【咳やくしゃみでドキッとしたら】腹圧性尿失禁はトレーニングで改善できる!効果的なやり方4選
ハルメク365 / 2024年10月9日 21時0分
腹圧性尿失禁は、自宅でできるトレーニングで改善できます。咳やくしゃみをしたとき、重いものを持ったときなど、ふとした瞬間の尿漏れは、特に女性に多い症状。根気強く続ける必要はありますが、多くの人が効果を実感できます。サポートショーツもチェック!
女性に多い「腹圧性尿失禁」
よこてさとめ / PIXTA
尿失禁は、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことと定義されている病気です。
尿失禁には4つのタイプがありますが、中でも腹圧性尿失禁はもっともポピュラーで、500万人以上の女性が週1回以上経験しているといわれています。
症状の度合いや原因に応じて適する治療が異なるため、まずは腹圧性尿失禁の症状や原因、治療について知っておきましょう。
腹圧性尿失禁の症状腹圧性尿失禁は、以下のようにお腹に強い力がかかるような動作をしたときに、尿が漏れてしまうのが特徴です。
- 咳やくしゃみをしたとき
- 笑ったとき
- 立ち上がろうとしたとき
- 走ったりジャンプをしたりしたとき
- テニスやゴルフなどのスポーツをしたとき
- 子どもを抱っこしたとき
- 重いものを持ち上げたとき
- 階段を上り下りしたとき など
軽度であれば何かの動作をしたときに少し漏れてしまう程度ですが、重度になると歩いているだけでも尿が漏れてしまうこともあります。
腹圧性尿失禁の原因腹圧性尿失禁の原因はいくつか考えられますが、出産や加齢、女性ホルモンの低下、肥満などによる「骨盤底筋のゆるみ」などが挙げられます。
骨盤底筋とは、骨盤の底の部分にある筋肉の総称で、複数の筋肉の集合体のことです。ハンモック状になっていて、膀胱や子宮、直腸などの骨盤内の臓器を支えています。
膀胱にたまった尿は、骨盤底筋や尿道括約筋が締まることで漏れないようになっていますが、骨盤底筋がゆるんで尿道がぐらついたり尿道を閉じる力が弱まったりすると、咳やくしゃみなどの動作でお腹に力がかかったときに尿が漏れてしまいます。
女性は男性と比べて尿道が短く直線的であるため、尿道がゆるみやすく尿漏れも起こりやすいのが特徴。介護職や保育士など、日頃から重いものを持ち上げることや力仕事が多い職業の人は特に注意が必要です。
腹圧性尿失禁の治療尿漏れは恥ずかしさから人には相談できず、医療機関を受診する人も少ない病気ですが、腹圧性尿失禁は軽度であれば骨盤底筋を鍛えることで改善が期待できます。
医療機関でも腹圧性尿失禁の治療として、骨盤底筋を鍛える「骨盤底筋訓練」というトレーニングを行うように指導されます。
また、肥満や急激に体重が増加した人はダイエットするよう指導されたり、スピロペンなどを用いた薬物療法を併用したりする場合もあるでしょう。
骨盤底筋トレーニングなどの保存的療法で改善しないような重度の腹圧性尿失禁の場合は、尿道を専用のテープで支える「TVT手術」や「TOT手術」などの中から、適した方法で治療が行われます。
腹圧性尿失禁の症状を改善する簡単トレーニング
EKAKI / PIXTA
腹圧性尿失禁は、尿道を開閉する役割を担っている骨盤底筋がゆるんだり弱まったりすることで起こるため、軽度であれば骨盤底筋を鍛えることで改善できるといわれています。
骨盤底筋を鍛える方法としては、骨盤底筋体操がよく知られていますが、決まった方法があるわけではなくバリエーションも豊富です。
また、近年では骨盤底筋とともに収縮し、骨盤底筋を活性化させるといわれる「腹横筋」のトレーニングも、腹圧性尿失禁の予防や改善法として注目されています。
ここでは、腹圧性尿失禁の症状を改善するトレーニングを4種類紹介します。継続することが非常に重要になるため、自分がやりやすい方法で毎日少しずつでも行うようにしましょう。
骨盤底筋体操プラナ / PIXTA
腹圧性尿失禁の症状を改善する基本のトレーニングとして知られているのが「骨盤底筋体操」です。
骨盤底筋体操には、骨盤底筋を鍛えて腹圧性尿失禁を改善するだけでなく、便秘の解消や冷え性・更年期症状、腰痛の改善、骨盤臓器脱の予防・改善、ウエストの引き締め、睡眠の質の向上、性生活の充実などさまざまな効果が期待できます。
ただし、骨盤底筋体操は正しいやり方で行うことが大切です。初心者はまず、内臓の重みが骨盤底筋にかかわらず、骨盤底筋が意識しやすいとされる仰向けに寝転んで行う方法を試してみましょう。
- 仰向けに横になり、両足を肩幅くらいに開いて両ひざを軽く立てる
- 尿道・肛門・膣をキュッと締めたり緩めたりする動きを2〜3回繰り返す
- 尿道・肛門・膣をゆっくりぎゅうっと締めて3秒間キープし、ゆっくりと緩めていく動きを2〜3回繰り返す
締める感覚がわからないときは、尿道や膣はおしっこを途中で止めるような感じ、肛門はおならを我慢するような感じを意識するとよいでしょう。
目標は、朝起きてから寝るまでの間に5セット行うこと。最初のうちは1セット5分でもよいですが、慣れてきたら徐々に増やしていきましょう。
なお、立った姿勢で行うときは、手を肩幅に開いてテーブルなどについて背中を伸ばし、顔を上に向けて体の力は抜いてから、尿道・肛門・膣を締める動作を行います。
自宅や仕事場で座りながら行いたいときは、いすに腰掛けた状態で足を肩幅に広げ、足の裏をぴったりと床につけて行います。立って行うときと同様、背中を伸ばして顔を上げ、体の力を抜いてから始めましょう。
骨盤バウンド体操参照:一日5分!骨盤底筋が復活する「骨盤バウンド体操」
「骨盤バウンド体操(ピフィラティス)」は、アメリカの泌尿器科医であるブルース・クロフォード氏が2009年に考案し、日本では整形外科医の武田淳也さんが初めて導入した体操です。
ボールが床を跳ねるようなイメージで腰を跳ね上げることで、筋肉が素早く収縮するため、骨盤底筋に大きな力がかかります。その力は骨盤底筋体操として有名なケーゲル体操の最大約41倍にもなるといわれています。
以下は、骨盤バウンド体操の中でも骨盤底筋に入る力が大き過ぎず、初心者でも行いやすい「ひざ曲げバウンド」のやり方です。
- 両足を側幅より少し広く開いて立ち、ひざが足先の方を向くように曲げてゆっくり腰を落とし、元に戻る動きを3回繰り返す。このとき、骨盤を立てることを意識してつま先は少し開く。
- 4回目は、腰を落とした姿勢のままで3秒間キープ。できるだけ骨盤底筋を意識しながら、ゆっくり息を吸ってぐっと力をためる。
- 息を「ハッハッハッ」と短く勢いよく吐きながら、3回腰を上下にバウンドさせて3回目で動きをストップ。これを3回繰り返そう。
ひざ曲げバウンドで骨盤底筋に入る力は、一般的な骨盤底筋体操と比べて最大18倍になるといわれています。
骨盤バウンド体操を継続した結果、手術が必要だった腹圧性尿失禁の患者の70%が手術を行わずに済むくらいにまで回復したという成果も出ています。
肩こりやひざ痛、腰痛の軽減、ぽっこりお腹や便秘改善も期待できるため、毎日継続して行うのがおすすめです。
なお、変形性膝関節症などの疾患がある人は、医師の許可を得てから行い、状態によって加減してください。
腹横筋トレーニング参照:「股関節力」がUP!ぽっこりお腹も解消するケア
腹横筋は、腹筋の中で体幹のもっとも深い部分にあるインナーマッスルの一つです。腹部を圧縮して腹圧を高めたり内臓を保護したり、腰椎を含めた体幹を安定させたりなど、コルセットのような役割を担っています。
以下は、腹横筋トレーニングのやり方です。
- 床に横になってひざを軽く曲げ、左の肘をついて頭を上げる。右手の手のひらを外回りにして天井に向ける。
- 左手で頭を押しながら、右肩をグーッと足の方に寄せ、肩甲骨と骨盤を近づけるイメージで右腕をひざの方へ伸ばす。脇腹に力が入っていることを感じながら10秒間キープ。これを3〜5回、反対側も同様に行う。
腹横筋はおへそを引っ込めると動く筋肉で、その動きに連動して横隔膜、骨盤底筋も動きます。
腹横筋が衰えていると、内臓や腰椎を支えられず骨盤や股関節周辺の筋肉に負担がかかるため、腹横筋を鍛えれば、結果的に骨盤底筋が鍛えられて腹圧性尿失禁の改善にもつながります。
ウォーキングプラナ / PIXTA
自宅の中だけでなく、外の空気を吸いながら骨盤底筋を鍛えたいという人は、ウォーキングを行うのがおすすめです。
正しい方法でウォーキングを行えば、骨盤底筋を鍛えるのと同時に肥満の解消も期待でき、腹圧性尿失禁の症状改善につながります。
以下は、骨盤底筋を鍛える正しいウォーキングのやり方です。
- 背筋を伸ばし、骨盤を立たせた正しい姿勢で立つ。その姿勢から、ひざとつま先を揃えて進む方向へ足を振り出す。
- かかとから踏み込み、足裏の中央、つま先の順に体重移動させる。
- 「腰から足を出す」ようなイメージで、母指球(足裏の親指の付け根のふくらんだ部分)で蹴り出す。このとき、歩幅を約10cmプラスするイメージで、大きく歩幅を取る。
腕は肘を伸ばして力を抜き、体の動きに合わせて肩を支点として軽く前後に振って歩きます。
大切なのは、骨盤底筋を意識すること。尿道・膣・肛門の順番でそれぞれを引き上げるような感覚をつかんでおきましょう。
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