「アドリア海沿岸で白く輝く世界遺産」クロアチア・シべニクの聖ヤコブ大聖堂を訪ねて
GOTRIP! / 2017年5月20日 11時30分
アドリア海沿岸に美しい中世の街々が連なる、クロアチアのダルマチア地方。「アドリア海の真珠」と呼ばれる世界遺産の街・ドゥブロヴニクが有名ですが、ダルマチア地方の世界遺産はドゥブロヴニクだけではありません。
クロアチアのアドリア海岸のほぼ真ん中に位置する小さな街がシべニク。世界遺産に登録されている聖ヤコブ大聖堂は、名実ともにシべニクのシンボルです。
旧市街の中心部、レプブリカ広場に面して建つ聖ヤコブ大聖堂。青い空に白亜のドームが映え、吸い込まれてしまいそうな美しさです。
1431年に建設が開始され、1535年の完成まで100年以上の歳月が費やされました。レンガや木材を使わず、石材のみで建てられた教会としては、世界で一番大きいのだとか。
シべニクはヴェネツィア共和国の支配下に置かれていた時代が長かったため、ヴェネツィアやトスカーナといった、現在のイタリアから建築家が登用されました。
途中で何度も建設責任者が代わったため、当初ゴシック様式で建設が始めらたものの、途中からルネッサンス様式へと変更されています。そのため、ゴシック様式とルネッサンス様式が見事に融合した大聖堂が誕生したのです。
外観で注目したいのが、「ライオンのドア」と呼ばれる北側の入口。アダムとイブの像やライオンの像が印象的です。
さらに東側の外壁には、ルネッサンス様式の傑作とされる71人もの人頭の彫刻がずらりと並んでいます。建築家ユライ・ダルマティナッツが30年もの歳月をかけて制作したものです。
これらの人々は、大聖堂建設当時の街の有力者ではないかと考えられており、大聖堂にこれほど多くの市民の彫像が施されているのは、きわめて異例。
内部に足を踏み入れると、この大聖堂が過ごしてきた時の長さを物語る、黒ずんだ石造りの内壁がこの上ない重厚感を醸し出しています。
そんななかでひときわ目を引くのが、鮮やかな色彩を放つ可憐なバラ窓。
バロック様式の主祭壇には15世紀に描かれた絵画「涙の聖母」が飾られています。とても小さな作品ですが、存在感は抜群。じっと目を凝らして見てください。
東南部の階段を降りたところには、1440年代に造られた洗礼室があります。気づかずに見過ごしてしまう人も多いですが、これを見逃すのは実にもったいない。
とても小さな空間でありながら、自分がまるごとそこに取り込まれてしまうようなパワーがみなぎっているのを感じます。
天井に彫られた、ゴシック様式とルネッサンス様式が混じった天使や聖人のレリーフは見事。優雅でありながら、力強さを感じさせる光景に思わず見入ってしまいます。
500年の時を経てもなお、色あせない美しさを誇る聖ヤコブ大聖堂。世界遺産にふさわしい、気高き傑作です。
聖ヤコブ大聖堂を擁するシべニクへは、クロアチア有数の観光都市であるスプリットから日帰りが可能。
大聖堂を中心に広がる中世の街並みを楽しんだ後は、高台にある聖ミカエル要塞から街を一望しましょう。アドリア海と、白く輝く大聖堂が織りなす風景は、きっと忘れられない美しさです。
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