ノルウェー・オスロのミュージアム地区「ビィグドイ」で博物館めぐり ~木造教会にヴァイキング船も~
GOTRIP! / 2018年11月29日 7時30分
ノルウェー最後のヴァイキング王ハーラル・ホールローデによって開かれた、ノルウェーの首都オスロ。
一国の首都にしてはずいぶんと静かで緑が多く、治安も良好。心安らぐ休日にぴったりの旅先です。
オスロのおもな観光スポットは市内中心部にまとまっていますが、ノルウェーの文化や歴史に興味があるなら、オスロの西側に突き出た半島「ビィグドイ」にも足を運んでみましょう。
オスロ中心部から外れたビィグドイ地区は、個性的な博物館が点在するミュージアム地区。見ごたえのある博物館が多く、それぞれをじっくり見るなら丸一日はかかるほどです。
市内中心部からビィグドイ地区までは、市バスで30分ほどで行くことができ、夏季には市庁舎前広場の港から直通フェリーも運行しています。
・ノルウェー民俗博物館
ビィグドイ地区で必ず訪れたい博物館のひとつが、「ノルウェー民俗博物館」。
広大な敷地にノルウェー各地から集められた170以上の建物が点在するノルウェー最大規模の野外博物館で、じっくり見学していたらここだけで半日はかかってしまうことでしょう。
中世から近代にいたるまで、地域ごとのノルウェーの風景が再現されているのに加え、1500年代からの衣装や工芸品も集められており、展示品は23万点にのぼるといいます。
ひとつの建物内にさまざまな展示品が並んでいるのではなく、歴史的な建物がそのまま移築されているので、そのスケールと臨場感たるやケタ違い。
古い農家の倉庫や19世紀の銀行や商店、20世紀前半の郵便局やガソリンスタンドなど、人々の生活に密着した多彩な建物が並んでいて、それ自体がひとつの街のようです。
フォークダンスや民族衣装を着た出演者によるパフォーマンス、動物とのふれあいなど、定期的に開催されるイベントも楽しみのひとつ。ノスタルジックな風景の数々を目にするうちに、ここが21世紀のオスロであることを忘れてしまいそうです。
数ある建造物のなかでも特に見逃せないのが、「スターヴ教会」と呼ばれる木造の教会。
ヴァイキング全盛時代に多く建てられたノルウェーの伝統的な建築様式をもつ教会で、そのなかのひとつは映画「アナと雪の女王」のお城のモデルになったともいわれています。
ノルウェー民俗博物館で見られるのは、オスロの北約200キロのところに位置するゴールという町から移されたもの。今なお1200年当時の姿をとどめているという貴重な教会で、そのたたずまいには物語の世界を思わせる神秘的な雰囲気があります。
中世の時代には1000棟ほどあったといわれるスターヴ教会ですが、現存するのはわずか30弱。それがオスロ郊外で気軽に見られるわけですから、足を運ばないわけにはいきません。
公式サイト:http://www.norskfolkemuseum.no/en/
・ヴァイキング船博物館
北欧・ノルウェーといえば、「ヴァイキング」を連想する人も少なくないことでしょう。「ヴァイキング船博物館」は、その名の通り、実際にヴァイキングたちが使用していた船を集めた博物館です。
8世紀から11世紀にかけて、ヨーロッパから北米までの広範囲にわたって遠征を行い、略奪や侵略を繰り返したヴァイキングたち。「海の荒くれ者」としてヨーロッパ各地で恐れられたヴァイキングですが、優れた造船技術と航海技術をもった冒険者でもありました。
この「ヴァイキング船博物館」で展示されているのは、3隻のヴァイキング船とそれらとともに発掘された埋葬品。
なかでも迫力があるのが、館内に入ってすぐ目に飛び込んでくる木製の巨大なオーセベルグ号です。800年代に使用され、女王の遺体とともに埋葬された船で、1904年に発掘されました。1200年も前の船とは信じられないほど、芸術的なカーブを描く造形美は必見です。
公式サイト:https://www.khm.uio.no/english/visit-us/viking-ship-museum/
・コンチキ号博物館
幼いころコンチキ号に憧れ、今もその名を聞くと冒険心を掻き立てられるという人もいるのではないでしょうか。
コンチキ号博物館は、ノルウェーの文化人類学者で探検家であったトール・ヘイエルダールの功績を紹介する博物館。彼は、南米からポリネシアへ人が移動したという自説を裏づけるため、バルサ材のいかだ「コンチキ号」でペルーからイースター島までも8000キロを101日間かけて漂流しました。
館内に展示されているのは、歴史に名を残す航海を行った本物のコンチキ号。実物を目の当たりにすると、「こんなに原始的な船で何ヵ月も旅したなんて!」と驚かずにはいられません。
加えて、コンチキ号の後に57日間で6100キロを横断した「ラー2世号」も見学できます。帆に描かれた赤い丸は日の丸のように見えますが、これは「ラー」、つまり太陽のこと。
ラー2世号による遠征は、ヘイエルダールが日本人カメラマンを含む8ヵ国から集まった乗組員とともに達成した偉業でした。
公式サイト:http://www.kon-tiki.no/en/
・フラム号博物館
コンチキ号博物館の目と鼻の先に位置するのが、「フラム号博物館」。北極海流の研究のために造られた全長39メートルの巨大な帆船で、その名は「前進する船」を意味します。
館内に足を踏み入れると、吹き抜け構造の建物の真ん中に、フラム号がデーンと鎮座する光景が目に飛び込んできます。
1893~1912年にかけて3つの重要な探検に使用されたフラム号は、北極と南極の両方の極点に到達。海氷の圧力に耐えられるように設計されており、「史上最強の木造極地探検船」ともいわれています。
フラム号が活躍した探検のなかでも特に有名なのが、ノーベル平和賞を受賞したフリチョフ・ナンセンによるフラム号遠征。ナンセンの指揮で北極に向かったフラム号は、北極の平原に3年間も閉じ込められてしまったものの、氷に押しつぶされることなく再び浮き上がり、無事帰還を果たしたのです。
フラム号博物館では、フラム号遠征に関する資料の展示はもちろんのこと、フラム号の船内も見学可能。機械室や操舵室、台所、ダイニングルーム、寝室などが、人形とともに当時のままに再現されており、フラム号の大きさが実感できます。
・ノルウェー海洋博物館
フラム号博物館に隣接する「ノルウェー海洋博物館」は、世界有数の海洋国家であるノルウェーの海に関する博物館。
現存するものとしてはノルウェー最古といわれる2200年前の木製ボートの残骸から、憲法制定100周年記念の帆船、客船、タンカーにいたるさまざまな船の模型や船具、航海用具などが展示されていて、海や船が好きな人にはたまらない内容。
海の風景を描いた絵画を展示するコーナーもあり、ノルウェーの歴史と文化における海の重要性が肌で感じられます。
公式サイト:http://www.marmuseum.no/en/
今回ご紹介したビィグドイ地区の博物館は、すべてお得な観光パス「オスロ・パス」で入場可能。同じく、市庁舎前広場からでるフェリーや市バスの運賃もオスロ・パスでまかえます。
物価が高いノルウェーだけに、オスロ・パスによる節約効果は絶大。オスロパスを賢く使ってミュージアムめぐりを楽しんでください。
また、博物館は季節や施設によって開館時間が異なります。一日でできるだけ多くの博物館を制覇するには、各施設の開館時間を確認して、閉館時間の早い博物館に先に向かうなど計画的に周るといいでしょう。
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