感があるので、シーソルトにレモンを絞ってみたところ、塩のミネラル感とよく合いました。

まろやかでこっくり感のあるブルゴーニュのシャルドネは、濃厚でまろみのあるトリュフオイルとドンピシャ! 両者のまろみ感がポイントです。

山椒と黒七味のゴマ油には、ドイツのヴュルテンベルク地域の赤ワイン「Trollinger “S”trocken 2014 Weingut Knauss」を。

▲赤ワインを注ぐ田中ソムリエ

赤はトロリンガーという品種。赤にしては淡い色調で、味わいは軽やか。チェリー系の風味があり、タンニンのキメも細かく、とてもまろやか。スーッと口の中に入ってくる爽やかさもあります。やさしいけれど、スパイシーさがあり、それが山椒と黒七味とマッチします。

焼き餃子と同じ40日間熟成豚の餃子を、水餃子にしていただきます。つるんとした水餃子は、さっぱりしていますが、皮のむっちり感と甘みが増し、なんともいえないおいしさ。

 

■パクチーとワインも合う

赤ワインに続いて、オーストラリアのロゼワイン「Cinsault Grenache Rose 2015 Smallfry Wines」が登場しました。南仏でよく使われるサンソーとグルナッシュというブドウ品種を自然酵母で発酵させています。うまみがたっぷり乗った、しっとり滋味なロゼワインは、トマトソースがよく合いました。トマトソースはトロリンガーの赤ワインにもgood。ワインの色とフードの色を合わせると、マリアージュの失敗が少なくなります。

お次はパクチーを添えたラム肉の餃子です。ラムは肩肉を使い、粗く挽かれています。ラムは独特のクセがありますが、外側がカリッと香ばしく焼かれ、タイムやローズマリーなどのハーブを混ぜているので、クセをあまり感じません。

ラムの焼き餃子には、トマトソースとパクチーが絶妙にマッチしました。この組み合わせにはロゼワインがオススメ。マスタードソースなら赤ワインもおいしいです。
が、マスタードソースがあるなら、やっぱりビールも合わせたいよね? ということから、ビールが出てきました!

▲「Anchor Saison Spring Ale」

アメリカのクラフトビールの老舗、アンカー社の季節限定ベルギースタイルビールで、レモングラス、レモンピール、ジンジャーが加わっています。レモン風味が爽やかながら、アルコール7%とほどよいボディがあり、食中酒としてワイン的に楽しめるタイプ。このビールなら、ラム肉餃子+マスタードソースでもイケますが、餃子にレモンを絞り、サッパリいただくのもオススメです。

パクチー多めで山椒&黒七味を付けると、白ワインのリースリングとも素敵なマリアージュになり、トマトソース&パクチーの組み合わせにビールを合わせても美味。ポイントはパクチーでしょうか。

シメは、パクチーがたっぷりのったホタテとチキン出汁のフォー。スープがじんわりと身体に沁み込み、ほっとします。ここで滋味な味わいのロゼワインと合わせてみたところ、見事に合いました。

▲今回のワインたち

▲左端がSLOW TABLE長尾研一さん、右端がプロヴィナージュ田中浩史ソムリエ

餃子は、肉や魚介類の餡を小麦粉の皮で包み、焼いたり、蒸したり、茹でたりする料理です。焼くとカリッとした食感になり、うま味の余韻が強め&長めになります。焼き餃子に合わせるなら、輪郭のクッキリした、余韻が長めのワインがいいでしょう。ただし、タンニンがガッチリした渋みの強い赤ワイだとワインが勝ち過ぎるので、全体の力のバランスを考えながら選びたいですね。つるりとした食感の水餃子なら、しっとりとしてやさしいタイプのワインが合うと思います。

また、餃子は、ソースで食べさせるフランス料理のように、ソースや付けダレをアレンジすることで、さまざまなタイプのワインに合わせられる、ということも押さえておきましょう。

「マリアージュは人によって違う。自分の方向性を考えることが大事。そういう機会を大切にして欲しい」と田中ソムリエ。

ワインと食とのマリアージュは、他人の意見はさておき、あれこれチャレンジしてみると面白い発見があると思います。特に、庶民派の代表「餃子」がお相手の場合は、自分が納得のいくまで何度でもチャレンジしても、懐が痛まない点が素晴らしいと思います(笑)。

nakameguro SLOW TABLE
東京都目黒区上目黒2-20-5 1F
Tel.03-6303-2906

 

(取材・文/綿引まゆみ

わたびきまゆみ/ワインジャーナリスト

わたびきまゆみ/ワインジャーナリスト

ワイン専門誌や料理系雑誌での記事執筆をはじめ、日本ソムリエ協会webサイトのコラムなどを執筆。ワインセミナー、トークショー、海外のワインコンクール審査員など、幅広い活動を行なっている。チーズプロフェッショナル、ビアソムリエ、コーヒー&ティーアドバイザーの資格も所有。スイーツ好き。

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