デリケートゾーンのヒリヒリ・ニオイがおさまらない…原因は?放置するとフレイルにつながる場合も
HALMEK up / 2025年1月30日 20時30分
ヒリヒリ、ニオイ、尿もれ……更年期にさしかかった女性の多くが経験するデリケートゾーンの不快感。進行すると心身の衰弱状態=“フレイル”を招きかねないことをご存じでしたか? デリケートゾーンの悩みとフレイルの関係を専門家に聞きました。
お話をお伺いしたのは、女性医療ジャーナリスト・増田美加さん
エビデンスに基づいた健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を多数行う。NPO法人・女性医療ネットワーク理事、一般社団法人日本フェムテック協会理事。著書に「もう我慢しない!おしもの悩み 40代からの女の選択」(オークラ出版)など。
メンタルの落ち込みもフレイルの引き金に!
polkadot_PIXTA
みなさん、「フレイル」という言葉をご存じですか? フレイルとは「加齢により心身が老い、衰えた状態」を指し、健康な状態と要介護状態の中間を意味します。
運動機能や筋力の低下といった身体的変化に着目されがちですが、気分の落ち込みといった精神面、人とのつながりといった社会的側面も、女性の場合は非常に重要です。
その際に無視できないのがデリケートゾーンの悩み。
例えば、ニオイやムズムズが気になって人と会うのが憂鬱、下着やズボンにデリケートゾーンがあたってヒリヒリするから動きたくない、尿漏れを気にして運動の習い事をやめてしまう、トイレが近いから友人との旅行を控える――このような悩みでQOL(生活の質)が下がると、活動量が減るだけでなく、社会的接点まで減り、気分が落ち込み鬱っぽくなることも。
これが重なると引きこもりがちになり、外出が減ると体を動かす機会が減り、人との交流が減ったり趣味をあきらめたりすることが重なると気分も落ち込む――この悪循環が「心身の虚弱」=つまり「フレイル」状態につながるのです。
自覚しないまま尿漏れの悩みを抱えている方も
USSIE _PIXTA
更年期以降、デリケートゾーンの悩みは避けて通れないものです。しかし不快感に悩みつつも、恥ずかしいし対処法もわからないとそのままにしている方が多いです。
またそれ以前に、デリケートゾーンの悩みを自覚していない方もいらっしゃるようです。先日私が更年期以降の方を対象にした講演会に登壇した際、そのことを如実に感じました。
講演会では尿漏れの話をしたのですが、みなさんいまいちピンときていない様子。年代が70代以上の方が多く何かしら悩みはあるはずなので、おかしいなと思って突っ込んで聞いてみたところ、みなさん「尿漏れパッド無しの生活は考えられない」とおっしゃるんです。
つまり、尿漏れはおむつが必要なくらいの垂れ流し状態と勘違いしていて、トイレが近くなったり、くしゃみの衝撃でほんの少量が漏れ出てしまう程度の今の自分の状態を、尿漏れとは認識していなかったんです。
正しい情報を調べる術を知らなかったり、人に相談できなかったりすると、悩みを自覚しないまま症状を抱えてしまいがちです。こういったことこそ、将来のフレイルにつながってしまうのです。
フレイルとデリケートゾーンのつながりは一見わかりづらいですが、誰にも言えない悩みや不快な状態がフレイルの引き金になりうること、さらにはデリケートゾーンの健康を保つことが心身の健康、ひいては健康寿命の延伸にもつながることを知っておいてください。
デリケートゾーンの不快感の原因は女性ホルモンの低下
デリケートゾーンのイメージ。健康なデリケートゾーン(左)とGSM(閉経関連尿路性器症候群)のデリケートゾーン(右)
きくち りえ
(Softdesign )ここで改めて更年期以降にデリケートゾーンの悩みが増える原因をおさらいしましょう。更年期にさしかかり女性ホルモンのエストロゲンが急激に低下することで、体にさまざまな不調が起こります。
よく知られているのがコレステロール値、中性脂肪、血糖値の上昇による生活習慣病のリスクですが、もう一つ無視できないのがデリケートゾーンの機能低下です。
デリケートゾーンは女性の生理、妊娠・出産、排尿、排便、性交にかかわる重要な部位です。本来は丈夫ですが、女性ホルモン低下により、デリケートゾーンが萎縮・乾燥することでさまざまなトラブルが起こります。これが近年、GSM(閉経関連尿路性器症候群)と名づけられた疾患です。
GSMの主な症状はムズムズやニオイ、ショーツがあたってヒリヒリするなどの不快感、尿漏れや頻尿などの尿トラブル、痛みや出血など多岐にわたり、人によって症状はさまざまです。しかしGSMは進行性の病気のため、放置するとつらさは加速する一方です。
最初は「たまにだから」「気のせいかも」ですんでいたものが、日常生活に悪影響を及ぼすまでになります。
デリケートゾーンのケアは食事や運動同様に大事!
PanKR_ PIXTA
フレイル予防には早めの対策が必須です。今症状がある人はもちろん、ない人もデリケートゾーンのケアを始めましょう。
若い頃の生理にはじまり直近では更年期障害と、年代ごとに女性特有のトラブルと向き合い続けてきた私たち。更年期の不調から解放されたあと、最後に残る不調がデリケートゾーンです。
人生100年時代と考えると、この先はまだまだ長く、デリケートゾーンのケアがこれからの生活に大きくかかわってきます。運動や食事と同様に大切といっても過言ではありません。
よく知らない、病院はハードルが高いと後回しにされがちな部位ですが、基本的には自宅で簡単にケアできます。ケアのカギは、「洗浄」と「保湿」。まずはこの2つの見直しから始めませんか。
次回は増田さんおすすめの具体的なケア方法についてご紹介します!
取材=水野 愛 文=金田 由紀子(いずれもハルメク 健康と暮らし編集部) 写真=渡辺裕之
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