キャシー中島さん【第1話】自分も相手も受け入れて…72歳のビッグマム「ハッピーの流儀」
ハルメク365 / 2024年6月16日 20時30分
![キャシー中島さん【第1話】自分も相手も受け入れて…72歳のビッグマム「ハッピーの流儀」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/halmek/halmek_article_12028_0-small.jpg)
50代は区切りの時期。 これからは自分のために生きよう 前に進もうって思えたの
タレントとして、パッチワーク作家として今なお精力的に活動しているキャシー中島さん。最愛の娘の死、へバーデン結節や皮膚がんの闘病……度重なる苦難を乗り越えて今。キャシーさんに「ハッピーな生き方」を教わる特別インタビュー第1回。
70代、お節介焼きの
ビッグマムになりました
最近、よく思うんです。なんで私、こんなにもドーンとした“ビッグマム”になっちゃったのかしらって(笑)。妻として、母として、3人の孫を持つおばあちゃんとして家族のお世話をするのはもちろんですが、周りで何か大変そうなことがあったりしても、見て見ぬ振りができないの。
この間なんか、外から大声が聞こえてきたので、「何っ!?」と飛び出して行ったら、親子げんかの真っ最中でね。「大丈夫?」「子育てはいろいろあるわよね」などと、ちょっとお節介を焼いてしまいました。
そうやって首を突っ込んでしまうのは“危ない”って周りからは言われるんだけど、やっぱり放っておけないのよね。
“太った私”と“更年期”が
自分を解放してくれた
見た目も、ビッグマムになりました。
若い頃はスタイルがよくて、みんなからチラチラ見られたり、チヤホヤされたりするのを当たり前と感じるような、いやな女の一面もありました。
でも結婚してすぐ、お腹に赤ちゃんが入ってね。それから体型が著しく変わりました。人とすれ違うときに聞こえるのね、「キャシー中島、太っちゃったねー」って。で、30代はずいぶんダイエットもしたけれど、40代になったらこう思うようになったんです。これが私のもともとの体型なんじゃないかしらって。そしたら気が楽になりました。
私は“太ったキャシー中島”。その私ができることをやっていけばいいし、お洋服だってふくよかな体型に似合う、明るい色のものを着ましょうって。解放された気持ちでしたね。
更年期も私にとっては解放でした。
50代に入ってすぐに閉経して、なんだかすごく楽になったんです。
更年期症状というのはあったと思いますよ。寝ているときにドキドキしたり、カーッと熱くなったり、小さなことにイラッとしたり。でも仕事をする上で、そんなに大きな問題ではなかったですね。
子どもたちも大学生や社会人になって、子育てからも卒業。これからは自分の時間を作ろうと、キルトの仕事をすごく一生懸命やるようになりました。
更年期以降の手指の痛み…
唯一忘れられる時間は
『Aloha nui loa キャシー中島・51年目のキルト作品集』(大和書房刊)より©斉藤亢
キルトとの出合いは、20歳のときでした。
仕事で行ったアメリカのサンタモニカで、偶然、キルトショップに飾られていた、きれいな色のパッチワークキルトを見たんです。まさに運命の出合い!
すぐに作り方を教えてもらい、その日から夢中で縫い始めました。あれから51年。キルトは私の人生そのものです。
そのキルトを縫う指に異常が出たのは、45歳の頃でした。右手の指の第1関節が赤く腫れて、痛くて痛くて。キルト教室の生徒さんから、“ヘバーデン結節”だと教えてもらいました。
さらに65歳くらいになると、今度は右手の薬指の第2関節が腫れて痛くなったの。結婚指輪も入らなくなってね。キルト展のサイン会にいらしていたお客様が、「キャシーさん、それブシャール結節ですよ」って。えーっ、ヘバーデンだけでも大変なのに、ブシャールも!? 困ったなぁって思いました。
でもね、キルトを縫っているときは痛くないんです。雑巾を絞ったり、ペットボトルのフタを開けたりするのは痛くてできないのに、チクチク縫うのは大丈夫なの。不思議でしょ。たぶん縫っているときは、ただただ楽しいからなんでしょうね。
「キルトは根を詰めて縫うから大変でしょう」とよく言われるんですが、私ね、全然根を詰めてないんです。ものすごくがんばってるという意識もないんです。縫っているときは、ひと言で言うと「ハッピー!」。ストレスだって、縫っているうちに発散できちゃう気がします。
とはいえ、これからも指の痛みとはお付き合いしていかないとね。指を反らしたり、全部の指をじゃんけんのパーのように思いっきり広げたりする手の体操を毎朝続けています。あとサプリメントもね。そして、痛くてできないことは夫や周りの方の助けも借りるようにしています。
50代から自分を
大切にする方法とは、
振り返ると「50代」は本当に区切りの時期ですね。閉経を迎えて女性として“お疲れさまでした”となり、子育ても終わって、これからは自分のために生きていこう、前に進もうって思える。
そういう時期こそ、自分の好きな世界に居場所をつくってほしい。私のキルト教室にもたくさんの生徒さんがいらっしゃいます。ここでは下の名前で呼ばれて、何気ない世間話をしながらチクチク手を動かす。
〇〇さんのママ、〇〇さんちの奥さん、そういった何か縛られた環境から一歩外に出て、ただの一人の女性として、いろんな世代の女性たちと気兼ねなく話せる場所。更年期の不調とか親の介護とか、仕事や夫の愚痴とか(笑)、何気なくおしゃべりして心が軽くなれる場所。
趣味や自分磨きの時間も大切だけど、女性には、自分を取り戻せる場所、サロンみたいな場所でリフレッシュすることも、必要なことなんじゃないかしら。
キャシーさん手作りのキルトクッション
”お疲れさま”の一方で、結構いろいろなことが起こるのも50代ですね。
私の場合は、最愛の娘を亡くすという大きな悲しみを経験しました。このことについては改めてお話ししますが、そんな悲しみを乗り越えられたのは、やはり夫や子どもたち、そして周りにいた方たちのおかげでした。
夫とは早いもので、2024年2月に結婚45周年を迎えました。ご存じの方もいると思いますが、俳優の勝野洋さんです。45年も一緒にいると、そりゃあ、いろいろあります。でもね、“夫のトリセツ”もちゃんとできているの。
次回は夫の操縦法(笑)、夫との付き合い方についてお話ししますね。
取材・文=佐田節子 写真=中西裕人
構成=長倉志乃(ハルメク365編集部)
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