青の絨毯広がる神秘の森へ、ロンドン近郊のアッシュリッジ・エステート
GOTRIP! / 2018年5月10日 11時30分
イギリス各地の森に古くから自生し、森一面をまるで青の絨毯のように染めてしまう「イングリッシュ・ブルーベル(English bluebell、学名:Hyacinthoides non-scripta)」をご存知でしょうか?色は紫がかった青で、すずらんのように垂れ下がった茎に筒状の花を鈴なりに咲かせる可憐な花です。
イギリスでは昔から『妖精の花』といわれ、多くの書物や絵本にブルーベル・フェアリーが描かれています。イングランド南西部のサマセット地方には「ブルーベルを採りに森に入ってはいけない。子供は帰ってこられなくなり、大人はピクシー(いたずら好きの妖精)に変身させられて、誰かに見つけてもらえるまで森を出られなくなってしまうから」という言い伝えがあるほど。
例年4月~5月に見頃を迎え、この時期になると多くの人がこぞってブルーベルの景勝地に出かけます。
そんな中でもイギリス屈指の青の絨毯が見られる場所が、ロンドンから車で約1時間、電車でも十分に日帰り可能な「アッシュリッジ・エステート(Ashridge Estate)」です。
歴史的名所や自然的景勝地の保護を目的とした団体「ナショナル・トラスト(National Trust)」が管理し、無料で常時開放(※)されているこの森が、一年で最も賑わうのが何といってもブルーベルの季節。ロンドン近郊ということもあり、シーズン中は駐車場やカフェも連日混み合います。
(※シーズン中一部区画のみ有料ですが本記事中には含まれていません)
ブルーベルが群生する範囲は駐車場とビジターセンターを境に北側と南側に分かれており、そのどちら側にも「フットパス(Footpath、遊歩道)」が整備されています。
地図に描かれていないフットパスも無数にあり、道に迷いながらも時よりある道しるべや携帯電話の地図をたよりに森を散歩。コースによっては20分~1時間半ほどで歩けますが、地図にないフットパスを歩き森の奥へ足を踏み入れると、いつの間にか3~4時間経過してしまいます。
広大な森の中、車椅子やベビーカーが通れるよう広めに整備されたフットパスを外れ、細いフットパスから森の奥へと足を進めると人影が少なくなりとても静か。
陽がさした森は新緑と青のコントラストが鮮やかで、生き生きとしたエネルギーを感じます。
お出かけの日が曇っていても残念がる必要はありません。陽が当たらない薄暗い森に咲くブルーベルはより一層神秘的。本当に妖精が現れそうな気がしてなりません。
木登りにピッタリの木や枯れ枝で作られたデンが所々にあり、活発な子供も大喜び。
イングリッシュ・ブルーベルは近年その数が減り続けており、「野生生物及び田園地帯保護法 ( Wildlife and Countryside Act 1981)」により保護の対象とされています。同法のもと、野生のイングリッシュ・ブルーベルを販売目的で採取することは、たとえその土地の所有者であっても許されていません。そして、その後強化された同法によって野生種の球根または種子の商取引も違法とされています。
この森では今も見事に群生するブルーベルですが、実はか弱く変化を好まないという特徴があり、これほど広範囲に咲くようになるには何世紀もかかるのだとか。『イングリッシュ・ブルーベルが咲く森は古代の森である』といわれ、自然環境を調査する際の指標とされています。
葉を踏んでしまうと再生するのは難しく、光合成ができなくなり枯れてしまいます。くれぐれもフットパスを外れてブルーベルを踏まないようウェブサイトやビジターセンターで呼びかけられていますが、残念ながら写真撮影を目的にブルーベルを踏みつけながら群生地に足を踏み入れる人の姿が後を絶ちません。
そんなイングリッシュ・ブルーベルを凌駕する勢いで生息域を広げているのが、生命力の強い「スパニッシュ・ブルーベル(Spanish Bluebell)」またはスパニッシュとイングリッシュの交配によるハイブリッド型のブルーベルです。
イングリッシュ・ブルーベルの商取引が禁止されているので当然といえますが、民家の庭先などに人によって植えられているのはほぼスパニッシュ・ブルーベルです。
見分け方は簡単。垂れ下がった茎に筒型の花をつけるイングリッシュに対し、真っ直ぐ伸びた茎に薄紫色のラッパ状の花がつくのがスパニッシュです。こちらも美しい花ですが、イングリッシュに比べて全体的に大ぶりでいかにも生命力が強そう。
最近は民家のみならず、公園やロンドン市内の森でもみかけるようになったスパニッシュ・ブルーベル。幸いアッシュリッジ・エステートの森で見かけたことはありませんが、ネイティブのブルーベルにとって変わられることがないよう注意が必要です。
この先の未来もこの美しい風景が残されていくことを祈るばかりです。
・Ashridge Estate
住所:Moneybury Hill, Ringshall, Berkhamsted HP4 1LT
・行き方
車:ロンドンより北西方面に車で約1時間。
電車:ロンドン「ユーストン(Euston)」駅より電車で「トリング(Tring)」駅下車(乗車時間35分)。トリング駅より徒歩約40分、バス+徒歩なら約20分。
Post: GoTrip! http://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア
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