カッパ(合羽)の語源になったカパとは? スペイン・マドリードの老舗カパ専門店「カサ・セセーニャ」
GOTRIP! / 2018年12月24日 6時30分
日本語の「カッパ(合羽)」の語源になった「カパ(CAPA)」とは、スペインで昔から着られているマントのような外套のこと。
日本のカッパは雨のときに羽織るものですが、スペインのカパは雨具というニュアンスではなく、防寒と装いのために着用されてきました。
今回は、スペインの首都マドリードにあるカパの専門店「カサ・セセーニャ(CASA SESENA)」を紹介します。
カサ・セセーニャは、1901年に創業し、今年117年目を迎える老舗です。ずっと家族経営を続けており、現代のオーナーは創業者であるサントス・セセーニャ氏から数えて4代目とのこと。
(創業者のサントス・セセーニャ氏)
創業当時はカパだけでなく通常のコートも仕立てていましたが、1927年以降、コートを作ることはやめ、カパ一本でやってきたといいます。
店内にはデザインや色の異なるさまざまなカパがずらり。
カサ・セセーニャのカパは、スペイン産の羊毛(メリノウール)を用いて、すべてこの店内の工房で手作業で作られています。
上写真の黒いカパは「カパ1901」という名前で、このお店でもいちばんクラシックな型です。
なんと、かのピカソもこの「カパ1901」を身にまとって埋葬されたのだとか(厳密には、ピカソのカパはこの「カパ1901」に刺繍が施された特注品)。
「カパ1901」には、「エスクラビーナ」と呼ばれる襟飾りと「チャロ」と呼ばれるシルバーのブローチが付いているのが特徴です。
ちなみに「カパ1901」のお値段は930ユーロ(日本円で約12万円)で、ピカソと同じ刺繍を入れてもらうと1650ユーロになるとのこと(刺繍には5~6週間かかります)。
筆者もカパを試着させてもらいました。高品質な厚手の羊毛フェルトを使っているせいか、意外と重さがあるものの、確かに暖かく感じます。まるで”魔法のマント”のような雰囲気!
100年以上前の時代に生きた人々がこの店のカパを着ていたと思うと、感慨深いです。
ちなみに、上写真の赤いカパは625ユーロ、青いカパは440ユーロとのこと。
今回はお店の二階にある工房で仕事をしていた裁断職人のカルメンさんに、布を裁つところを見せてもらいました。
カルメンさんはカサ・セセーニャで働き始めて8年目になりますが、その前もほかのお店でずっとこの仕事をしていたというベテランの女性。
1着のカパを仕上げるのに、上写真のサイズのフェルト生地が2枚必要だそうです。
メジャーの端を長辺の中央あたりに留め、コンパスのように半円を描いて印を付けます。
印に沿って大きな裁ちばさみで布を裁断していくのですが、その動きには一切迷いがありません。
「躊躇するときれいに切れないから、裁ち始めたら止まらないことが肝心よ。」とカルメンさん。
上写真の半円状の布を2枚つなぎ合わせて、1着のカパを仕立てるそうです。つまりこの1着のカパは広げると中央に穴(首を出す部分)のある円形になるわけですが、その円周は実に5メートルにもなるのだとか。
長方形のフェルトから半円を切り取ると、少し余りの布が出ますが、その布を使って襟飾り(エスクラビーナ)を作るそうです。実に無駄がありません。
「私は裁断が専門で、縫製は別の職人が行っているの。」とカルメンさんが教えてくれました。
裁断から縫製まで職人たちが協力して作り上げるカパは、まさにプロフェッショナルの技術の粋を集めた、一生ものの衣服と言っても過言ではないでしょう。
実は筆者の取材中にも、この店のカパが欲しかったという日本人女性がカサ・セセーニャに来店し、一着のカパを購入していきました。
外国人旅行者には税金還付もあるとはいえ、決して安い買い物ではありません。しかし、その品質は折り紙付きで、かけがえのない一着になるはずです。
スペイン・マドリードを訪れることがあれば、カサ・セセーニャに足を運んで、職人の作る本物のカパに触れてみてはいかがでしょうか。
Post: GoTrip! https://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア
名称 カサ・セセーニャ(Casa Seseña あるいは Capas Seseñaでも通じます)
住所 Calle de la Cruz, 23 28012 Madrid, Spain
電話 +34 915 316 840
営業時間 月~金 10:00-20:00、土曜 10:00-14:30
定休日 日曜日
クレジットカード使用可能、税金還付にはパスポートが必要です
公式サイト(英語) https://www.sesena.com/en/
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