自分に無理せずラクに生きるには?人疲れしやすい内向型に必要な2つの時間【内向型人間のトリセツ3】
ハルメク365 / 2024年10月24日 21時0分
内向型は外向型の人と比べて、騒音などの“刺激”を感じやすいと言われています。第3回では、内向型カウンセラー井上ゆかりさんの著書『世界一やさしい内向型の教科書』から一部抜粋し、「心を元気に保つ「静かな時間」について紹介していきます。
内向型が「静かな時間」を必要とするのはなぜ?
ks__1984 / PIXTA(ピクスタ)
内向型と外向型の違いについて、オックスフォード大学やハーバード大学で教鞭を執った研究者のブライアン・R・リトルが、自著で興味深い説明をしています。
「生理学的には、外向型と内向型の違いは、脳の新皮質の特定領域における覚醒レベルの違いだと考えられています。つまり、外向型の人は普段の覚醒レベルが低く、内向型の人は高い状態にあります」(『自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義』大和書房刊)
「覚醒レベル」とは、「覚醒水準」とも呼ばれる心理学用語。パフォーマンスにかかわる緊張状態のレベルのことをいいます。
「覚醒レベルが高い」とき、心拍数は上がり、興奮・緊張状態になります。しかし低すぎると、集中力に欠けて本来の力を発揮できなくなってしまいます。いいパフォーマンスを発揮するには、ほどよい緊張感のある、適度な覚醒レベルが理想です。
私たち内向型は、その「覚醒レベルが高い状態」が標準なのだそう。そのため、少しの刺激でも心拍数が上昇し、不快に感じやすいのです。人が多く集まる商業施設や満員電車、爆音が鳴り響くイベント会場などで、心身ともに疲れて余裕がなくなってしまうのも、刺激を受け過ぎてしまうためです。
だから内向型は、受けた刺激を「静かな時間」で和らげ、心の余白を確保する必要があります。
内向型は「静かな人」ではなく「静かな時間を求める人」なのです。
この内向型の意味を誤ってとらえていると、「私は内向型だから、静かでおとなしい性格なんだ」という“言葉の呪い”にとらわれてしまうので注意しましょう。なんでも内向型のせいにして自分を諦めてしまうクセがついては、自己評価が下がってしまいます。
心の余白を確保することは、自分らしくいるためにも大切です。「静かな時間」があれば、内向型は心穏やかに、元気に過ごすことができます。
静かな時間1:「ひとりで考える時間」
KiRi / PIXTA(ピクスタ)
内向型に必要な「静かな時間」は、大きく分けると、2種類あります。
一つ目は、「ひとりで考える時間」。内向型は外向型に比べて、短時間で情報を理解して考えをまとめて伝えるのに、時間がかかりやすいそうです。
ですが裏を返せば、「考える時間」さえあれば、外向型と同じように(あるいは外向型よりも深く)情報整理ができるということです。
誰にも邪魔されずに一人で考え事ができる時間は、私たちに心の余裕を与えてくれます。内省して思考を深めることが好きな人も多いので、考える時間を取ることで気持ちを落ち着けることもできます。
もう一つ大切なのは、 一人になれる静かな環境を整えて、内省する時間を取ること。
紙に自分の考えを書き出すのもおすすめです。自分の頭の中が可視化されて、考えが整理されるためです。日々のインプットで頭に溜まっている情報や、考えをデトックスする習慣をつくりましょう。
普段から頭の中を整理しておけば、とっさのやりとりでの受け答えもスムーズになりますよ。
頭の中を整理するときのポイント気がかりなことを整理する
- 日々のTODOを書き出す
- 後回しにしている用事をリストアップする
自分の気持ちを整理する
- 最近モヤモヤしていることを紙に書き出す
自分の考えを整理する
- 仕事や日常の会話で、質問された内容とその答えを改めて書く
- 気になったニュースに対する感想や意見をひと言書く
静かな時間2:「自分を癒やす時間」
genzoh / PIXTA(ピクスタ)
もうひとつ、内向型にとって大切なのが、「自分を癒す時間」です。
内向型は、ストレスを和らげるために刺激を減らすことを好みます。
みんなで過ごすよりも、一人で過ごす。繁華街に出掛けるよりも、自宅や行き慣れた場所で過ごす。予定を詰め込んで一日中アクティブに過ごすよりも、ぼ~っとのんびり過ごす時間を大切にしたい。
自分以外の誰かの存在も刺激に感じる人が多いので、内向型にとって一人で過ごすひとときは、この上ない癒やしの時間です。
だから内向型は自分の趣味として、本を読む、テレビや映画を見る、料理をする、絵を描く、美術館に行く、釣りに行くなど、一人でも完結することを挙げる人が多いのです。
内向型の人は「人とかかわるのが苦手」とよくいわれますが、人が嫌いなのではなく、「ずっと人とかかわっているのは疲れるから苦手」というだけ。自分にとって安心安全なスペースの中で、誰にも邪魔されない「自分を癒やす時間」が必要なのです。
普段、頭を使い過ぎている人は、体をゆるめて頭を休ませる時間を一日5分でも、自分にプレゼントしてあげましょう。
次回は、内向型が避けたい5つの落とし穴について解説していきます。
もっと読みたい■内向型を知る1「2人に1人?あなたの「内向型度」をセルフチェック」
内向型を知る2「内向型さんと同じ?繊細さん(HSP)の特徴」
内向型を知る3「人疲れしやすい内向型が「静かな時間を求める」理由」
内向型を知る4「内向型が避けたい5つの落とし穴とその対策」
いのうえ・ゆかり 内向型カウンセラー。自身が20年間コンプレックスを感じていた内向性を受け入れられるようになった経験と独自の分析力をもとに、2018年からSNSなどで「内向型を直さず活かす生き方」を発信。これまでに内向型コミュニティの主宰や講演、カウンセリングセッションなどを行う。
監修:本橋へいすけさんもとはし・へいすけ ライフコーチ。Mindset Coaching School 卒業。個人、法人、延べ3000 人以上を対象に認知科学をベースにした講座やコーチングを行う。本書では、脳と心のしくみの解説部分において監修を担当する。
※本記事は『世界一やさしい内向型の教科書 「静かな人」の悩みがちな気質を直さず活かす3ステップ(世界文化社刊)』より一部抜粋して構成しています。
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