更年期後は「骨粗鬆症」に注意!予防法も紹介
ハルメク365 / 2024年12月11日 18時50分
更年期になると、急激に増えてくるのが「骨粗鬆症」。女性ホルモン・エストロゲンの減少によって、骨がスカスカになる病気です。ちょっとした転倒でも骨折しやすくなるため、定期的な検査&食事で予防や早期発見が大切! 治療に使われる漢方もご紹介します。
監修者プロフィール:横倉恒雄さん(横倉クリニック)
よこくら・つねお 医学博士。医師。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。婦人科、心療内科、内科などが専門。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書『病気が治る脳の健康法』『脳疲労に克つ』他。日本産婦人科学会認定医 /日本医師会健康スポーツ医/日本女性医学学会 /更年期と加齢のヘルスケア学会ほか。
女性ホルモン・エストロゲンが減るとなぜ骨粗鬆症に?
女性ホルモンのエストロゲンは、骨を強く丈夫に保つのにも一役買っています。
骨は成長したらそれで完成というわけではなく、日々新陳代謝を繰り返し、生まれ変わっています。破骨細胞によって古い骨が壊され(骨吸収)、骨芽細胞という骨形成を担当する細胞が血液中のカルシウムやたんぱく質などを材料に骨を新たに作ります。
エストロゲンには、この骨形成を促す働きがあるのです。
ところが、更年期になってエストロゲンの分泌が減少すると、骨の新陳代謝のバランスが乱れて骨を作るよりも破壊するほうが進みます。その結果、骨がスカスカになってしまいます。これが「骨粗鬆症」です。
また、骨は固いだけでは逆に折れやすいため、コラーゲンを多く含むことで、しなやかさも備えています。しかし、エストロゲンの分泌が減少すると、体内のコラーゲンが減ります。それに伴い、骨のコラーゲンも減少するので、骨のしなやかさが失われるのです。
更年期以降の女性がちょっとした衝撃でも骨折してしまうのは、骨粗鬆症に加えて、コラーゲン不足で骨のしなやかさがなくなることも影響しているといわれています。
さらに、コラーゲン不足になると軟骨の弾力性も失われるため、手足の関節に痛みやこわばりなどが生じ、動きの悪さも気になるようになります。
骨粗鬆症で骨折しやすい部位をチェック
骨粗鬆症が進むと、骨がもろくなっているため骨折しやすくなります。骨折が起こりやすい部位は、手首(橈骨、とうこつ)や腕のつけ根(上腕骨)、太もものつけ根(大腿骨)、そして背骨(脊椎椎体、せきついついたい)です。
手首や上腕骨、大腿骨は転倒したときなどに骨折するケースが多く見られます。転んで手をついたときに手首の骨が折れたり、尻もちをついたときに大腿骨が折れたりするのです。
大腿骨骨折は、治療中ほとんど歩けなくなるため、寝たきりや認知症が進むきっかけになることもあります。長期間のリハビリも必要になるので、できるだけ骨折しないよう、注意するに越したことはありません。
また、背骨には圧迫骨折が起こりやすくなります。背骨は積み木のような形の椎体(ついたい)という骨が重なってできており、圧迫骨折を起こすと椎体がつぶれて背中や腰の痛みの原因になるのです。
圧迫骨折の場合、転んだりぶつけたりして起こるわけではないので、単なる腰痛や背中の痛みだと思っている人も多く、なかには痛みがなく骨折に気づかない人もいます。しかし、放っておくと、より強い痛みを感じたり、別の圧迫骨折を引き起こしたりする原因にもなりかねません。
骨粗鬆症になりやすい人は定期的な検査&食事で予防を!
骨粗鬆症を防ぐには、定期的に骨密度の検査を受けて骨の状態をチェックしてもらいます。骨粗鬆症と診断されたら、骨吸収を抑える薬や骨形成を促す薬で治療します。
女性ホルモンの検査も受け、エストロゲンの減少が確認されたら、早めに骨粗鬆症対策を始めるのも効果的です。
更年期障害の治療に使われるホルモン補充療法は、骨粗鬆症の予防にも有効です。
筋肉が少ないやせ型の人、若い頃に月経不順が多かった人、過激なダイエットをしていた人、月経がたびたび止まったことがある人は、骨粗鬆症にかかりやすいタイプなので、とくに要注意です。
また、家系的に骨粗鬆症になりやすい人もいます。母親や祖母が骨粗鬆症にかかっている人は自分も気をつけるべきです。
また、骨を丈夫に保つには、食生活も重要です。骨をつくる材料となるカルシウム、ビタミンD、ビタミンKを多く含む食品を意識して摂るようにしましょう。
カルシウムは牛乳や乳製品、小魚などに、ビタミンDはさけ、さんま、まぐろ、干ししいたけ、しめじなどに、ビタミンKは納豆やほうれん草、小松菜、わかめ、ひじきなどに多く含まれています。
骨粗鬆症の治療に漢方薬を使うことも
漢方薬は医療の現場で骨粗鬆症の治療にも用いられています。漢方薬は自然由来の生薬成分が穏やかに働くので、一般的に西洋薬よりも副作用が少ないとされているのもメリットといえるでしょう。
漢方薬は心とからだのバランスを整え、さまざまな不調を根本的な解決へと導くものです。
漢方医学では、腎臓や生殖器官、自律神経の弱りや衰え(腎虚・じんきょ)を整えることで、骨粗鬆症が改善すると考えられています。骨粗鬆症には、以下の漢方薬を用いることがあります。
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)
疲れやすく、冷えや頻尿がある方に応用されます。
- 六味丸(ろくみがん)
疲れやすく、手足がほてり、口が渇く方に応用されます。
- 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
八味地黄丸に2つの生薬〔牛膝(ごしつ)と車前子(しゃぜんし)〕を加えた漢方薬です。下半身の冷えや痛み、しびれが強い方に応用されます。
漢方薬を選ぶときに重要なのは、その人の状態や体質に合っているか、ということです。うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
どの漢方薬が自分に合うのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
漢方に詳しい薬剤師が一人ひとりに効く漢方薬を見極めて、お手頃価格で自宅まで郵送してくれますよ。
※この記事は2018年7月の記事を再編集して掲載しています。
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