【世界遺産】「天国の城」と称される、ヒルデスハイムの聖ミヒャエリス教会
GOTRIP! / 2018年10月27日 6時30分
北ドイツ、ニーダーザクセン州の都市ヒルデスハイム。中世都市として栄えたこの街には、世界遺産に登録されている教会がふたつあります。
それが、聖マリア大聖堂と今回ご紹介する聖ミヒャエリス教会(聖ミカエル教会)。
ヒルデスハイム中央駅から徒歩およそ15分、小高い丘の上に位置する聖ミヒャエリス教会は、ドイツ最古級のロマネスク建築。ドイツで最も美しい初期ロマネスク様式の教会といわれています。
その歴史は聖マリア大聖堂よりも古く、1010年にヒルデスハイム司教ベルンヴァルトによって礎石が置かれ、1022に献堂されました。
もともとはカトリックの教会として建てられましたが、宗教改革によりヒルデスハイムがプロテスタント化されたため、この教会もプロテスタントに改宗しています。
「聖ミヒャエリス教会」という名は、当時司教が傾倒していた大天使ミカエルにちなんだもの。(ドイツ語で「ミカエル」は「ミヒャエル」と発音)
いくつものの円塔や角塔をもつ複雑な姿は、どこか異次元の世界の建物のようで、一度見ると忘れられない印象を残します。
地元の人々はその姿を「天国の城」と呼んでいるとか。小高い場所に建っていることも手伝って、地上と天をつなぐ役割を果たしているかのように見える聖ミヒャエリス教会。
高層ビルなどなかった中世の時代、この教会の威容が人々を圧倒し、信仰心を掻き立てたであろうことは想像に難くありません。
ヒルデスハイムは、第二次世界大戦で大きな被害を受けました。
この聖ミヒャエリス教会も例外ではなく、爆撃で破壊されてしまいますが、1950年代に再建が完了。堂々たる姿を取り戻し、1985年には大聖堂とともに世界遺産に登録されました。
古いロマネスク様式の教会らしく、内部は華美な装飾を抑えた質実剛健な空間。
訪れるものを威圧するような雰囲気はまったく感じられず、むしろ誰をもあたたかく包み込んでくれるような、素朴であたたかい雰囲気が印象的です。
時折ヒルデスハイムの信者たちによるイベントも開催されており、「市民の教会」といった趣が感じられます。
この教会で最も貴重なのが、頭上を鮮やかに彩る天井画。
1300枚ものオーク板にキリストの系譜が描かれた大規模な作品で、1230年ごろに制作されたとみられています。
13世紀の絵画がこれほどの規模で残っているのはドイツ全土でも珍しく、この天井画はロマネスク時代の宗教美術を伝える貴重な例なのです。
教会自体は第二次世界大戦の被害を受けましたが、天井画が描かれた天井板は取り外され、安全な場所に保管されていたために戦災を免れました。
派手さはありませんが、見れば見るほど味わい深く、歴史的・芸術的価値の高い聖ミヒャエリス教会。
ヒルデスハイムを訪れたら、美しい木組みの町並みとともに、ドイツを代表するロマネスク教会を味わってはいかがでしょうか。
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