その体調不良、「掃除の方法」が原因かも!? 専門家が教えるNG掃除5つ
ハルメク365 / 2024年12月14日 18時50分
カビ・ほこり・菌がたまりやすい場所と対処方法
30年以上にわたり病院の環境整備や清掃に携わってきた医療環境管理士の松本忠男さんに、「カビやほこり、菌、ウイルス」をためず健康に過ごせる家の掃除方法の、よくある間違いと正しいやり方を聞きました。あなたはいくつ間違っている?
家庭内に、菌やウイルスを残さないためには?
新型コロナウイルスの感染拡大によって、外出時はマスク、手洗い、うがい、手指消毒はしっかりするようになったという人が多くなりました。
新型コロナウイルスの感染は、家庭内で発生する可能性が高いです。実は家の中には、感染リスクがたくさんあります。手洗いやうがいだけでなく、ウイルスが残る汚れた表面の拭き掃除をする必要があります。
また、かびや細菌の繁殖、ハウスダストも健康に大きな影響を及ぼします。
さらにホコリなどのハウスダストと一緒にウイルスが混じり部屋中に広がることもあるので、ハウスダストをためない部屋を保つことも大切です。
衛生面から見ると、手慣れた掃除方法がそもそも間違っていることも。正しい掃除方法で、家庭内のウイルス、カビ、ほこり、菌の数を減らしていきましょう。
「掃除といえば水拭きをする」は間違い
まず最初にお伝えしたいのが学校で習う掃除法『窓を開けて、机と椅子を教室の片側に寄せて、掃き掃除をして、濡れ雑巾で床を拭く』というやり方。物を動かして空気中に舞い上がったホコリは、空気を浮遊した後、再び床や棚に落ちてきて積もります。
またウイルスは、ダニの死骸やフン、細菌、花粉、繊維のくず、人の髪や皮脂といったさまざまなチリの集まりであるハウスダストと混ざっていることがほとんどです。これらに水分を加えてから拭いても、逆に塗り広げてしまいます。まずは、どんな掃除をするときも乾拭きをして、汚れを取り除きましょう。
また拭き方も大切です。ホコリが舞い上がらないように乾いた布で一方向に吹き上げる方法が、一番汚れの量が減ります。
よくやりがちな、水拭きでゴシゴシ往復しながら拭き上げる方法は、拭く前よりもかえって汚れが増えるという実験データもあります。水拭きをすると気分的にスッキリするというのは、エビデンスのない掃除方法で、かえって感染リスクを高めます。
アルコール消毒スプレーを吹き付ける際にも、必ず乾拭きで一度一方向に拭いてから行いましょう。
掃除用の雑巾は、タオルではなくマイクロファイバークロスを使いましょう。タオルだとタオル自体から線維が出てきてしまい、汚れが残りがち。線維が細かいマイクロファイバークロスなら、しっかり汚れをキャッチします。
床のこびりついた汚れを落としたいときは、80℃のお湯を500mLに、重曹大さじ1を加えた重曹水をスプレーして3分間置いてから拭き取りましょう。
「除菌グッズを使っているから安心」は間違い
新型コロナウイルスを機に、除菌グッズを購入された方も多いと思います。ここで気を付けたいのが、「除菌」は「消毒」「滅菌」とは意味が異なるということです。
「消毒」「滅菌」は、薬機法によって効果が認められた医薬品または医薬部外品にしか使えない言葉です。しかし、「除菌」は雑貨や洗剤にも使える言葉で、「菌をその場から取り除く」という意味しかありません。主に、食器用洗剤や洗濯用洗剤、アルコールスプレー、清拭用クロスで見られます。
アルコール濃度が80%前後であれば消毒力を持ちますが、「除菌ウェットティッシュ」とうたっているものには、アルコール濃度20~30%程度しかありません。
水拭きは逆効果というのを先ほど説明したように、除菌グッズで掃除を行っても、菌やウイルスが取り除かれるどころか、塗り広げている可能性もあります。
「トイレは便器から掃除する」は間違い
トイレは感染対策上、とても大切な場所です。体の中からウイルスや細菌などが便などとともに排出されます。また、衣類の着脱やトイレットペーパーなどから出るほこりが多いです。またドアノブ、電気のスイッチ、手すり、トイレットペーパーホルダー、水栓レバーなど、手で触る箇所も多いため、接触感染のリスクが高い場所といえます。
具体的な掃除法としては便器からお掃除する方が多く見られますが、実はこれは間違いです。掃除は順番が大切。便器を先に掃除することで、床などに水しぶきが飛び、乾いたほこりなどを湿らせてしまいます。
これらの汚れを湿らせた状態で、雑巾などで拭くことで、床に汚れを塗り広げてしまい、逆効果となってしまいます。
正しい手順はまずは壁の乾拭き、次に床の乾拭き、最後に便器が基本です。
壁の掃除には、化繊のハタキがおすすめです。使う前に繊維をゴシゴシこすっておくことで、静電気が増し、壁のほこりを取りやすくなります。また、便器の掃除を最後に行うことをお伝えしましたが、壁や床掃除に取りかかる前に便器の中に洗剤を振り掛けて、ブラシなどでなじませておくと、3〜5分程度で洗剤が汚れに浸透するので、汚れを落としやすくなります。
「水回りは濡れたタオルでゴシゴシ拭く」は間違い
食べかすや手の脂汚れなどの有機物汚れが残ったまま、消毒、除菌をしても、その効果は半減します。固形物は取り除いた上で、洗剤で洗い流すことで、汚れやウイルス、細菌などの数を減らすことができます。
また台所などの水回りで気を使うべきなのは、水分を残さないことです。水回りの常在菌には、緑膿菌がいます。健康な人には害はありませんが、免疫が下がると呼吸器感染症を引き起こす一因に。
飛び散った水滴は乾いたタオルなどで、水アカが残らないように拭き取ってください。
なおその際、ゴシゴシ拭くと水分を横に塗り広げることになるため、タオルでスタンプを押すイメージで、吸い上げることが時短にもつながります。正しい掃除方法で、病気にならない家作りを目指しましょう。
「ふとんを干した後、何もせず取り込む」は間違い
次に布団のカビ対策です。ウイルスや細菌だけでなく、カビも肺炎の原因になります。
人は一晩で500mLの汗をかきますので、週に1度は天日干しをしましょう。布団を天日に干すとかなり乾くので布団の湿度を下げることにより、カビが繁殖しやすい条件を少なくする効果があります。
そして、布団を干すときの大事なポイントは時間帯です。季節にもよりますが、今の時期の湿度は午前9時頃から下がり始めるため、湿度が比較的低いお昼前後に干すのがおすすめです。その後は再び上昇しますので、夕方前には取り込んだ方がよいでしょう。
取り込む前には、布団の表面を掃除機で吸いましょう。布団の天日干しは、カビを死滅させる効果はあまりありません。ハウスダストを取り除いて布団を快適にする布団クリーナーを頼るのもおすすめです。レイコップやダイソン、パナソニックなど、家電メーカー各社が発売しています。
■教えてくれた人
松本忠男
まつもと・ただお 医療環境管理士。株式会社プラナ代表取締役社長。日本ヘルスケアクリーニング株式会社代表取締役社長。30年以上病院の環境衛生一筋に過ごす。亀田総合病院では100人近く、横浜市立市民病院では約40人のスタッフを指導し現場で体得したコツやノウハウを、多くの医療・介護施設や清掃会社に伝える。テレビ出演多数。著書は「ウイルス・カビ毒から身を守る!(扶桑社刊)」他、14冊。
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