秋保温泉の渓谷美と伊達文化!豊かな山海の恵みを堪能できるグルメ旅
ハルメク365 / 2024年9月19日 21時0分
宮城県の秋保温泉へ。仙台からのアクセスも良く、名取川の美しい渓谷、磊々峡(らいらいきょう)の緑あふれる自然の風景を満喫。ワイナリーではぶどう畑を眺めながら、ピクニックランチも。豊かな自然とその恵みを味わう旅に出かけました。
温泉街を流れる名取川の渓谷美、磊々峡
JR仙台駅から車で約30分、バスでは約50分前後で豊かな緑に囲まれた磊々峡へ到着。名取川沿いに約1kmにわたって美しい渓谷が続き、不思議な形の巨岩奇岩が目を楽しませてくれます。「磊」とは、石が ゴロゴロしている様子を表す字で、昭和6年に東北大学名誉教授・小宮豊隆氏によって磊々峡と命名されたそうです。
川沿いに遊歩道があるので、少し散策してみましょう。狭い道で結構アップダウンがありますので、足元には十分気を付けて。
巨人の顔のように見える「奇面岩」や、斧で割られたような「天斧巌(てんおのいわ)」など、川の侵食によって形成されたダイナミックな岩の連なる風景はどれも見応えがあります。「時雨滝」、「三筋滝」など涼やかな滝にも癒されてリラックス。途中にある覗橋の欄干から見える、かわいいハート形の岩のくぼみもぜひ探してみましょう。
歩き疲れたら「秋保・里センター」でひと休み(入館無料。座れる椅子があります)。館内にはこけしをはじめ、地元の様々な工芸品が展示されているコーナーもあるので、ご興味ある方はぜひ。秋保温泉郷観光案内所では、観光スポット、グルメ情報などをご案内しています。
ぶどう畑を眺めながら、ワインと一緒にピクニックランチ
秋保温泉にはワイナリーもあると聞き、立ち寄ってみました。「秋保ワイナリー」は、名取川沿いにあり、磊々峡からもすぐ近く。覗橋から徒歩3分くらいです。
東日本大震災の後、宮城県にはワイナリーがひとつもなくなってしまいました。復興のアイデアを考えたときに、ワインなら食と合わせる文化があり、様々な生産者の応援ができる、と考え2015年よりスタートしたワイナリーです。およそ2ヘクタールの敷地には、シャルドネ、ピノグリ、カベルネソービニオン、リースリング、ヴィオニエ、メルローなどなど、様々な種類のぶどうが栽培されています。
秋保ワイナリーでは、気候風土と人の営みを表す「テロワール」と、食と酒のペアリング、結婚を意味する「マリアージュ」を合体させた「テロワージュ」という造語をつくって提唱!生産者や企業などとコラボし、食を中心とした東北の魅力を発信する様々な活動を行っています。テロワージュって言葉、東北への愛を感じさせる本当にいい言葉ですね。
ワイナリー内には2024年8月よりレストラン「テロワージュ秋保」が新オープン。そこで注目なのがテイクアウトもOKなピクニックランチボックスです(1980円から)。手提げスタイルのボックスの中にはサラダ、チーズ、ポテトフライやシャルキュトリーなどワインにぴったりのおつまみがいっぱい。季節で変わるバゲットサンドやデザートのカヌレまで盛りだくさんで、お腹も満たされます。できるだけ地元の素材を使い、ハーブなどは自社農園で育てているそう。
ワインは赤か白のボトル付きのセットでも、店内で常時10種類以上からいろいろ選べるグラスワインでも、お好きなものをどうぞ。ワイナリーの真ん前に広がるぶどう畑を眺めながら、外で食べるランチは最高!
レストランでは今後、生産者を招いた特別ディナーなど、様々なイベントを開催予定だとか。ソムリエでもあるシェフが密かに造っている希少なワインがお披露目されることもあるかも?とのこと。お酒の飲めない方には、おいしいブドウジュースやノンアルコールのペアリングディナーがあるそうです。
最後にショップも要チェック!ワインはもちろんのこと、地元のりんごを使ったお酒、シードルも密かな人気です。さらにぶどうの種を搾ってつくったグレープシードオイルや、ワイン仕込みのスモークナッツ、ワイン塩、ワインベーコンなどなど、ワイン関連の調味料やおつまみがいろいろ。某テレビ番組で大きな話題になった、笹かまのアヒージョの缶詰など、宮城らしいおいしい食材が多々集まっていますので、お土産探しにもおすすめです。
名取川の渓流沿いに建ち、自然に囲まれた宿「界 秋保」へ
本日のお宿は、2024年4月にオープンした「界 秋保」へ。秋保ワイナリーから車で約6分。JR仙台駅からは「仙台西部ライナー」で約33分、宿の前に停車するバスが出ています。ロビーに一歩足を踏み入れてびっくり。大きな窓の外一面には深い緑のグラデーションが広がり、それに呼応するように野外と一体化した優しいグリーン系のインテリアがナチュラルで寛いだ雰囲気を醸し出しています。
さらに客室は、まるで1枚の絵画のように風景を切り取った窓に目を奪われる「紺碧の間」。磊々峡がかつて「紺碧の深淵」と表現されたことから着想を得ているのだとか。新緑、紅葉、雪景色など、四季折々の鮮やかな自然の風景が窓の外に広がって、いつまで眺めていても飽きることがありません。
仙台ガラスや白石和紙など、宮城の工芸品も随所に使われており、アートとして楽しめる客室です。
秋保温泉の歴史は古く、1400年以上昔から存在していたといわれます。当時の天皇が病を癒したという話も残っており、昔から全国的に名の知れた温泉でした。江戸時代には多くの旅行客が訪れるようになり、庶民にも親しまれていたそうです。
「界 秋保」の大浴場は、渓流のせせらぎに耳を澄ましながら、自然に囲まれて癒される露天風呂と、内湯が2つ。敷地内の2本の源泉を引いた自家源泉かけ流しの「あつ湯」と、のんびり長湯できそうな「ぬる湯」があります。
泉質は「ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉」。湯冷めしにくく、体が芯から温まるので冷え性によいといわれています。肌に優しく、すべすべの感触があり、美肌の湯であることもうれしい特徴です。
伊達の粋を感じながらいただく御膳スタイルのディナー
さて、いよいよ夕食の時間です。先付けがなんと脚付きのお膳で登場しました。これは伊達政宗公にちなんだ大名スタイルの「新伊達会席」。牛テールと仙台味噌をリエットにし、仙台麩に付けていただきます。
思わず頼んでしまったビールは、2024年1月に名取川沿いにオープンしたGreat Dane Brewing(グレート・デーン・ブリューイング)の「秋保温泉ビール 湯上がりピルスナー」!秋保温泉旅館組合とのコラボビールなんだそうです。先付けにベストマッチです。
「宝楽盛り」もお膳で出てきました。東北で親しまれるホッキ貝が酢の物で登場。お造りは、なるべく旬の地のもので上質なものを用意するそうで、この日はホタテとメカジキが宮城産とのことでした。仙台の味噌醤油蔵、今野醸造の吟醸醤油を付けていただきます。
ちなみに宮城県は日本酒がおいしいことでも知られています。メニューには地元の日本酒がずらり。究極の食中酒といわれる伯楽星の「純米大吟醸 山田錦」、まろやかで生酛が苦手な人も飲みやすい日輪田の「生酛純米 雄町」、爽やかでキレの良い「浦霞 純米吟醸No.12」など、それぞれ個性ある3種のお酒を飲み比べで楽しみました。
そしていよいよメインの鍋もの「牛の山海俵鍋(さんかいたわらなべ)」です。牛テールを使った出汁を温め、黒トリュフを入れて香り付けするというちょっと贅沢なオリジナル鍋。
ご用意いただいたのは牛ロースと牛タン、さらにウニ醤を巻いた牛ロース!ウニと牛肉って合うんですね。野菜は長ネギ、ごぼう、仙台のセリ。しゃぶしゃぶのように、さっと出汁にくぐらせていただきます。トリュフが入っていることで、一層複雑みのある深い香りがまとわれ、そこにウニが追い打ちをかけ、何かもう、胃袋が本能的に欲しがってしまう、めくるめくような味わいでした。
食後は部屋を移動して「ご当地楽」に参加。金色の太陽をイメージした縁起の良さそうな部屋で「伊達な宴」が始まります。
伊達政宗は粋な文化人だったそうで、酒席の心得も大切にしていたといいます。また、城内の一角で酒造りを行なったというほどの酒好きだったそうです。ここでは私たちも陣羽織風の衣装を羽織って、スタッフさんにご説明をいただきながら、伊達政宗にちなんだエピソードを教えてもらい、武士のやり方で乾杯を行うなど、武士を疑似体験。同席したみなさんともいつの間にか仲良くなって会話が弾み、楽しい時間を過ごせました。
今回宿泊した温泉宿はこちら:界 秋保
名取川の美しい渓谷と豊かな自然に包まれる宿「界 秋保」。仙台藩初代藩主である伊達政宗公のもたらした文化を随所に取り入れた、粋で斬新なおもてなしを楽しめます。
足湯付きのテラスや、毎夜開かれる楽器の生演奏、地元のドリンクやお菓子を楽しめる「せせらぎラウンジ」も見逃せません。「70歳以上限定『温泉めぐり 界の定期券』」の対象施設の一つとして、シニア女性にも人気の温泉宿です。
界 秋保
●住所:〒982-0241 宮城県仙台市太白区秋保町湯元平倉1番地
取材協力:星野リゾート 文・写真:江澤香織 編集:鳥居史(ハルメク365編集部)
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