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更年期以降に急増する【尿漏れ・頻尿】を自分で治す!骨盤底ケア習慣とは【医師解説】

ハルメク365 / 2024年11月14日 22時50分

更年期以降に急増する【尿漏れ・頻尿】を自分で治す!骨盤底ケア習慣とは【医師解説】

急に尿意を感じて我慢できなかった、咳や荷物を持ち上げたら尿漏れした、そんな経験はありませんか? 50代以降の女性の2人に1人が経験するといわれる尿漏れや頻尿の症状は、セルフケアと生活習慣で改善できます。関口さんに伺います。

取材先・記事監修:関口由紀さんのプロフィール

取材先・記事監修:関口由紀さんのプロフィール

女性医療クリニックLUNAグループ理事長
関口由紀さん

せきぐち・ゆき 1989年、山形大学医学部卒業。横浜市立大学医学部泌尿器科等を経て、2005年に横浜元町女性医療クリニック・LUNAを開設。現在、女性医療クリニックLUNAグループ総帥として、横浜に女性医療専門クリニックを展開。女性がいくつになっても元気できれいにあることをサポートすることに尽力。横浜市立大学大学院医学部客員教授。

尿漏れ・頻尿と深く関わっている「骨盤底」とは?

50代以降の女性の多くが経験する尿漏れや頻尿。急な尿意で一日に何度もトイレに通う、トイレまで尿意を我慢できない、運動中に尿が漏れる……など症状は人それぞれです。

「こうした症状と深く関わっているのが、骨盤の底にあるひし形のプレート『骨盤底』です」と解説するのは、女性医療クリニック・LUNAグループ理事長で泌尿器科医の関口由紀(せきぐち・ゆき)さんです。

尿漏れ・頻尿と深く関わっている「骨盤底」とは?

骨盤底は、筋肉やじん帯、筋膜、皮下組織などで構成され、大きく二つの役割を果たしています。一つは、膀胱、子宮、直腸など骨盤内の臓器を下から支える役割。もう一つは、尿道、膣、肛門の出口を開閉させ、尿や便の排泄をコントロールする役割です。

尿漏れ・頻尿の原因1:骨盤底障害

尿漏れ・頻尿の原因1:骨盤底障害

「骨盤底は出産や加齢によって衰えていきます」と関口さん。女性の場合、個人差はあるものの、妊娠・出産によって骨盤底が損傷され、その傷は潜在的に残るといいます。

「40代以降、全身の筋肉量が低下すると、骨盤底筋(骨盤底にある筋肉群)も弱まります。さらに50代前後に更年期を迎え、女性ホルモンが減少して骨盤底の粘膜や皮下組織などが萎縮すると、長年潜在していた傷が顕在化し、骨盤底が弱ってしまうんです」と関口さん。

これを「骨盤底障害」といい、代表的な症状が尿漏れと頻尿です。また、骨盤底がゆるむことで、「骨盤臓器脱」になることも。膀胱(膀胱脱)や子宮(子宮脱)、直腸(直腸脱)などが体外に飛び出てしまう病気です。しかも、更年期以降の女性の5人に1人が骨盤臓器脱を経験しています。

骨盤底障害(尿漏れ・頻尿・臓器脱)は骨盤底のゆるみで起きる

骨盤底障害(尿漏れ・頻尿・臓器脱)は骨盤底のゆるみで起きる

骨盤底障害の原因は、骨盤底がゆるんでしまうことです。骨盤底がゆるむことで排泄をコントロールできなくなったり、臓器を支えられなくなったりします。

骨盤底がゆるむ原因は、先ほど説明したように妊娠・出産で骨盤底に傷ができることです。他にも、便秘、喫煙、悪い姿勢などの生活習慣が関係しています。

「骨盤底の強さには加齢の他に、遺伝や肥満、日常の姿勢や習慣なども関係しているため、妊娠・出産経験のない人でも尿漏れや頻尿は起こります」と関口さん。骨盤底が生まれつき軟らかい“安産タイプ”の人は要注意だそう。

尿漏れ・頻尿の原因2:膣の更年期「GSM」

尿漏れ・頻尿の原因2:膣の更年期「GSM」

閉経すると、女性ホルモンは急激に減少します。その結果、外陰や膣が萎縮して生じるさまざまな不快症状をGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)といいます。具体的な症状としては、尿漏れ、頻尿の他に、膣の乾燥、膣や外陰のムズムズ、かゆみ、性交痛などが挙げられます。

骨盤底トレーニングをしても尿漏れが改善されない場合、GSMが主要因という可能性も考えられます。GSMの治療として有効なのは、日常的な保湿と性ホルモンの局所治療です。

尿漏れ・頻尿の対策は?

尿漏れ・頻尿の対策は?

「尿漏れのために外出したくなくなる、趣味やスポーツをやめてしまうなどQOL(生活の質)が低下しないよう、予防や治療をしましょう」と関口さんはすすめます。

症状によってさまざまな治療法がありますが、一番の基本となるのが 「骨盤底トレーニング」です。また生活習慣でも骨盤底を強く、若くすることができます。自分で骨盤底を強く若くする骨盤底ケアの方法を紹介します。

骨盤底ケア1:骨盤底を弱めない姿勢と動作にする

腹筋運動は要注意!

腹筋運動は要注意!

腹筋運動でお腹に筋肉をつければ、尿漏れや頻尿が改善されると思っている人がいますが、要注意! 腹筋運動は腹圧を高め、骨盤底に大きな負担をかけてしまうので、骨盤底を引き締めながら行うことが大切です。

トイレでいきむときは、前かがみの姿勢で

トイレの背もたれに背中をつけ、背すじを伸ばした姿勢でいきむと、骨盤底は下へ下へと押し下げられてしまいます。トイレでは背すじを伸ばしたまま体を前に傾けていきむのが、骨盤底に負担をかけないコツです。

重い物は腰を落として持つ

重い物は腰を落として持つ

立ったままおじぎをするような姿勢で重い物を持つと、お腹に圧力がかかって、骨盤底に負担をかけます。ひざを曲げて腰を落として持ち上げましょう。骨盤底への負担を軽減するだけでなく、ギックリ腰も防げます。

猫背を正し姿勢を真っすぐに

猫背の姿勢や腰を反らせた姿勢など、悪い姿勢はお腹に圧力をかけ、骨盤底への負担が大きくなります。腰から背骨全体が真っすぐ伸びた姿勢を普段から心掛け、お腹に圧力がかからないようにしましょう。

座るときも姿勢を伸ばす

座っているとき、骨盤が前傾して背すじが伸びていないと、お腹に圧力がかかって、骨盤底に負担をかけてしまいます。骨盤を起こして背すじを真っすぐ伸ばして座れば、骨盤底に余計な腹圧がかかりません。

骨盤底ケア2:トイレを我慢する膀胱トレーニングを行う

骨盤底ケア2:トイレを我慢する膀胱トレーニングを行う

頻尿や尿漏れに悩む人は、漏らさないようにすぐトイレへ行く癖がついていますが、それは症状の改善には逆効果だと関口さんは言います。

「トイレに行きたくなってもすぐ行かず、骨盤底をキュッと締めて尿意をいったん下げてから、ゆっくりトイレへ。お腹に力を入れず、自然にまかせてゆっくり尿を出す習慣で、膀胱は鍛えられます」

膀胱トレーニングのやり方

膀胱トレーニングのやり方

STEP1:尿意をもよおしても、すぐにはトイレに行かず、ちょっと我慢してみる。最初は5分程度我慢する。

STEP2:無理なく我慢できるようになったら、10分、15分と我慢する時間を少しずつ延ばしていく。

STEP3:1週間~1か月くらいかけて少しずつ膀胱の容量を増やしていく。骨盤底トレーニングとあわせて行えばさらに効果的。

骨盤底ケア3:デリケートゾーンを保湿する

骨盤底ケア3:デリケートゾーンを保湿する

GSMによる膣や外陰の乾燥やムズムズ、かゆみ、尿漏れ、頻尿などの進行を抑えるためには、毎日の保湿ケアが有効です。入浴後に、全身用の保湿剤でいいので、膣や外陰に塗って乾燥を防ぎましょう。

「閉経前は、何もしなくても膣や外陰は湿っていますが、閉経後は乾燥して萎縮が進んでしまうため、ちゃんとしたケアが必要です」と関口さん。ご自身は入浴後、まず膣の入り口付近と尿道周囲にオイルを塗り、次に外陰と肛門付近に顔に使用しているのと同じ美容液を塗っているそうです。

「セルフケアを行っても症状が進行してしまう場合は、医療機関を受診してください」

尿漏れパッドはあまり使わない方がいい

尿漏れパッドはあまり使わない方がいい

多くの女性が使っている尿漏れパッド。関口さんは「睡眠時と日中の外出時に使って、あとは外した方がいい」と言います。漏らさないようにという意識が大切だからです。「不安な人は、骨盤底筋サポートショーツを活用するといいでしょう」(関口さん)

パープル

骨盤底筋を引き締めて、持ち上げるサポート機能のあるショーツ
 

次回は、自宅でできる骨盤底トレーニングをお伝えします。

取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部) イラストレーション=金子なぎさ
※この記事は、雑誌「ハルメク」2020年3月号の記事を再編集しています。
 

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