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痛い、楽しくない、自信が持てない……更年期以降も「気持ちいいセックス」を楽しむコツは

HALMEK up / 2025年1月6日 22時50分

痛い、楽しくない、自信が持てない……更年期以降も「気持ちいいセックス」を楽しむコツは

更年期や閉経後に性交痛に悩む女性は多い。更年期以降の夫婦の性生活や男女のセックス観のありかたについて考えます。

「セックス=痛い」から潤滑剤を輸入

更年期世代でも安心して使える潤滑剤を開発した「うるおいヘルスケア株式会社」社長の小林ひろみさん

更年期世代でも安心して使える潤滑剤を開発した「うるおいヘルスケア株式会社」社長の小林ひろみさん

閉経すると女性ホルモンが激減するので、性交痛を訴える人が多くなる――。自身も若い頃から性交痛に悩まされ、潤滑剤で解放された経験を持つ「うるおいヘルスケア株式会社」代表での小林ひろみさんに話を聞いた。

小林さん自身は、膣の機能に若干の問題があり、若い頃から性交痛がひどかったという。

「『セックス=痛い』となると、苦痛だし気が重い。男性と付き合うのがイヤになるんですよね。いい人だしつきあいたいけど、性的な関係にはなりたくない。ちょっと肩に手を置かれただけで、え、セックスのことを考えているおかなと引いてしまう。これ以上、近づかないでおこうと思って恋に発展しない。そんなことがよくありました」

そんな彼女だが、潤滑剤を使うことで7割方、痛みから解放された。そして周りを見渡して話を聞いてみると、性交痛に悩んでいる女性たちの多さに気付く。

そこで2008年から、アメリカからの潤滑ゼリー「アイディルーブ」を輸入販売することに。アダルトグッズのイメージからかけ離れた色とりどりの爽やかなボトル、ほのかな香りで舐めても大丈夫だとアメリカの医療現場でも推奨されている製品に自身ものめりこんだという。そこから小林さんの勉強と研究が始まった。

「性の健康に関するセミナーや学会にたくさん出席しました。自分の経験もふまえて、女性が性交痛などのセックスへの恐怖、性器周りの不快を抱えたまま生きることが人生にどんな影響を及ぼすのかを研究しています」

その過程でメノポーズ(更年期)カウンセラーや、女性の健康経営(マネジメント)アドバイザーなど多くの資格を取得、2019年からは「性と健康を考える女性専門家の会」理事にも就任している。

更年期以降に突然、性交痛を感じることも

更年期以降に突然、性交痛を感じることも

「特に更年期以降は、今まで痛くなかった人でも性交痛に悩まされることがあります。そうすると楽しかったセックスが恐怖になってしまう。もちろん個人差は大きいのですが、外陰部の乾燥による入り口付近のかゆみがあったり、膣萎縮によってセックスのときに中で出血が起こることもあるんです」

更年期以降、膣萎縮などが起こることは以前の記事で紹介した医師の吉野一枝さんも 警鐘を鳴らしている。

「更年期の年代って、自分の見た目も変わってくるし、子どもが独立していったり夫が定年になったり、さらには親の介護がのしかかってきたり……と、いろいろなことが一気に襲ってくる時期でもあるんですよね。しかもセックスが痛くて楽しくなかったら、『これを機にセックスなんて卒業してもいいわ』という気になって不思議はない」

もちろん、セックスが嫌いな人に無理やりした方がいいとは言えない。ただ、本当は嫌いじゃない、男性とのセックスを楽しみたいと内心は思っているのなら、ひと工夫は必要なのではないだろうか。

年を取ったら丁寧なケアと気持ちの切り替えを

年を取ったら丁寧なケアと気持ちの切り替えを

年齢を重ねると、自分自身のケアに時間がかかることを痛感する。白髪は増え、肌は乾燥しやすくなる。以前だったら放っておいてもなんともなかった爪が、ふとした拍子に割れたりする。爪回りの皮膚も乾きがちだ。そして性器周辺も妙にかゆくなったり荒れていたりする。

こまめにケアしないと、あっという間に薄汚れた外見になってしまうのではないかと不安が走る。筆者自身も、体形的にも感覚的にも自分に自信が持てなくなり(もともとあったわけではないのだが、それでも)、セックスは卒業してもいいかなと思うことが多々ある。

「自分の体を大事にすることが健康につながり、ひいては恋愛に限らず、他者への思いやりにつながっていくんじゃないかと思うことがあります。だから更年期がつらかったら、まずは婦人科へ行ってほしい。ホルモン療法などでラクになったら、さらに保湿剤などを使うことでセックスがまた楽しめるようになる可能性が大きいから」

今回、小林さんが自社ブランドとして発表した「Your Side」には、デリケートゾーンを気軽にケアできるボディミルクと保湿ゼリーがある。ボディミルクは、こっくりとしたコクがあり、手足やボディはもちろん、足の付け根のケアにも使える。外陰部周辺が乾燥しがちになる更年期世代にぜひ使ってほしいという。保湿ゼリーはさらりとしているので、指先のケアからこちらもデリケートゾーンに使うことができる。

「いわゆる潤滑ゼリーって専用商品しかないんですよね。セックスのときしか使えないから、一つ買ったらなかなか使い切れないという人も多い。それを考慮して全身に使える化粧品として開発しました。デリケートゾーンも体の一部、ボディケアの一環として毎日使ってもらえるものにしたかったんです」

更年期以降「男女の性」を見直すべき

更年期以降「男女の性」を見直すべき

小林さんがさらに訴えるのが、更年期以降の男女の性のありようだ。今までとは違うことを男女ともども確認した方がいいという。

「例えば夫婦ともにアラフィフで、妻は更年期によって膣が乾燥しがちで性交痛がある。夫は中折れするようになってしまった。以前は妻をいたわりながらセックスしていた夫が、自分の中折れを気にするあまり、セックスの最中、妻を気遣わなくなるんですって。妻にしてみたら、別にセックスに挿入が伴わなくてもいいんですよ。だけど夫はひとりで挿入と射精にこだわっている。これ、けっこう象徴的な話だと思います。そういう男性のセックス観を変えてほしいと、女性たちは思っているんじゃないでしょうか?」

男性の勃起、挿入、射精のシステムに、女性たちは「付き合わされている」と感じることが多々ある。だからセックスが楽しくなくなる側面もあるだろう。いくつになっても男性がその流れを遵守しようとする限り、女性は苦痛を覚え続けるのかもしれない。

「夫婦のセックスが貧しすぎる」と小林さんは憂える。
「肉体的な快感を得たい」だけなら、男女とも一人ですればいい。自分の快感スイッチは自分が一番よく知っている。それでもあえて夫婦が抱き合うのはなぜなのか? 人肌から感じる安心感、抱き合うことで得られる充足感があるからではないだろうか。

「挿入は必ずしも必要ではない」ペニス神話にとらわれている夫にそう言えるのは妻だけかもしれない。そこから夫婦のセックス観は変わっていく可能性があるのだ。

※初出:2020年5月

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