【世界遺産】緑に抱かれたリトアニアの首都・ヴィリニュスの観光スポット9選
GOTRIP! / 2017年12月27日 6時30分
「バルト三国」と呼ばれるエストニア、ラトビア、リトアニアのうち、最も南に位置するのが敬虔なカトリック教徒の国・リトアニア。
エストニアのタリン、ラトビアのリガ同様、リトアニアの首都・ヴィリニュスも歴史的な町並みがまるごと世界遺産に登録されています。
深い森に抱かれたヴィリニュスは、港町のタリンやリガとは違い、バルト三国の首都としては唯一内陸に築かれた町。一国の首都とはいえ、フィンランドからのフェリーがやってくるタリンやバルト三国最大の都市であるリガに比べ、ずいぶんとのどかで牧歌的な空気が流れています。
優しくてどこか懐かしい、世界遺産の町ヴィリニュスで訪れたい9つの観光スポットをご紹介します。
・夜明けの門
旧市街の南の入口である夜明けの門の2階に設けられた礼拝所。ここにある聖母のイコンは、奇跡を起こす力があると信じられており、小さな礼拝所ながら、熱心に祈りを捧げる信者がひっきりなしにやってきます。
礼拝所の壁は人々が病気の治癒や幸福を願って捧げた銀細工で覆われており、人々の真剣な願いが生み出す神聖な空気に圧倒されます。
・大聖堂
ヴィリニュスのシンボル的存在である主教座教会が、ギリシャ神殿を思わせるファサードが印象的な大聖堂。
もともとこの場所にはペルクーナス(雷)を祀る神殿があったといわれ、最初の教会は13世紀にキリスト教を受け入れたミンダウガス王によって建てられました。その後、破壊や再建、増改築が繰り返され、18世紀の大改築によって現在見られるようなクラシック様式の大聖堂となりました。
内部にはいくつかの礼拝所が設けられており、最大の見どころはリトアニアの守護聖人・カジミエラス王子が眠る聖カジミエルの礼拝所。大理石と砂岩で作られた空間は8体の王の像や漆喰彫刻、フレスコ画などで飾られ、その豪華さと厳かな雰囲気は圧巻です。
・ヴィリニュス大学
1579年に創設された古い歴史をもつ大学で、今も現役の大学でありながら、ヴィリニュスを訪れる旅行者に人気の観光スポットでもあります。
ヨーロッパでも特に美しい大学のひとつとして知られ、一般の見学を受け付けている「四季」のフレスコ画が描かれた2階のホールやクラシック様式の古書室などは息を呑むほどの壮麗さ。
同じ敷地内にある大学付属の教会、聖ヨハネ(ヨノ)教会も絶対に見逃せません。
14世紀に建設がはじまり、18世紀にバロック様式に改築された聖ヨハネ教会は、その躍動感から「視覚的音楽」とも称される本堂の祭壇で有名。10の独立した祭壇が一体となってたたみかけるように迫ってくる感覚は、実際に訪れた人にしかわからない感動です。
・聖アンナ(オノス)教会
ヴィリニュスを代表するゴシック教会が、15世紀末に建てられた後期ゴシック様式の聖アンナ教会。33種類もの異なった形のレンガが使われており、枝を伸ばす大樹のような、あるいは燃え盛る炎のような躍動感を感じさせる外観は、フランボワイヤンゴシック建築の傑作と呼ばれています。
1812年にこの教会を目にしたナポレオンは、「わが手に収めてフランスに持ち帰りたい」と称賛したのだとか。
・聖ペテロ&パウロ教会
バロックの町ヴィリニュスを代表する記念碑的な建築が、聖ペテロ&パウロ教会。内部に一歩足を踏み入れれば、30年以上かけて造られたという2000以上の漆喰彫刻で覆われた内装のあまりの美しさに驚かされます。
ここにある彫刻は、一見同じ花の彫刻でも、その花びらの付き方や形が違っていて、ひとつとして同じものはないといわれています。
聖人や天使、動物や植物などさまざまなモチーフを表した彫刻は、今にも命を得て動き出しそうなほど精巧で生き生きとしています。その素晴らしさは、「バロックの凍れる音楽」「リトアニアバロックの真珠」とたたえられているほど。
・ゲディミナス城
ヴィリニュス創設の伝説が残るゲディミナス城は、13世紀に着工され、まずは丘の上の城が築かれ、16世紀に下の城もほぼ完成しました。城といっても、現在はなかば廃墟のようになっていて、宮殿の一部だった建物が残るばかり。
とはいえ、ここはヴィリニュスのパノラマを楽しむ絶好の場所。景色を見るためだけでも登ってみる価値はあります。丘の上にそびえるゲディミナス塔の中には「丘の上の博物館」があり、14世紀と17世紀の模型や、武具などが展示されています。
・KGB博物館
1944年から1991年まで、ソ連の秘密警察・KGBが本部として使っていた建物がKGB博物館。おもに政治的な理由で逮捕され、連れてこられた人々が実際に拘留された部屋や拷問を受けた部屋、処刑に使われた地下室などが公開されています。
1000人以上が地下室で銃殺刑に処せられたといいますが、いったい何人の人々がここに拘留されたのか、正確な数字はわかっていません。大国の支配を受けた時期が長かったリトアニアの苦難の歴史の一端が垣間見えます。
・ウジュピス共和国
旧市街の東、ヴィリニャ川の対岸に広がるエリアが、ヴィリニュスにあるもうひとつの国、ウジュピス共和国。ここは15世紀ごろから労働者や職人が住み始めた地域で、16世紀に橋が架けられるまでは旧市街と隔絶されていました。
その後も旧市街の発展から取り残され、「治安の良くないうらびれた場所」という位置づけでしたが、ソ連時代の後期から独特の雰囲気を好んだ芸術家や若者が住むようになり、「ヴィリニュスのモンマルトル」ともいわれるまでに。
正式な国家として認められているわけではありませんが、ウジュピス共和国は「芸術共和国」として独立を宣言。町なかには26の言語に翻訳された独自の憲法も掲げられています。
毎年4月1日の「独立記念日」には出入国審査が実施され、この日にウジュピス共和国に「入国」するにはパスポートが必要になることをお忘れなく。
・トラカイ城
ヴィリニュスから足を延ばして訪れたいのが、かつてリトアニアの首都が置かれていた近郊の町・トラカイにあるトラカイ城。30以上の湖と森に囲まれた赤れんがの古城は、まるで湖に浮かんでいるかのようで絵のような美しさを見せてくれます。
トゥラカイ城は14世紀後半にチュートン騎士団の侵略を防ぐため、また祭事などを執り行うために、キェストゥティス公とヴィタウタス大公によって建設されました。
ヴィタウタス大公の死後、軍事拠点としての重要性を失った城は荒れ果ててしまいましたが、1961年から復元工事が始められ、1987年にはほぼ15世紀当時の姿を取り戻しました。
湖に架かる橋を渡って城門をくぐった瞬間、中世にタイムスリップしたかのような気分に。もともと防衛目的の城として建てられただけに、その堅牢さには目を見張ります。
トラカイを訪れたら、ぜひ「キビナイ」と呼ばれる名物のパイにもトライしてみてください。
派手さはないものの、どこかほっとするような素朴な雰囲気が魅力のヴィリニュス。この町を歩いているうちに、自然と心が安らいでいることに気づくでしょう。
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