更年期以降の女性は要注意?食べてLDLコレステロールを下げる4つの簡単習慣【専門医監修】
ハルメク365 / 2024年7月14日 18時50分
女性は更年期以降に特に上昇するコレステロール値。動脈硬化などを引き起こす悪玉コレステロールとの付き合い方を専門医に伺う3回の企画。今回は、食事で悪玉コレステロール値を下げる方法についてです。すぐに取り入れられる4つの習慣を紹介します。
教えてくれたのは:田中裕幸(たなか・ひろゆき)さん
循環器専門医
1954(昭和29)年佐賀県生まれ。長崎大学医学部卒業。九州大学医学部、久留米大学第三内科(循環器)を経て、佐賀県武雄市で医療法人ニコークリニックを開業し、現在は名誉院長。日本性差医学・医療学会評議員、更年期と加齢のヘルスケア学会幹事など。著書に『男は40代、女は50代から悪玉コレステロールの罠にはまるな』(青萠堂刊)。
動脈硬化を起こすコレステロールは質が重要!
出典:田中裕幸
更年期以降、女性ホルモンのエストロゲンが低下するとLDLコレステロール値が上昇し、血管内にプラークができる動脈硬化を引き起こす可能性があることは、前回までに詳しく解説しました。
しかし、LDLコレステロール値が高くても、その質は一人一人違います。血中の「リノール酸」濃度が高いとLDLコレステロール値が高くなり、動脈硬化が進みやすくなるため、注意が必要と循環器専門医の田中裕幸さんは言います。
ここからは、リノール酸を減らすための4つの食習慣について詳しく伺います。
食習慣1:リノール酸の多い油を減らす
「リノール酸は体内で合成することのできない必須脂肪酸で、基本的には外から摂取しなければ増えません。ですからLDLコレステロール値を下げるために、まず取り組むべきはリノール酸の摂取を控えることです」と田中さん。
リノール酸は肉の脂にも含まれますが、最も多く含まれているのは植物油です。
「調理をするときは、リノール酸の少ないオリーブ油などを使うとよいでしょう。ただしオリーブ油に多いオレイン酸は中性脂肪を上げるため、使い過ぎにはご注意を」と田中さんは話します。
リノール酸が多いのはどの油?可食部100gあたり脂肪酸(mg)/出典:日本食品成分表(医歯薬出版)
食習慣2:パンやお菓子のリノール酸にも注意
厚生労働省「国民健康・栄養調査」によれば、女性は男性よりも菓子類を多くとっていて、特に多いのがケーキ・ペストリー類、ビスケット類などです。「こうした菓子類は、糖質だけでなく油脂も豊富。その油脂がマーガリンや植物油であれば、無意識のうちにリノール酸をたくさんとっていることになります」と田中さん。
また、ご飯よりパン食が好きな人も要注意だそう。
「パンにはマーガリンや植物油が使われていることが多く、トランス脂肪酸も含まれています。トランス脂肪酸の過剰摂取はLDLコレステロールを増やし、動脈硬化のリスクを高めます。パンや菓子類は成分表示も確認しましょう」と田中さんは注意を促します。
トランス脂肪酸は、ふんわりしたパンやサクッとした食感のスナック菓子、クッキー、また揚げ物などに多く含まれています。間食や外食でいつの間にか摂取が増えてしまいがちなので注意しましょう。
食習慣3:魚の油がリノール酸の害を減らす
魚に含まれるEPAやDHAは、血中のリノール酸濃度を下げ、動脈硬化を抑制することがわかっています。
「日本人はLDLコレステロール値が高くても、欧米人と比べて動脈硬化があまり進まず、心疾患になる人も少ないです。その理由はEPAやDHAの摂取量の違いと考えられます」と田中さん。
EPAやDHAをしっかりとるために、魚は生で食べるか、煮たり焼いたりしても脂ごと食べるといいそうです。
「私は毎日刺し身8切れを目安にとっていますが、最低でも週2回は脂肪分の多い魚を食べることをおすすめします。肉料理を魚料理に切り替えれば、リノール酸の摂取量を減らすことにもなります。
魚が苦手な方は、体内でEPAに変わるエゴマ油やアマニ油を取り入れてみてください」と田中さんは話します。
食品に含まれる脂肪酸食品に含まれる脂肪酸 可食部100gあたり(mg)/出典:日本食品成分表(医歯薬出版)
食習慣4:卵は数より調理法が大事
「コレステロール管理で大事なのは、卵の量ではなく調理法です」と田中さん。目玉焼きや卵焼きは、調理に植物油などの油脂が多く使われることから、習慣的に食べると血中のリノール酸濃度が増え、LDLコレステロール値を上昇させる可能性があります。
「私の患者さんで卵料理を目玉焼きからゆで卵に替えてもらったら、LDLコレステロールの値が低下した例がありました。卵は調理法さえ気を付ければ、貴重な必須アミノ酸の供給源なので、積極的に食べましょう」と田中さん。
どの習慣も、少しの工夫で取り入れられるものばかりなので、ぜひ今日から実践してみてください。
※効果には個人差があります。持病をお持ちの方は医師にご相談ください。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
取材・文=五十嵐香奈(ハルメク集部) イラストレーション=ゼリービーンズ
※この記事は雑誌「ハルメク」2023年6月号を再編集し、掲載しています。
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