【後編】浅田美代子!人生を変えた「樹木希林の言葉」と、新しい友達との出会い
ハルメク365 / 2024年9月15日 13時0分
「うみべの女の子」のウエダアツシ監督が、異なる世代のヒロイン4人を迎えたウェブ映画「ミライヘキミト。」に出演した浅田美代子さんにインタビュー。本作の魅力と、女優業への向き合い方、終活の心掛けや、プライベートの交流関係について伺いました。
ホームドラマがデビュー作!懐かしい感覚
―「ミライヘキミト。」は浅田さんのデビュー作かつ出世作でもある「時間ですよ」と同じくホームドラマでしたが、今回出演されてどんなことを感じましたか?
浅田美代子
昔「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」などに出演したとき、大人数でご飯を食べていたので、すごく懐かしい感覚がありましたし、改めてホームドラマっていいなと思いました。
特に大きな事件があるとかそういう話ではないけど、女4人それぞれのちょっとした悩みなど、いろんなものを題材にしている話ですごく心が洗われます。
毎朝、家族5人で楽しく食卓を囲むシーンがとても楽しみで!
恩人である樹木希林さん、久世光彦さんとの出会い
―デビュー作「時間ですよ」からこれまで、女優としての長いキャリアにおいて一番大きかった出会いについて聞かせてください。
浅田美代子
やっぱり「時間ですよ」で樹木希林さん、久世光彦さんという方々との最初の出会いが大きかったです。当時、デビュー直後で何もわからなかった状態の自分が2人と出会えたことが1番の財産です。
―「時間ですよ」で初めて演技に挑戦されたわけですが、プレッシャーなどはなかったのですか。
浅田美代子
いえ、プレッシャーを感じないぐらいの素人でした(笑)。舞台が銭湯「松の湯」、私の役は田舎から出てきた少女で、その看板を見て「松の湯!」というシーンがあったのですが、40回ぐらいNGをくらいました。
毎回「違うんだよな」と言われながら、何回もやったことを今でも覚えています。もう後半は本当に何がなんだかわかんなかったのですが、ようやくOKが出ました。かなりしごいてもらいましたね(笑)
―樹木希林さんともその後、長く交流が続きましたね。
浅田美代子
久世さんと希林さんとは「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」などいろいろな作品をやっていった3年ほどの間に、技術ではなく、いろんなことを教えてもらった気がします。
―順風満帆にキャリアを積まれてきた浅田さんですが、樹木希林さんプロデュースの主演映画「エリカ38」は代表作の1本となりました。
浅田美代子
「エリカ38」では、自分のお芝居とかいろいろ思うこともありましたが、ありがたかったです。また、私は若い頃、希林さんにいろいろと面倒を見てもらいました。私自身は希林さんのようにはなれないけど、できるだけ次の代を担う共演者たちとは仲良くして、希林さんから受けたものを返していけたらいいなとは思っています。
女性はみんな「生まれ持っての女優」である
masa / PIXTA(ピクスタ)
―長く女優を続けられてきて、仕事についての向き合い方は変化してきましたか?
浅田美代子
そもそも私は女性ってみんなが女優の素質を持っていると思います。小さい頃、みんながおままごとをするじゃないですか。お父さん役の子に「おかえりなさい」とかやっていたと思いますが、そこからもうすでに“女優”で、私はずっとその延長線上で仕事をしている感じがします。
―確かに言われてみれば、その通りですね!
浅田美代子
例えば恋愛しているときも、誰もが多かれ少なかれ、好きな人の前ではみんなお芝居をするじゃないですか(笑)。だから誰もが女優の経験があるということで、私自身はそれを仕事としてできることを幸せだなと思っています。
―では、女優としてのプレッシャーなどは感じないのでしょうか?
浅田美代子
逆にプレッシャーというものをあまり考えないようにしています。ただ、これまでに「釣りバカ日誌」(浜ちゃんの妻・みち子役)の役を受け継いだときは、「私でいいのかな?」というプレッシャーを感じました。でも、通常はいつも楽しんでやろうと思っています。
樹木希林さんの「理想の死に方」について
RilakkuMaxx / PIXTA(ピクスタ)
―がんで亡くなられた樹木希林さんは、最後まで凛として人生を全うされました。ある意味、理想的な人生のしまい方でしたね。
浅田美代子
最後の治療まで、何もかも全部自分で決めてましたから。家に帰ると言い出して 帰った日の夜中に亡くなりましたが、あんなにしっかりと最後を閉じることなんて私には無理です。
希林さんはがんに関して「がんはいい病気なんだよ、ちゃんとそれまでの時間を与えてくれるでしょ。パタッと死ぬんじゃないから、それまでに自分がどうしたいかを決められるんだよ」と言ってました。その発想がすごいですよね。
―浅田さんは終活など、何か準備されていることはありますか?
浅田美代子
私は希林さんみたいに潔くはできないとは思うけど、ちょっと断捨離をしなきゃいけないなとは思っています。生前に希林さんから「がん(癌)ってどういう字を書くか知ってる?“やまいだれ”に“品”の“山”って書くんだよって。美代ちゃんみたいに、こんなに物がいっぱいあったらダメだよ、とよく怒られていました。
動物愛護の活動を通して広がった!新しい人間関係に感謝
―本作では、さまざまな年代の青春が描かれますが、浅田さんが最近「青春だな」と感じたエピソードがあれば聞かせてください。
浅田美代子
青春とは少し違うかもしれませが、私は動物愛護の活動もやっていて、そこでまた芸能界には関係ない新しい友達ができて、動物のために一緒にいろいろなことをやっていけるのが私にとってとても良いことだと思っています。レスキューの現場に行く際は、捨ててもいいような服を着て、わいわいと出掛けますが、本当に女子高生寮のような雰囲気ですよ(笑)
その人たちは仕事も絡んでないし、ただ動物のために動いていく方々ですごくいい影響を受けます。ある程度、年齢を重ねていくと新しい友達なんてなかなかできないけど、やっぱり一つの目的に向かって一緒に行動することで、いろんな交流が生まれていくのはうれしいことです。
―では最後に、人生後半を迎えるハルメク世代に、人生を楽しむためのメッセージをいただけますか?
浅田美代子
私もずっと希林さんから言われていたことですが「年を取ることを楽しみなさい」ということですね。例えば、シワができたりしても「へえ、シワができた!」と面白がればいいと言われました。やっぱり50代が一番悩みそうな気がしますが、60代以降になったらもう大丈夫です(笑)。楽しみましょう!
- 【前編】浅田美代子が語る!人生後半を笑顔で楽しく過ごす秘訣は?
あさだ・みよこ 東京都生まれ。女優。73年、ドラマ「時間ですよ」でデビュー。劇中で歌った「赤い風船」が第15回日本レコード大賞新人賞を受賞し、一躍人気アイドルに。その後「寺内貫太郎一家」シリーズなど数多くのドラマに出演。映画の主な出演作は「釣りバカ日誌」シリーズ(94~2009年)、「エリカ38」(19年)など。25年放送のNHK連続テレビ小説「あんぱん」に出演予定。
「ミライヘキミト。」公式YouTubeにて無料配信中
監督・脚本:ウエダアツシ出演:川島鈴遥、平祐奈、西田尚美、斉藤陽一郎、福山翔大、福松凜、カトウシンスケ、浅田美代子ほか
公式サイト:miraiekimito.com
公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@miraiekimito
取材・文=山崎伸子 編集=鳥居史(ハルメク365)
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