【世界の街角】エルベ川のフィレンツェと呼ばれる東ドイツの古都・ドレスデンのバロック建築群を巡る
GOTRIP! / 2019年5月29日 6時30分
全国各地に美しい旧市街を残すドイツ。そのなかでも、ひときわ重厚感あふれる旧市街を有するのが、東ドイツの古都ドレスデンです。
現在はザクセン州の州都であるドレスデンは、かつてザクセン王国の都として繁栄。芸術を愛したアウグスト強王らの手によって、華麗なるバロック建築群が建てられ、「百塔の都」「エルベ川のフィレンツェ」と呼ばれるほどの繁栄を謳歌しました。
第二次世界大戦下、ドレスデンに悲劇が訪れます。1945年2月のドレスデン爆撃により、街の85%が破壊され、ドイツ屈指の美しい旧市街もがれきの山と化しました。戦後、ドレスデンの旧市街は段階的に復興を遂げ、「ドイツ・バロックの真珠」とうたわれた街並みは、再び輝きを取り戻しています。
戦後半世紀を経て、「和解の象徴」として生まれ変わったのが、ノイマルクト広場に建つフラウエン教会。
1743年に完成したドイツ最大のプロテスタント教会でしたが、ドレスデン爆撃で廃墟に。旧東ドイツでは、教会の再建は重視されなかったため、長らくがれきのまま放置されていましたが、1994年にようやく再建作業が始まり、戦後半世紀以上を経た2005年に完了しました。
直径25mの大ドームをもつ優美な姿は、ノイマルクト広場のシンボル。「フラウエン(聖母)」の名の通り、力強くも女性的で繊細な外観はもちろん、柔らかな色合いの天井画やパイプオルガンに彩られた内部も見逃せません。ドーム上の展望台からは、ドレスデン市街のパノラマが楽しめます。
ドレスデン旧市街のバロック建築群のなかでも、ザクセン王国の栄華を最もよく伝えているのが、ツヴィンガ―宮殿。17世紀末に即位したアウグスト強王の時代に建てられたもので、「ドイツ・バロックの傑作」と称されます。
19世紀には、ゼンパーオペラを設計した建築家ゼンパーが、北側部分をイタリア・ルネッサンス様式で増築。広大な中庭をもつ壮麗なる宮殿は、往時のザクセン王国の繁栄ぶりを物語っています。
現在は、「アルテ・マイスター絵画館」や「陶磁器コレクション」など、複数のミュージアムとして利用されており、ラファエロの「システィーナのマドンナ」やマイセンの逸品は必見です。
ツヴィンガ―宮殿の斜め向かいに建つのが、レジデンツ宮殿。かつてのザクセン王の居城で、バロック様式やルネッサンス様式が混在した堂々たる建物です。
現在は、ザクセン王国の至宝が並ぶ「緑の丸天井」と呼ばれる博物館となっており、豪華な部屋に中世~初期ルネッサンス期にかけての財宝を展示する「歴史的緑の丸天井」と、16世紀以降の工芸品を展示する「新しい緑の丸天井」などに分かれています。
「歴史的緑の丸天井」は、時間指定入館券でのみ見学可能。チケットは宮殿内の窓口でも購入できますが、事前のオンライン購入が確実です。
レジデンツ宮殿の隣に建つ三位一体大聖堂は、ザクセン州最大の教会。18世紀に宮廷教会として建てられたバロック様式の教会で、屋根の上には78体もの聖人の石像が配置されています。
マイセン磁器製のピエタや、ジルバーマン制作のパイプオルガンなど、内部も見どころ満載。ガイドツアーで見学できる地下の安置室には、アウグスト強王の心臓が納められており、好みの美女がそばを通ると、心臓が鼓動を始めると言い伝えられています。
ザクセン王国の都として栄えた後、戦争でがれきの山となり、華やかな歴史と悲惨な歴史の両方を経験してきたドレスデン旧市街。古色蒼然とした街並みは、そうと知らなければ再建とはわからないほど、歴史の重みを感じさせる重厚感に満ちています。
ドレスデン旧市街が一度破壊されてしまったことはあまりにも残念ですが、この美しい街並みを取り戻そうと力を尽くした人々がいたからこそ、今の美しい街並みがある。そう考えると、再建された現在の街並みにも、新たな感動が込み上げてきます。
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