壮麗な建造物群にうっとり、モロッコの世界遺産、バラ色の街・マラケシュの史跡地区を歩く
GOTRIP! / 2018年1月30日 6時30分
ピンク色に染まった建物で統一された街並みから、「バラ色の街」と称されるモロッコの古都・マラケシュ。重要な歴史的建造物がひしめくメディナ(旧市街)は、まるごと世界遺産に登録されています。
なかでもメディナの南に位置する「史跡地区」と呼ばれるエリアは、宮殿などの壮麗な建造物が集まる場所。今も歴史の息づかいが聞こえてきそうなマラケシュの史跡地区をのんびりと歩いてみましょう。
・クトゥビア
まずはマラケシュの代名詞、ジャマ・エル・フナ広場の向かいに立つモスク、クトゥビアからスタート。ひときわ高いミナレット(尖塔)をもつこのモスクは、今も昔も変わらないマラケシュのランドマークです。
1199年に造られた高さ77メートルのミナレットは、スペインのセビーリャにあるヒラルダの塔と並んでムーア様式の傑作といわれています。残念ながら非イスラム教徒は中に入ることができませんが、外からその端正なシルエットを堪能しましょう。
・アグノウ門
クトゥビアから南へ歩くこと約10分、「マラケシュで最も美しい門」といわれるアグノウ門に到着。12世紀に建造された堂々たる風格を漂わせる門で、アーチの周囲には馬蹄形や半円形の模様やコーランの一節が刻まれています。
スルタンが宮殿に行くために通った門でしたが、死刑に処された罪人の首をさらす場所でもあったのだとか。
・サアード朝の墳墓群
アグノウ門のほど近くにあるサアード朝の墳墓群は、16世紀から17世紀にかけてこの地を治めたサアード朝の歴代のスルタンが眠る墓廟群。のちのアラウィー朝のムーレイ・イスマイル王が周囲を壁で囲んでしまったため、1917年に空撮されるまでその存在が忘れ去られていました。
お墓といっても、鮮やかな象嵌細工や彩色タイル、モザイクで彩られた空間はまるで宮殿のような壮麗さ。廟には3つの部屋があり、なかでも色鮮やかなモザイクタイルで覆われた壁と、イタリア産の大理石でできた12本の柱をもつ「12円柱の間」は息を呑むばかりの美しさです。
・エル・バディ宮殿
サアード朝の墳墓群から東へ徒歩およそ10分のところにあるのが、エル・バディ宮殿。16世紀にサアード朝のアフメド・アル・マンスール王が25年の歳月をかけて建設した宮殿です。
しかし、アラウィー朝のムーレイ・イスマイル王によって破壊されたため、現在は廃墟と化し、華やかだったころの面影はあまり残っていません。かつては中庭を囲むようにして360もの部屋があり、数々の宝物が並んでいたといいます。
「宮殿」と聞いて想像する豪華な建物とはかけ離れた状態と化していますが、在りし日への想像を掻き立てる、哀愁漂う現在の姿もまた味わい深いものです。
・バヒア宮殿
廃墟と化しているエル・バディ宮殿とは対照的に、国王もたびたび宿泊するという壮麗な宮殿がバヒア宮殿。19世紀後半に、当時の大宰相の邸宅として14年をかけて建造されました。
壁や柱に施された緻密な装飾や天井に施された細密画が見事で、スペインにあるアルハンブラ宮殿にも負けない芸術作品といわれています。部屋によって趣の異なる装飾に、イスラム美術の神髄をまざまざと見せつけられるような気がするはず。
・ダール・シ・サイード博物館
バヒア宮殿のほど近くにあるダール・シ・サイード博物館は、もともと19世紀に宮殿として建てられたものですが、20世紀になって工芸博物館として使用されるようになりました。
バヒア宮殿にも負けないほど豪華で美しい装飾が印象的な空間ながら、観光客はバヒア宮殿に比べるとずっと少ないので、建築好き・写真好きの人にとっては穴場スポットといえます。
マラケシュを彩ってきた華やかな歴史を肌で感じられる史跡地区さんぽ。きっと、マラケシュの魅力はカオスなフナ広場や迷路のようなスーク(市場)だけではないことが実感できるはずです。
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