トップ女優・黒木瞳は挑戦をやめない!追い続ける先輩の背中と後輩へ見せる背中
HALMEK up / 2025年1月21日 11時0分
「1日でいいから生まれ変わってみたい」「同性でも好きになる」と、HALMEK up でもファンの多い黒木瞳さん。60代になった今も変わらない、可憐で上品な美しさはどこからくるのでしょうか。進化することをやめない黒木さんの「私らしい美しさ」とは――。
50代以降、映画監督や舞台の企画・演出にも取り組んで
――初舞台から43年。50代以降は女優業にとどまらず、映画監督や舞台演出などにも精力的に取り組み、活動の幅を広げている黒木さん。エンターテインメントの世界で次々と新しい挑戦を重ねる姿からは、美しさはもちろんのこと、真摯でストイックなプロ意識も伝わってくる。
先日、ディナーショーがあったんですが、その構成・演出も、全部やらせていただきました。スタッフみんなの荷造りから荷ほどき、楽屋作り、照明合わせなど、何から何までをギリギリまでやりながら、ゲネ(リハーサル)をして本番へ、という流れ。体が持つかどうか、限界への挑戦でした(笑)
「ルビンの壺が割れた」という朗読劇も、企画から脚本・演出・出演をやらせていただきました。エンターテインメント性も持たせたいと思い、原作にはない人物を一人加えて、ラッキー池田さんに振り付けをお願いしたんです。耳で聴くだけでなく、目でも楽しんでいただけたらと思って。初演の2023年に続き、今年(2025年)も再演があるので、とてもうれしいです。
「ルビンの壺が割れた」初演(写真提供:黒木瞳)
舞台が始まる前までは、この構成や演出で楽しんでいただけるかしら、本当にできるかしらという不安もたくさんあるんですが、でも、なんというんでしょうね。ステージに立って照明がパンッ!ときた途端、もう何の不安もない!という境地になるんです。お客様の持つエネルギーで、私のスイッチが入るんでしょうね。
女優も、映画監督も、舞台の企画・演出も、ディナーショーも、お客様に作品を届けるエンターテインメントということではどれも同じ。お客様に喜んでいただけることが、私の生きがいであり、やりがい。私はやっぱりエンターテインメントの世界が好きです。
年齢は“力”に変わっていくもの
衣装協力=KEITA MARUYAMA、ete、アガット、THE HAIR BAR TOKYO
私はこれまで大きな病気をしたことがないんですが、昨年の夏頃に初めて新型コロナに罹り、仕事を全部キャンセルしないといけなくなりました。周りの方々にご迷惑をかけてしまって、本当に心が痛かったです。
仕事を元気に続けていくためにも、体調管理は大切ですね。その後、ジムに通い始めました。パーソナルトレーナーについて1回1時間くらい。週に2回は行きたいんですが、仕事の都合で1回のときもあります。実は今朝、この取材の前にも行って汗を流してきたんですよ。
筋肉って、鍛えれば何歳になってもつくんですって。先日、久しぶりにステージでダンスを踊ったら、今までぶれていたところが、「あら!! ぶれてない!」と。ちょっとした変化なんですけどね。いかに今まで何も考えずに動いていたかという反省にもなりました。
女性は年齢とともに骨も弱くなるから、骨折をしないよう、転ばないよう、日常生活にも支障が出ないよう、筋肉作りは重要だと思います。
年を重ねると体も変わってきますが、当たり前のことが起こっているというふうに受け止めています。私自身は幸い、更年期のつらい症状はなかったのですが、もしあったとしても更年期はいつか必ず終わります。四十肩、五十肩だって必ず治ります。
そうやって変化を受け止めることで、自分に対する自信がついてくると思うんです。
だから、年齢のことはあまり気にしていません。自分だけが年を取っているわけではなく、みんな平等に年を重ねているわけだから、悲観的になることは何もないと思うんです。
60年以上生きてきたという自負もありますし、むしろ年齢は“力”に変わっていくものじゃないかなと思っています。
――常に挑戦する姿勢を忘れず輝き続け、年齢を感じさせない魅力と、年齢を重ねたからこその魅力、どちらも併せ持つ黒木瞳さん。そんな黒木さんの思う「美しさ」とは。そしてこれからのビジョンとは。
朗らかに毎日を送り、朗らかに生きていきたい
以前出演した「リアルクローズ」というTVドラマの中で、「外見が内面に出るし、内面が外見に出る」というセリフがありました。確かに外見も大事だし、内面も大事ですね。気持ちがしぼんだときなどは、外見を華やかに整えるだけで華やいだ気持ちになれこともありますし、逆だってありますよね。
私にとって“美しさ”というのは、外見も内面も、そして体も心も、朗らかでいることだと思います。“朗らか”という言葉は、“穏やか”にも近いし、“明るさ”にも近いし、“ポジティブ”にも近い、そんなイメージがありますね。朗らかに毎日を送り、朗らかにこれからの人生を生きていけたら素敵ですね。
それから、もう一つ大事なのは、“愛”かな。何事にも愛をもって対処できる人は美しいと思います。
真摯に仕事に向き合う人には、仕事への愛がありますし、よい作品を届けて喜んでいただきたいというお客様への愛もあります。そして、もちろん家族への愛もね。そういう何事にも愛を感じられる方って美しいな、と。私自身も、そうありたいと願っています。
家族とは、誕生日には必ずみんなでお祝いをするとか、何かあるときには必ず集まるようにしています。古い、昭和の人間ですのでね(笑)、そういうことはきちんとしたいんです。
娘とはメイクやネイルのことなど女子トークをして、いろいろ教えてもらっています。私が会うたびにハグをしたり、「大好きだよー」を連発したりするので、うざいと思われていますけど(笑)
これからも先輩の背中を追い続け、そして私の背中も見せていく
これから先のことを考えたとき、見えてくるのは先輩方の背中です。例えば女性の先輩だったら、宝塚時代からの先輩である大地真央さんやミュージシャンの竹内まりやさん。少し年齢が上のお姉さんで、親しくさせてもらっている素敵な先輩方です。
背中を追いかける先輩方がいるからこそ、私もがんばって次に続いて行かなきゃいけないと思うし、同時に私の背中を見ている女優の方もいらっしゃるだろうから、ちゃんとバトンを渡していかなければならないって思っています。
人生、いいことも悪いことも起こります。20代の頃に「禍福はあざなえる縄の如し」という言葉を教えてもらい、以来、大切にしています。いいときは有頂天にならず謙虚に、よくないときは「次はよいことがある」と思って、あまり落ち込まないように、と。
よいことも悪いことも「なるほど」と受け止め、風に吹かれてもしなやかにたわんで折れない柳のような生き方が理想ですね。
そして、「今が一番若い」「今が一番いい」。そういう心持ちで、これからも過ごしていきたいと思っています。
取材・文=佐田節子 写真=岡本隆史 ヘアメイク=在間亜希子(MARVEE) スタイリスト=後藤仁子 企画・構成=橘美波(HALMEK up編集部)
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