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岐阜県飛騨市に行ったら体験したいこと。薬草に触れ、池ケ原湿原や種蔵集落を歩く

GOTRIP! / 2024年7月20日 6時30分

岐阜県の最北端に位置する飛騨市は、総面積の94%を森林が占める自然豊かな市です。その約7割がブナ、ナラ、サクラ、クリなどの落葉広葉樹で、いろいろな養分を含んだ落ち葉や木の実が長い時間をかけて土壌の栄養に変わるためか、飛騨には245種類もの薬草が自生しています。

昔から人々は、ドクダミ、ヨモギ、オオバコなどの薬草から得られる薬効を体に取り入れてきました。そんな自然の恵みと先人たちの知恵を受け継ぐ飛騨市は、薬草を地域資源として活用し、市民の健康づくりと地域の新たな魅力づくりを目指す「飛騨市薬草ビレッジ構想」を推進しています。

飛騨地方には、合掌造りで有名な白川村、小京都として知られる高山市、温泉地として人気の下呂市がありますが、同じ飛騨地方といっても、飛騨市の魅力はほかの市町村と同じではありません。この記事では、飛騨市を訪れたら体験してみたいことを紹介します。

薬草の拠点「ひだ森のめぐみ」

薬草を活用したまちづくりを進める飛騨市は、2019年10月、飛騨古川のまちなかに薬草を楽しめる施設「ひだ森のめぐみ」をオープンしました。(飛騨市の施設ですが、運営はNPOに委託)

薬草に詳しいスタッフが常駐しており、薬草についてを聞いたり、野草茶の試飲や購入をしたり、薬草や生薬の展示を見たりできます。市民の憩いの場になっていますが、12種類の薬草から選べる薬草茶づくり「ティーセレモニー」(要予約)や、薬草七味作り、薬草コケ玉づくり、薬草入浴剤づくりなどのワークショップは、観光客にも人気です。

「ひだ森のめぐみ」をはじめとした飛騨市内の複数施設で買える人気商品が、飛騨市河合町にある「かわい野草茶研究グループ」のつくる野草茶です。黄緑色のパッケージは、平成9年から発売されているロングセラー商品で、ほうじ茶、大麦、ハト麦をベースに、ドクダミ、クワ、オオバコ、クマザサ、スギナ、クコがブレンドされています。

そして、平成24年に発売された藤色のパッケージは、従来の野草茶にクズの花と芽を加えたもの。こちらはお酒をよく飲む方にとくに喜ばれているそうです。野草と聞くとクセがあるのでは……と思うかもしれませんが、飲みやすくブレンドされているので、麦茶感覚でゴクゴク飲めますよ。

2024年9月7日(土)に飛騨古川市街地で開催される「全国薬草フェスティバル in ひだ 2024」では、市内外の約60団体の薬草関係者が出店し、商品の販売、飲食の提供、ワークショップなどが行われる予定です。オリジナルのMy野草茶づくりワークショップもあるそうなので、野草茶に興味がある人は足を運んでみてはいかがでしょうか。

【施設情報】
名称 薬草体験施設「ひだ森のめぐみ」
住所 岐阜県飛騨市古川町弐之町6-7
営業時間 10:00~16:00(年末年始休)

三寺めぐり朝市

三寺めぐり朝市は、例年4月から11月頃、飛騨古川のまちなか、福全寺の大イチョウのすぐそばで開催される野菜や切り花の直売所です。火曜日を除き、朝8時から15時まで開かれています。

愛情をこめて育てられた飛騨古川の新鮮な朝採れ野菜を、お値打ち価格で購入できます。「こんなに立派な丸ズッキーニが100円!?」と驚いてしまうかもしれません。

飛騨特産の「あぶらえ(えごま)」も販売されています。この地方ならではの野菜や食材には珍しいものもあり、「どうやって食べたらいいの?」と迷ってしまうかもしれません。そんなときは、地元のお母さんたちに尋ねると、おいしい食べ方やおすすめの調理法を教えてくれますよ。

野菜や切り花のほかに、乾物や調味料、缶詰、パンなどもそろい、地元のお母さんたちとの交流も楽しめる朝市、ぜひ足を運んでみてください。

名称 三寺めぐり朝市
住所 岐阜県飛騨市古川町壱之町
アクセス 飛騨古川駅から徒歩5分

池ケ原湿原

池ケ原湿原は、奥飛騨数河流葉(おくひだすごうながれは)県立自然公園内にある標高960~980メートルの低層湿原です。広さは約5ヘクタールあり、岐阜県の天然記念物に指定されています。

冬季は一面深い雪に覆われますが、4月下旬から5月上旬にかけて雪解け水の豊かな水とともに新たな自然の彩りが始まります。30万株とも40万株ともいわれるミズバショウが一斉に咲き誇り、黄色の花をつけるリュウキンカと織りなす様子は、春の池ケ原湿原を代表する風景です。

湿原は、季節ごとに異なる姿を見せてくれます。初夏(6月頃)にはサワオグルマやカキツバタ、夏(7~8月)にはフウロソウやミズチドリ、秋(9~10月)には湿原の草紅葉やシラカンバの紅葉が美しいです。

湿原内には木道が整備されており、車イスやベビーカーでの散策が可能です。この木道は、「老若男女、障がいの有無にかかわらず、だれでも自然の景観を楽しむ権利がある」という想いを持ったボランティアの方々の尽力によって整備されたとのこと。

駐車場から歩いてすぐに湿原が広がっていることもあり、ベビーカーを押したママさんたちの憩いの場にもなっているそうです。(ペットの連れ込みは生態系に影響を及ぼすおそれがあるため禁止されています)

池ケ原湿原は、4月から11月の間は自由に訪れることができますが、NPO法人 飛騨市・白川郷自然案内人協会に依頼して、インタープリター(森の案内人)にガイドをしてもらうことも可能です。時期や場所、人数や体験したいことに応じて、オーダーメイドでプログラムを組んでもらえます。

湿原をただ歩くのも気持ちがよいものですが、植物や動物の生態系、地域に伝わる民話などの知識を持つガイドさんの話を聞きながら飛騨の森を歩くと、たくさんの発見があるはずです。

【スポット情報】
名称 池ケ原湿原
アクセス 高山駅から車で約1時間20分、飛騨古川駅から車で約1時間、富山駅から車で約1時間10分
ナビ登録 飛騨みやがわ考古民俗館/岐阜県飛騨市宮川町塩屋104

棚田と板倉の里 種蔵集落

種蔵(たねくら)集落は、農村の原風景が今なお残る、飛騨市宮川町の集落です。石積造りの棚田が広がり、板倉が点在する里山の風景は、環境省の「かおり風景100選」や「ぎふの棚田21選」にも選ばれています。

宮川に面した標高450メートルの段丘の地形が特徴で、中央に雪解けの水を利用した水路と水田、主屋がつくられ、両側の斜面に畑と板倉(板でできた倉)がつくられてきました。石積造りの棚田にした理由は、限られた面積でできるだけ多くの稲を育てるためです。

板倉は、穀物や野菜などを保存食として、また翌年にまく種として保存するほか、結婚式や法事に使う家具類や食器といった大切なものをしまっておくのに使われました。主屋から少し離れてつくられているのは、万一の火事の際に延焼を防ぐためだとか。

時代の移り変わりとともに職を求めて種蔵集落を離れる人もいて、現在、種蔵地区の住人は8世帯15人です。しかし、「住む家を壊すようなことがあっても倉だけは守れ、倉は食物や種物を保存しておいて、家族の命を守る宝物だから」という先祖からの言い伝えのためか、人が住まなくなった家は処分されても、板倉だけはそのまま残されています。

種蔵集落で暮らす人は少なくなりましたが、「飛騨市ふるさと種蔵村」という、種蔵を愛する方で組織する架空の「村(組織)」が開かれました。希望者は誰でも村民となって、集落に残る原風景を後世に残すために、景観資源の保全活動に参加することができます。

飛騨市ふるさと種蔵村 2024行事カレンダーにある通り、コンサートや新そばまつりといった行事も予定されており、いわゆる「観光」の枠を超えた体験ができることでしょう。

【集落詳細】
住所 岐阜県飛騨市宮川町種蔵
アクセス JR高山本線坂上駅から車で15分、飛騨古川駅から車で40分

飛騨みやがわ考古民俗館

飛騨みやがわ考古民俗館は、豊富な民俗資料と考古資料から、飛騨の人々がいかに山間部で生きてきたかを学ぶことができる施設です。

民俗資料として、国重要有形民俗文化財「宮川および周辺地域の積雪期用具」2,800点をはじめ、江戸時代から現代までの民俗資料16,000点あまりを収蔵展示、考古資料として、岐阜県重要文化財4件1,842点をはじめ、発掘調査で出土した旧石器から縄文時代(14,000~2,500年前)までの考古資料40,000点を収蔵展示しています。

ちょっと昔(昭和~江戸)のくらしから、ずっと昔(縄文~旧石器時代)まで、いにしえの暮らしの道具に宿る先人の知恵の結晶を見ることができる施設です。

【施設情報】
名称 飛騨みやがわ考古民俗館
住所 岐阜県飛騨市宮川町塩屋104
詳細 https://www.city.hida.gifu.jp/map/s077.html

飛騨産直市 そやな

「飛騨産直市 そやな」は、岐阜県飛騨市古川町の道の駅アルプ飛騨古川構内にある産直市場です。店内には地元で収穫された朝採れ野菜や果物をはじめ、飛騨に古くから根付いてきた伝統作物などスーパーでは見かけない野菜も並ぶほか、地酒や地元特産品もそろいます。

山々から田畑に流れ込む水は清らかで、中山間地ならではの寒暖差によってぎゅっと甘みが凝縮されるため、野菜がとてもおいしくなります。特に、果肉がしっかりしてコクのあるトマトや、柔らかくて甘みのあるほうれん草は人気です。

地元の新鮮野菜のほか、ここでしか手に入らない飛騨の特産品や加工品、地酒もそろいます。

【施設情報】
名称 飛騨産直市 そやな(上町農産物直売施設)
住所 岐阜県飛騨市古川町上町1348-1(道の駅アルプ飛騨古川構内)
アクセス 飛騨古川駅から車で約7分

【関連記事】
「飛騨産直市 そやな」オープン! 朝採れ野菜や地酒、地元特産品が勢ぞろい

Gattan Go!! (ガッタンゴー!!)

飛騨市で体験できる、レールマウンテンバイク「Gattan Go!! (ガッタンゴー!!)」は、自転車と廃線後の鉄路を組み合わせた新感覚のアクティビティです。

2006年12月に廃線になった旧神岡鉄道の鉄道資産をそのままの形で保存したいという地元の有志の声がきっかけとなり、鉄工所が設計図を引き、試行錯誤の末に完成したレールマウンテンバイク。漆山(うるしやま)の渓谷を走るスリリングな「渓谷コース」と、大人から子どもまで楽しめる「まちなかコース」の2つのコースがあります。

どちらのコースも、季節ごとに異なる飛騨らしい景色を眺めながら自然体験ができますよ。

【施設情報】
名称 レールマウンテンバイク Gattan Go!! (ガッタンゴー!!)
受付場所
・まちなかコース 岐阜県飛騨市神岡町東雲1327-2
・渓谷コース 岐阜県飛騨市神岡町西漆山
営業期間 
・まちなかコース 3月下旬~11月下旬
・渓谷コース 4月上旬~11月下旬
(詳細な営業日は公式サイトを確認のこと)

【関連記事】
飛騨の廃線を走る レールマウンテンバイク「Gattan Go!! (ガッタンゴー!!)」

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