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【世界のお城】ドイツ騎士団が築いた世界遺産のレンガの城、ポーランドのマルボルク城を訪ねて

GOTRIP! / 2018年11月22日 11時30分

世界遺産にして、世界最大のレンガ造りの城、マルボルク城。

旅行サイト、トリップアドバイザーの「死ぬまでに行きたい、世界の名城25選」にも選ばれたこの城は、かつて隆盛を誇ったドイツ騎士団が13世紀に建設した巨大な城塞です。

第二次世界大戦の爆撃で半分以上が破壊されたものの、戦後見事に復元され、1997年には世界遺産に登録されました。

「マルボルク城」という名前は、「聖母マリアの城」の意味で、ドイツ語では「マリエンブルク」と呼ばれます。もともと防衛を目的に建設された城だけに、マルボルク城は外観・内装ともに質実剛健で重厚感たっぷり。

有名なドイツのノイシュヴァンシュタイン城のように、王侯貴族が富や名声を誇示するために造った城とは趣がまったく異なります。

マルボルク城の敷地はなんと21ヘクタールにも及び、東京ドームが4個半も入ってしまう大きさ。ヨーロッパに古城は数あれど、これほどまでに大規模な城にはなかなかお目にかかれません。

マルボルク城があるのは、ポーランド北部の港町グダンスク近郊のマルボルク。グダンスク中央駅からマルボルク駅までは、特急列車で30分強。マルボルク駅からマルボルク城へは、徒歩約20分です。

「ドイツ騎士団の城なのに、なぜポーランドにあるの?」という素朴な疑問を抱いた方もいるかもしれません。建設から現在にいたるまでの700年間、マルボルク城は実に波乱万丈の歴史を歩んできました。

時をさかのぼること12世紀、設立から間もないドイツ騎士団は、巡礼者の保護のため、エルサレムをはじめとするキリスト教の巡礼地で活動していました。

13世紀になると、中世バルト族のプルーセン人をキリスト教に改宗させるために現在のポーランド北部へとやってきて、マルボルクの地に城塞を築きます。

その後、マルボルク城はポーランド王国やポーランド・リトアニア共和国、プロイセン王国、スウェーデンと、その帰属を転々とし、ポーランド王の所有となった15~18世紀には、さかんに増改築が行われ現在見られるような姿となりました。

マルボルク城は、下城、中城、高城とよばれる3つのエリアから構成されています。

城の入場料金はオーディオガイドのレンタル込み。残念ながら日本語はありませんが、オーディオガイドは順路案内も兼ねているため、英語が得意でなくともオーディオガイドは借りておきましょう。

大規模な城塞だけに、見るポイントによってまったく異なる表情を見せてくれるマルボルク城。下城、中城、高城の3つのエリアのうち、見どころは騎士団総長や司令官の居住の場で、政務も執り行われた中城や、宗教的役割を担っていた高城に集中しています。

中城の見どころのひとつが、大食堂。

ゴシック様式のヴォールト天井や窓は、中世ヨーロッパの教会を思わせまずが、ここはドイツ騎士団の団員や、西ヨーロッパから招かれた兵士たちが食事をとった場所です。

「マルボルク城(聖母マリアの城)」の名の通り、天井装飾にも聖母マリアが登場。聖母マリアの絵画や彫刻は、マルボルク城で繰り返し登場しますので、ぜひ細かな部分の装飾にも注目してみてください。

この大食堂で最もユニークなのが、当時の床暖房システム。床下には3層の空間があり、熱せられた石の熱気で部屋全体を暖める仕組みになっているのです。

何世紀も前とはいえ、ここは冬の寒さが厳しいポーランド。意外にも近代的な暖房設備があったことに驚きです。

マルボルク城の展示空間はいくつもの部屋に分かれており、なかにはオーディオガイドの案内がないとそうとは知らず素通りしてしまいそうな部屋も少なくありません。

そんな展示室のひとつが、中城にある琥珀の展示です。もともと倉庫だった地下ホールを利用した展示室では、巨大な琥珀の原石や、虫や植物が閉じ込められた希少な琥珀、琥珀で作った豪華な装飾品などが展示されていて、見ごたえ十分。

ポーランドは世界一の生産量を琥珀の産地として知られ、バルト海沿岸のグダンスク周辺が琥珀産業の中心地。この地域の歴史と文化の一部であり、富の源泉でもあった琥珀の展示は、この地域ならではのものといえるでしょう。

中城の見学を終えたら、いよいよ厳かな雰囲気漂う高城へ。

マルボルク城における宗教的な役割を担っていたエリアで、城の最も大切な宝物が隠されているかのようなたたずまいに圧倒されます。

高城の中庭には井戸があり、井戸のてっぺんにはヒナにエサをやるペリカンの像が設けられています。キリスト教世界において、ペリカンはキリストの血の償い、犠牲のシンボル。

このように、広大な城内の装飾それぞれに意味があり、一つひとつをじっくり見ていると一日かかっても見きれないほどです。

高城内にある教会は、レンガの内壁が半ば朽ちた状態ながら、聖人の彫刻や壁画が美しい荘厳なる空間。戦災を受けながらも、堂々たる姿を取り戻した城が経てきた数百年という時間の重みをひしひしと感じます。

城内を観光したら、川に架かる橋を渡って対岸からのマルボルク城を眺めるのを忘れずに。川沿いにひっそりとたたずむ城の風景は、ここだけ時が止まっているかのようで、ひときわ幻想的です。

駆け足で周ってもゆうに2~3時間はかかってしまうマルボルク城。この城を訪れる際にはたっぷりと時間をかけて、中世そのままの壮大なる城の世界を楽しんでください。

Post: GoTrip! http://gotrip.jp/旅に行きたくなるメディア

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