1台のスマホで2回線!注目の機能「DSDS」のメリットとは
&GP / 2017年4月29日 11時0分
1台のスマホで2回線!注目の機能「DSDS」のメリットとは
格安SIMの普及に伴い、「SIMフリースマホ」が増えてきました。そのSIMフリースマホの機能として「DSDS」なるものが注目されていることをご存知ですか? 「DSDS」とは「デュアルSIMデュアルスタンバイ」のこと。2枚のSIMカードを挿して、2枚両方で待ち受けできる仕組みです。
2枚のSIMがどちらも通話対応の場合は、1台のスマホで2つの電話番号を使い分けられます。1枚のSIMを通話に使って、もう1枚のSIMをデータ通信に使うといったこともできます。
DSDSは、海外では以前から普及していて、国をまたがってビジネスをしている人が、自国のキャリアのSIMと、仕事で訪れる国のキャリアのSIMを使い分けるといった使い方をしていました。少し前までは、2枚のSIMのひとつがGSM(欧米で主流の2Gの方式)という制約があり、GSMが使えない日本では普及しなかったという経緯があります。
現在のDSDSは、ひとつを4G LTE/3Gで利用でき、もうひとつを3Gで利用するのが一般的です。つまり日本でも、高速データ通信を利用しつつ、ふたつの電話番号を併用できるようになったわけです。
▲2枚のSIMを挿して、どちらのSIMでも待ち受けできるのが「DSDS」
2016年の夏に、モトローラがDSDS対応の「Moto G4 Plus」を発売してヒットさせたのを皮切りに、ASUS、ファーウェイといった人気メーカーもこれに追随。2017年3月に発売された「VAIO Phone A」も対応し、NTTレゾナントの「g07+」(コヴィア・ネットワークス製)は、DSDSに対応しつつ1万9800円(税別)というお手頃価格を実現したことでも注目を集めています。
それでも、どんな状況で役に立つの? 2回線の使い分けって面倒じゃないの? と思う人もいることでしょう。そこで「こんなに人にはDSDSが役立つのでは?」という事例をピックアップしてみました。
- 仕事用+プライベート用
- 通話用+データ通信用
- 国内用+海外用
- 大手キャリアから格安SIMへ乗り換えを検討中
これらに該当する方は、DSDS対応モデルへの機種変更を検討したのがいいかもですよ!
【活用事例1】仕事用とプライベート用のSIMを使い分ける
職場でケータイを支給されている人の多くは、自身が契約するスマホと支給されたものの2台を持ち歩いていることでしょう。DSDS対応のスマホがあれば、仕事用ケータイからSIMを抜き取り、それをDSDSスマホに挿し、さらに自身が契約するSIMも挿して、「1台2回線」にまとめられます。
もし、自身が契約するスマホが大手キャリアのものだったら、これを機に格安SIMに乗り換えることをおすすめします。仕事用の電話のやり取りは今まで通りにできて、プライベートで使うインターネットのデータ通信料を節約できます。
なお、大手キャリアのSIMを、SIMフリースマホに挿して使う場合、周波数が対応しているか否かを確認する必要があります。といっても、確認は難しくありません。日本向けに販売されている、おそらく全てのSIMフリースマホはNTTドコモ回線に対応し、ほとんどのスマホはソフトバンク(ワイモバイル)回線にも対応しています。au回線に対応するスマホは、それがはっきりわかるように、カタログなどに「au VoLTE対応」などと明記されていることが多いようです。ですが念のため、購入時には対応キャリアを確認してくださいね。
▲ドコモ回線を使う格安SIMとソフトバンクのSIMを併用できる
▲SIMが正しく認識されると、画面にこのような表示が出る
▲4Gで通信できるのは1枚のみ。VoLTEを使わないのなら、電話用は3Gで支障ない
▲機種によっては、ドコモ回線とau回線の併用も可能。わかりやすいようにSIMに名前を付けることもできる
仕事用のSIMを通話だけに使う場合は、SIMを挿すだけでキャリアが認識されて発着信できるはずです。モバイルデータ通信も利用する場合は、「APN(アクセスポイントネーム)設定」という初期設定が必要です。
▲APNの設定画面の例。ドコモの「spモード」がプリセットされている機種もある
▲ソフトバンクのSIMを挿した場合のAPN設定画面の例
キャリアのショップに出向いて手続きする必要が生じるケースもありますので、各社のホームページもチェックしておきましょう。
>> NTTドコモ「他社製品のケータイなどをご利用されるお客様へ」
>> ソフトバンク「他社が販売する携帯電話をソフトバンクで利用する」
【活用事例2】電話用とデータ用のSIMを使い分ける
格安SIMのデータ通信料は、大手キャリアに比べると圧倒的に安いですが、通話料はまちまちです。昨年来「5分かけ放題」の有料オプションを提供するMVNOが増えていますが、長電話が多い場合は、大手キャリアの通話定額のほうが割安というケースもあります。
また、基本使用料に「10分かけ放題」が含まれるワイモバイルや、4月24日から無制限の「かけ放題」オプション(月額2380円/税別)を開始した楽天モバイルなど、格安SIMでも長い電話を安心して利用できるプランが増えつつあります。
▲2枚のSIMがどちらも通話対応の場合、発信時に電話番号を選択できる(あらかじめ優先設定も可能)
▲MVNOの多くは、専用アプリでプリフィクス方式で発信することで、安い通話料で利用できる。これは「楽天でんわ」の画面
電話もネットもかなり使うという人は、自身の通話利用に適したSIMと、ネットを安く利用できるデータ専用SIMを組み合わせて使うのも経済的です。たとえば、電話用として大手キャリアのSIMを使い、2GB分のデータ量を組み合わせているのであれば、不足するデータ量を格安SIMで補うといいでしょう。ワイモバイルの最安プラン(スマホプラン S)と、MVNOのデータ専用SIMを組み合わせて使うのも検討の価値アリです。
【活用事例3】国内用と海外用のSIMを使い分ける
格安SIMは音声通話のローミングには対応していますが、データ通信のローミングには対応していません。つまり、SIMを1枚しか挿せないSIMフリースマホを持って海外に渡航した場合、現地でデータ通信を利用するには、モバイルWi-Fiルーターをレンタルする必要が生じます。現地で購入したプリペイドSIMに挿し替えて使うこともできますが、その場合は、日本で使っているSIMを外さなくてはならず、日本の電話を着信できなくなります。
DSDS対応のスマホがあれば、海外渡航時に、日本で使っているSIMを挿したままで、現地で購入したSIMを挿すことができます。つまり、日本の電話番号で待ち受けしつつ、滞在地での電話やインターネットは安い通話料・通信料で利用できます。現地の電話番号が付与されるので、レストランの予約などにも役立ちます。
▲DSDS対応モデルなら、日本用のSIMを取り外すことなく、現地で使うSIMを追加できる
特定の国・地域への出張が多い人は、日本のSIMと渡航先で使うSIMのふたつを常時セットしておくのもおすすめ。現地に着いてから抜き差しする手間が省けます。SIMはとても小さいので、端末から抜き取った場合は、紛失しないように注意する必要があります。紛失防止の意味でも、DSDSは有用といえるでしょう。
【活用事例4】格安SIMに乗り換える過渡期に利用する
現在、大手キャリアのスマホを使っていて、格安SIMへの乗り換えを検討している人の中には、「つながりにくくならないか?」「通信速度が遅くなるのでは?」といった不安を抱く人もいるでしょう。そんな人にも、DSDSは利用価値があります。
DSDSに対応するスマホであれば、大手キャリアの契約を維持しつつ、一定期間は格安SIMと併用し、通信品質やサービスなどを使い比べられます。その上で、格安SIM1本でもで支障がないと思えたら、大手キャリアを解約しましょう。その際、大手キャリアの電話番号をMNPで引き継いで新たに格安SIMを契約し、試用していた格安SIMを解約。あるいは、試用した格安SIMが通話対応であれば、その電話番号を友人・知人に知らせてから、大手キャリアを解約してもいいでしょう。解約に伴う費用を計算してから、最善の方法で乗り換えましょう。
もちろん、使い比べた結果「大手キャリアの安心感が手放せない」というのであれば、キャリアのスマホを使い続けて、DSDSのスマホは、海外旅行用として所持しておきましょう。海外では格安のプリペイドSIMを手軽に購入できることが多いので、SIMフリースマホを1台持っておくと、役に立つことがあるはずです。
▲スマホで使われるSIMは、主に2サイズ(microとnano)がある。使う端末に合致しない場合は、キャリアやMVNOにカード変更を依頼する必要がある。このように自分が使うサイズで取り出せるSIMもある
▲2枚目のSIMとmicroSDが排他利用になっている機種も多い。この場合、microSDカードを装着と、DSDSが利用できなくなるので要注意
いかがでしたか? 「便利かも!」と思える使い方はありましたか?
ちなみに「DS(デュアルSIM)」にもいろいろあり、2枚のSIMを挿せるけど、1枚でしか待ち受けできない機種もあります。それは「DSSS(デュアルSIMシングルスタンバイ)」と呼びます。また「DSDS」では、通話中にもう片方のSIMで通信することはできません。それができるものを「DSDA(デュアルSIMデュアルアクティブ)」と言います。将来役に立つかもしれない知識として、覚えておいてくださいね。
(取材・文/村元正剛)
むらもとまさかた/ITライター
iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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