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50代「大腸カメラ」受けないと大変なことに!? 死亡数1位「大腸がん」リスクと予防のポイント

HALMEK up / 2025年1月17日 18時50分

50代「大腸カメラ」受けないと大変なことに!? 死亡数1位「大腸がん」リスクと予防のポイント

大腸がんのリスクと予防

便潜血検査、年に1回受けていますか? さらに40歳を過ぎたら一度は大腸カメラを受けておくべきなんだとか!大腸がんは女性のがん死亡数の1位ですが、早期に発見すれば治る可能性が高い病気。大腸がんのリスクと予防のポイントを解説します。

教えてくれた人

近藤慎太郎さん

こんどう・しんたろう 近藤しんたろうクリニック院長。日本内科学会認定医、日本消化器内視鏡学会指導医、日本人間ドック学会専門医など。1972(昭和47)年、東京都生まれ。94年、北海道大学医学部、東京大学医学部大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター内視鏡室長、クリントエグゼクリニック院長などを歴任後、現職。消化器の専門医として数多くのがん患者を診療。年間2000件以上の内視鏡検査・治療を手掛ける。最新刊は『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ! 最先端医療が命を守る』(さくら舎刊)。

「大腸がん」早期発見すれば治るのに、受診率は低い!

年代別大腸がんにかかった人の数

年代別大腸がんにかかった人の数(出典:国立がん研究センター「がん情報サービス」2014)

女性の場合、胃腸のがんが年間約10万人に見つかり、約4万人が命を落としています。国立がんセンターのデータによれば、年間約2万5000人の女性が大腸がんで命を落とすと推測されています。

ところが、「大腸がんは早く見つけたら治るがんの筆頭格です」と話すのは、年間2000件以上の内視鏡検査・治療を手掛ける医師の近藤慎太郎さんです。

大腸がんは進行度によって、0〜Ⅳの5つのステージに分類されます。5年生存率(がんが見つかってから5年後にその人が生存している割合)は、ステージ0でほぼ100%、ステージⅠで97.6%、ステージⅡで90.0%。この数字は他のがんと比べても高く、「長生きしやすいがん」と言えます。

しかしステージⅢになると5年生存率は84.2%、ステージⅣでは一気に20.2%に低下します。

「日本人女性で大腸がんの死亡数が多いのは、ステージの早い段階で見つかる人が少ないからだと考えられます」と近藤さん。その大きな要因となっているのが、女性における検診の受診率の低さです。

「心理的に抵抗感がある、便秘でうまく便が出ないなど、さまざまな理由で便潜血検査を受けていない女性が多い上、検査で陽性になっても精密検査を受ける率が低いこともわかっています」と近藤さん。

そこで、必ず受けるべき検査をはじめ、知っておきたい大腸がんの知識を紹介します。 

大腸がんのリスクと予防1:肥満・飲酒・タバコはNG

大腸がんのリスクと予防:肥満・飲酒・タバコはNG

大腸がんのリスクを高める生活習慣として、これまで疫学調査などで明らかになっているのは「肥満」「飲酒」「たばこ」の3つ。

他にハム、ソーセージなどの加工肉や、赤肉(牛、豚など)をたくさん食べることも、リスクを上げる可能性があるといわれています。

「赤肉を1日あたり80g以上食べる女性では、大腸がんのリスクが上がるという国立がんセンターの報告があります」(近藤さん)

大腸がんのリスクと予防2:大腸がんの家系は存在する

遺伝性のがんはがん全体の5%ほどで、大腸がんの家系も存在します。代表的な「リンチ症候群」は50代未満でがんを発症することが多く、「家族性大腸腺腫症」では胃腸に無数のポリープが発症します。

親類に若くして大腸がんになった人が複数いる場合やポリープができやすい人は、消化器の専門医に相談しましょう。

大腸がんのリスクと予防3:大腸ポリープは要注意

近藤さんによれば、大腸がんの発生経路は2つ。一つは粘膜に直接がんが発生するケース、もう一つは粘膜に良性のポリープができ、徐々に悪性度が高まり、がん化するケースです。

「つまりポリープはがんになる可能性がある“前がん病変”です」と近藤さん。大きなものや形のいびつなものは切除が必要です。

大腸がんのリスクと予防4:便秘は直接原因ではない

便秘気味だと腸内環境が悪化して、大腸がんになるリスクが上がるのでは――そんな不安を抱いている人も多いでしょう。しかし「便秘によって大腸がんのリスクが上がるという明らかな報告はありません」と近藤さん。

「とはいえ、大腸がんによって便秘になることは十分にあり得るので、便秘には注意が必要です」

大腸がんのリスクと予防5:「便を見る」習慣でがん予防

大腸がんのリスクと予防:「便を見る」習慣でがん予防

「便や尿など体から排泄されたものは、大切な“あなたの情報”ですから、ちゃんと見なければなりません」と近藤さん。

大腸がんができると、便が通過するときにこすれて出血したり、物理的に便の通りが悪くなったりするため、「便に血がついていないか」「便が細くなっていないか」「量がきちんと出ているか」をチェックする習慣をつけましょう。

大腸がんのリスクと予防6:便潜血検査で死亡率6割減!

がん検診には、市区町村などが行う公的ながん検診と、人間ドックなどの医療機関で任意で受けるがん検診の2つがあります。

40歳になると公的に受けられる大腸がんの検査が「便潜血検査」。便の一部を容器に入れて提出し、便の中に血が混じっていないか調べる検査です。

「簡単な検査で安価なのがメリット。毎年受けることで、大腸がんのリスクを約60%下げられます」(近藤さん)

便潜血検査の費用は無料~数百円です

  • 自治体のがん検診で受ける場合:無料~数百円
  • 何か症状があり、医療機関を受診して受ける場合:保険適用で3割負担の人で120円、1割負担の人で40円

大腸がんのリスクと予防7:痔のせいと決めるのは危険

便潜血検査で陽性の場合、精密検査の必要があります。「よく『便に血が混じったのは痔のせい』と自己判断する人がいますが、出血の原因が痔なのか、大腸がんなのかは検査しなければわかりません。また『便についた血が真っ赤なら痔のせい』と考えている人も危険。やはり受診をおすすめします」(近藤さん)

大腸がんのリスクと予防8:一度は大腸カメラを受ける

大腸がんのリスクと予防:一度は大腸カメラを受ける

大腸カメラは粘膜を直接観察できるので、便潜血検査に比べて正確性が高く、小さなポリープをその場で切ることもできます。

「便潜血検査を年1回受けることは前提条件として、40歳を過ぎたら一度は大腸カメラを受けておくべきです。60歳、70歳だからといって遅いということはありません」と近藤さん。

もしそこで問題がなく、タバコや飲酒などのリスク要因もなければ、次の検査は5~10年後が目安となります。

大腸がんのリスクと予防9:検査の際は専門医か確認を

大腸の精密検査で一般的なのは、内視鏡を腸に入れて観察する「大腸カメラ」です。費用は保険適用で5000円程度(3割負担)。「医師の腕に個人差があるため、どこで受けるかも重要です。検査を受けたことがある人の口コミを聞いたり、内視鏡学会専門医か指導医の資格の有無を確認したりするとよいでしょう」(近藤さん)

大腸がんのリスクと予防10:検査前は大腸をきれいに

大腸がんのリスクと予防:検査前は大腸をきれいに

「大腸カメラの診断能力を高めるには、腸の中をきれいにしておくことが大事」と近藤さん。前日は繊維の多い野菜や海藻を控え、下剤をきちんと飲むことが必須です。

大腸がんのリスクと予防11:早期なら内視鏡で切除可能

大腸がんは早期で粘膜の表面近くにとどまっていれば、内視鏡で切除可能。少し進行していれば、外科手術になります。手術はお腹を開ける開腹手術が一般的ですが、近年は体の負担の少ない腹腔鏡手術も行われています。

大腸がんの発生部位

大腸がんの発生部位(出典:大腸癌研究会「大腸癌全国登録」より作成)

大腸がんのリスクと予防12:転移後も切除できる可能性

多くのがんは、他の臓器などに転移した場合、原則的に手術はできず、抗がん剤治療となります。しかし、大腸がんは他のがんと比べて悪性度が低いため、肝臓などに転移している場合でも手術できる可能性があります。

続いては「胃がん」についてご紹介します。

取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部) イラストレーション=末続あけみ

※この記事は雑誌「ハルメク」2020年1月号に掲載したものを再編集しています。

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