認知症が始まった夫…今後の相談をしたいけど…という相談に夫婦関係のプロ・岡野さんが回答
ハルメク365 / 2024年7月27日 21時55分
「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は74歳女性の「認知症の症状が出始めた夫と、今後の生活について話し合いをしたい…」という相談に、夫婦問題カウンセラーの岡野あつこさんが回答します。
74歳女性の「夫とのコミュニケーション」についての相談
夫と二人で生活しています。夫には最近、少し認知症の症状が出てきています。
今の家は交通の便が悪く、買い物に行くのにも病院に行くのにも、大変です。そのため、交通の便利な場所に引っ越したいと思っているのですが、夫の気持ちがわからず、どうしたらいいのかがわかりません。
この先の不安なども夫と話し合いたいのですが、今までのコミュニケーション不足も重なり、いまさら夫とどのように会話をしたらいいかがわかりません。
大切なことなので、相談をして決めたいと思っています。いい切り出し方などを教えてもらいたいです。
(74歳・ともみさん)
岡野さんの回答:抱え込まず、周囲の助けを借りて進めて!
夫婦問題カウンセラーの岡野あつこです。
74歳、ご夫婦でいろんなことを乗り越えて、ここまできたのですね。子育てもとっくに終わり、夫婦として二人きりの生活をともに歩み、老後の人生に向き合ってのお悩みだと思います。
夫に認知症の症状が出てきて、どうにもならない老いとの戦いが始まりそうですね。認知症は治らないとされていますが、進行を抑えることはできる病気と言われています。初期であれば症状が改善したというサプリメントなども世の中に出回っています。
こういうときは人脈を駆使して、趣味のように「夫の認知症に役立つ方法はないか?」といろいろな人に声をかけて情報を得るのも悪いことではありません。
試してみたら効果がなく、お金だけ使ってだまされた、などということもあるかもしれません。しかし趣味に使うお金として割り切ってみたら、案外効果も出る方法にたどり着くこともあるようですよ。
まずは今の家で今後も過ごす方法を模索しては?
さて、ともみさんが今問題としているのは住まいのことですね。
住み慣れた家を離れることは精神的につらくなったり夫の症状に影響が出たり、ということがあるかもしれません。
交通の便が悪いだけならタクシーを使うなどもあります。「高くてもったいない」などと思うこともあるかもしれませんが、老後の蓄えや年金など、お金の計算をして、今引っ越しにかかるお金と、たまにタクシーに使うお金と比べて計算してみてはいかがでしょうか。
案外、今の家を離れて交通の便のいいところに引っ越す資金と、たまに出掛けるタクシー代とを計算してみると、そんなに大差はないような気もします。また、お金のことはプロであるファイナンシャルプランナーに計算してもらうのも一考です。
74歳(夫はそれ以上かも)ともなれば、いろんな介護保険などのサービスを活用したり、ネットで買い物も届けてもらったり、病院も往診してもらったりなど、いろいろなサービスを受けられる可能性もあります。それらを活用すれば、ある程度の不便は解消できる気がします。
通院頻度が毎日じゃないなら、たまの散歩と考えれば苦ではないかもしれませんし、そのときだけタクシーを使うのもアリです。
今は便利な世の中になっていますので、ちょっとした工夫で田舎暮らしも楽しいと言われるような時代になっています。
サポートしてくれる家族やサービスを活用!
それでも「夫と話し合って、どうしても引っ越しをしたい!」というのが、ともみさんの希望なのでしょうか?だからこそ、「今までのコミュニケーション不足で、どう切り出していいかわからない」とのことなのだと思います。
その場合、地域の民生委員や社会福祉の担当の方に来てもらって、相談をしてみるのもいいでしょうまた、娘や息子がいれば、身内を呼んで一緒に話し合うなど、二人で解決しようとせず周りのサポートを借りて、進めていくのがいいのではないでしょうか。
認知症についても早めに相談をすれば、いろんな形でともみさんご夫婦をサポートしてくれると思います。とにかく自分の力だけで解決しようと、無理をしないことです。
各地域には介護などを助けてくれる地域包括支援センターもあり、相談も受け付けてくれます。相談員の方たちに力を借りて、豊かな老後の生活を目指してほしいと思います。
どうしてもそうした力を借りずに、夫に直接説得したいのであれば、夫の機嫌のいいタイミングで「家のことで相談があるんだけど」とやんわりと「交通の便が悪く買い物も病院に行くのも不便だから、引っ越してみるのはどう~?」と相談するのはどうでしょう。
引っ越しが実現した後もお金はかかりますが、今の家はそのままにしておくのも一つです。「新しい家の住み心地がいい!」と夫もともみさんも判断できるまで、いつでも今の家に戻れるようにしておくのもおすすめです。
住み慣れてる家から新しいところに移り住むのは、夫にとってはとても不安だと思います。そういう気持ちを十分に理解した上での提案なら、きっと夫も話に乗ってくれるのではないでしょうか。がんばって充実した老後を目指してください。
回答者プロフィール:岡野あつこさんおかの・あつこ 夫婦問題研究家、公認心理師。離婚診断士(R)。NPO日本家族問題相談連盟理事長。
自らの離婚経験を生かし、夫婦の問題に悩み苦しむ人を一人でも多く救いたいという思いから、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。30年間で3万5000件以上の相談を受け、その成功事例ノウハウを数多く持つ。近著に『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(サンマーク出版)がある。
・離婚相談救急隊運営
・YouTube「岡野あつこチャンネル」
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