10万円以上差がつくことも!「知っていると大違い」介護にまつわる支援やサービス
ハルメク365 / 2024年6月27日 21時0分
![10万円以上差がつくことも!「知っていると大違い」介護にまつわる支援やサービス](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/halmek/halmek_article_11721_0-small.jpg)
将来の親の入院や介護に備えて今からできる対策をそれぞれの専門家に聞く特集です。前回のきっかけ期、あたふた期に続き、最後はとまどい期に起こりがちな困りごととその対策を紹介します。介護保険や公的サービスをいかに活用できるかもポイントです。
教えてくれた人:後藤佳苗(ごとう・かなえ)さん
一般社団法人あたご研究所代表理事。看護学修士、保健師、ケアマネジャー。現在、ケアマネジャーに必要な知識と技術を伝える講演活動を全国で行っている。
とまどい期の困る1:実家が介護に適さず家族の負担増
知っておく:費用の一部は介護保険で給付されます親が一人で寝起きしたり、歩くのが大変になってきたら、まずは介護保険を活用しましょう。介護ベッドや杖などのレンタル費や介護リフォーム費用の一部が給付され、自己負担額1~3割で利用できます。
福祉用具購入費の給付限度額は同一年度で10万円。まず全額を事業所に支払いますが、後日申請すれば給付金が支給されます。また住宅改修費の上限額は20万円。支給を受けるには事前に自治体からの承認が必要。介護度によっては受けられないものもあります。
【例えばこんな福祉用具の購入費助成、レンタルができます】
- 介護用ベッドレンタル
- 自動排泄処理装置レンタル
- 車いすレンタル
- 入浴補助用具購入 など
【例えばこんなリフォームができます】
- 段差の解消
- 便器の洋式化
- 扉の変更 など
自治体(練馬区)独自事業の例
- 浴槽の取り替え
- エレベーターの設置
とまどい期の困る2:家族のうち一人に負担が集中
知っておく:公的サービスの活用で家族の負担減介護保険のサービスには、自宅で利用できるサービスとして、 市町村をまたいで利用できる「居宅サービス」と、原則として住んでいる市町村のみで利用する「地域密着型サービス」があります(下を参照)。利用するには、ケアマネジャーが作成したケアプランが必要(無料)です。
さらに自治体独自のサービスとして、訪問介護の回数や時間アップなど、介護保険の給付限度額を超えたサービスを提供する「上乗せサービス」、配食、寝具の洗濯など、介護保険の対象外のサービスを提供する「横出しサービス」があることも。内容は自治体によって異なるため、確認してみましょう。
基本サービス:地域密着型サービス事業所のある市町村民に柔軟な体制で在宅介護生活を支援するサービス。
【定期巡回・随時対応型訪問介護看護】
24時間体制で、定期的または何かあったときに連絡するとホームヘルパーや看護師などが訪問し、介護や看護を行う。
【夜間対応型訪問介護】
夜間に、定期的または何かあったときに連絡すると、ホームヘルパーが訪問し、介護や日常生活の世話を行う。
【地域密着型通所介護】
定員18人以下の小規模なデイサービスセンターで、食事や入浴などの日常生活の支援や機能訓練を日帰りで行う。
【認知症対応型通所介護】
認知症の方を対象にしたデイサービスセンターで、食事や入浴などの日常生活の支援や機能訓練を日帰りで行う。
【小規模多機能型居宅介護】
施設への「通い」を中心に、利用者の状況や希望に応じて、自宅に来てもらう「訪問」や施設への「宿泊」を組み合わせて利用できるサービス。
【看護小規模多機能型居宅介護】
小規模多機能型居宅介護のサービスに加え、「訪問看護」を組み合わせたサービス。
【認知症対応型共同生活介護(グループホーム)】
認知症のある方が少人数で共同生活をして、日常生活の介護や支援、専門的な訓練を行う。
とまどい期の困る3:実家での介護が難しくなってきた
今やる:シニア向け住宅の検討は親が元気なうちにシニア向け住宅には介護保険が適用される「特別養護老人ホーム」から、民間の有料老人ホームまで、さまざまなものがあります。いざとなってから一から探し始めるのは、親も子どもも体力、気力的に大変。最期までどんな暮らしをしたいのかを見据えて、親が元気なうちから検討しておきましょう。
基本サービス:居宅サービス自宅を拠点に利用できるサービス。ケアマネジャーと相談しながら希望に合うものを組み合わせて利用できます。
【居宅介護支援】
ケアマネジャーへの相談、ケアプランの作成を無料で行い、安心してサービスを利用できる支援を受けられる。
【訪問介護】
ホームヘルパーが自宅を訪問し、調理や掃除などの生活援助や、食事や排せつといった身体介護などを行う。
【訪問入浴介護】
自宅に移動式浴槽を持ち込み、寝たまま入浴させてくれる。
【訪問看護】
看護師が自宅を訪問して、主治医との連絡を取りながら点滴の管理などを行う。
【訪問リハビリテーション】
理学療法士や作業療法士などが自宅を訪問し、リハビリテーションを行う。
【居宅療養管理指導】
医師、歯科医師、薬剤師などが自宅訪問し、療養上の管理指導を行う。
【通所介護(デイサービス)】
定員19名以上のデイサービスセンターなどに日帰りで通い、食事・入浴などの日常生活の支援やレクリエーションなどを受けられる。
【通所リハビリテーション】
病院、診療所や介護老人保健施設などに日帰りで通い、リハビリテーションを行う。
【短期入所生活介護(ショートステイ)】
特別養護老人ホームなどの施設に一時的に宿泊し、食事や入浴などのサービスを受けられる。最長30日まで連続で利用可能。
【短期入所療養介護(医療型ショートステイ)】
介護老人保健施設などに短期入所して、医療ケアや食事や入浴などのサービスを受けられる。最長30日まで連続で利用可能。
次回からは親の入院や介護にあたって、頼りになるかかりつけ医の見つけ方や上手な付き合い方を紹介します。
取材・文=取材・文=大門恵子、児玉志穂、新井理紗(ともにハルメク編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2019年12月号を再編集しています
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