50代、実はゆるゆる?「骨盤底筋」を強くして猫背・たれ尻・尿もれをストップ!
HALMEK up / 2024年12月26日 22時0分
「人生100年時代」の今だからこそ、できるだけ長くシャキッとした姿勢で、健康的に過ごしたいもの。そのカギは実は「骨盤底筋」にありました! 知っているようで知らない、骨盤底筋の真の役割と、“続けたくなる”簡単トレーニング法を特集します。
教えてくれた人:田舎中真由美(たやなか・まゆみ)さん
信州大学医療技術短期大学部理学療法学科卒業。日本初の大学病院内の保険外リハビリ・コンディショニング施設、フィジオセンター・センター長を務め、1万5000人以上の腰や骨盤まわりの痛み、尿もれ、姿勢のゆがみなどを改善した。
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日常動作の要で健康のカギを握る!「骨盤底筋」とは?
骨盤底筋とは、その名の通り骨盤の底に位置する、複数の筋肉の総称です。恥骨や尾骨、坐骨とつながって、ハンモック状に広がっています。
「骨盤底筋の役割は、まず尿道や肛門を締めて排せつをコントロールすることが挙げられます。さらに骨盤を安定させて背骨をしっかり支える“土台”の役目も担い、よい姿勢を保つ上で欠かせません。また骨盤の中に納まる直腸や子宮、膀胱などの臓器を保護しつつ正しい位置にキープし、正常に機能するのを助けています。私たちが日々をつつがなく送れるのは、“骨盤底筋のおかげ”と言えます」
そう話すのは、理学療法士で骨盤底筋の働きに詳しい田舎中真由美さんです。
“ゆるゆる”に弱っても少しの意識で変わる
そんな大活躍の骨盤底筋ですが、実は傷つきやすく繊細で、“弱らせがち”な筋肉なのだと言います。
「加齢や運動不足で弾力を失いやすく、また排便時の強いいきみや出産時の衝撃で引き伸ばされるなどして、骨盤底筋が“ゆるゆる”状態の方がとても多いです。放置すると、尿もれや、膣から内臓が出てしまう骨盤臓器脱などの病気の他、姿勢の悪化、肩こりや腰痛などさまざまな不調を招きます」
一方で、一度弱らせてしまった骨盤底筋も復活できると、田舎中さんは太鼓判を押します。
骨盤底筋の大事な役割は大きく3つ!
骨盤底筋は、どうして姿勢の美しさや健康のためのカギといえるのか、特に大事な3つの役割を詳しく解説します。
日常動作の要になる深層筋の一つです骨盤底筋は、体幹を支える深層筋の一つ。横隔膜、腹横筋、多裂筋と連動し、「物を持ち上げる」「体をひねる」などの日常動作の土台を担います。特に骨盤底筋は動作の起点として最初に働くことが多く、弱ると体勢を崩しやすくなるなどの支障も。
【日常動作に重要な4つの深層筋】
骨盤底筋は骨盤の底から体を支え、体幹や背骨、骨盤まわりを安定させる役割を担っています。そのため骨盤底筋が衰えると、猫背やぽっこりお腹、ひざのゆるみなど姿勢の崩れを招きます。
【骨盤底筋が弱っていると……】
- 上半身が支えられず猫背に
- ぽっこりお腹や垂れ尻に
- ひざが曲がり腰痛にも
骨盤底筋が弱っていると、骨盤が後ろに傾いてお腹が出てしまう上、重心のバランスをとるために猫背気味に。
【骨盤底筋に力があれば……】
- 体幹が安定、背筋もピン!
- お腹やお尻もスッキリ
- 骨盤が立ち脚もまっすぐに
骨盤底筋に力があれば、骨盤や背骨がベストポジションに保たれ、腹筋や背筋もバランスよく使われて姿勢美人に。
排泄を司り、内臓を正常に働かせるのに欠かせません直腸や膀胱、子宮などの内臓の重みを支えるのも、骨盤底筋の大事な役割。内臓を正しい位置にキープし、それらがスムーズに働く手助けをします。骨盤底筋がゆるむと、内臓が下垂して働きが落ち、また尿もれや骨盤臓器脱などの原因にも。
骨盤底筋がゆるんだ状態
骨盤底筋が弱ると、内臓が下垂し消化不良などの不調を招きます。特に一番下に位置する膀胱は圧迫されやすく、尿トラブルの原因に。
骨盤底筋がゆるんでいない状態
骨盤底筋がしっかり内臓を支えている状態。腸も働きやすく、排尿や排便が適切に行われます。
一生骨盤底筋を弱らせない!3つの対策
1.胸を開いてゆがみを正す骨盤底筋の衰えには、実は胸の奥側にある背骨(胸椎)のゆがみが深く関わっています。胸を気持ちよく開く動きでゆがみを正し、横隔膜や肋骨まわりの筋肉の動きをよくすることで、骨盤底筋への負荷を軽減できます。
2.骨盤底筋をしなやかにする“強い”骨盤底筋とは、しなやかに伸び縮みする柔軟性を持った状態のこと。骨盤底筋が衰えて硬くなっていても、骨盤底筋を「ゆるめる」動きと「引き締める」動きを組み合わせることで、しなやかさを取り戻せます。
3.骨盤底筋を傷めない日常動作トイレで強くいきんだり、お尻から勢いよくいすに座ったり……そんな何げない習慣の積み重ねが、実は骨盤底筋を傷つけています。それを防ぐ日常動作のコツを学んで、大切な骨盤底筋を守りましょう!
次回からは田舎中さんがおすすめする骨盤底筋の柔軟性を保つ方法と、簡単トレーニングを紹介します。
取材・文=新井理紗(ハルメク編集部)、撮影=日高奈々子、ヘアメイク=鈴木翠、イラストレーション=金子なぎさ
※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年5月号を再編集しています
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