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更年期で激変!アフター更年期に気を付けるべき病気は?

ハルメク365 / 2024年9月27日 18時50分

更年期で激変!アフター更年期に気を付けるべき病気は?

更年期症状と、閉経後のアフター更年期に起こる心身の不調。原因は女性ホルモンが枯渇することですが、その実態を知らないと不調や不安を増幅することにも……。閉経前後に起きやすい症状や病気について、産婦人科医の高尾美穂さんに聞きました。

閉経前後2年がピーク!更年期で変わる体の変化

閉経前後2年がピーク!更年期で変わる体の変化

更年期は閉経をはさんだ前後5年間ずつの、10年間のことを指します。45歳くらいから女性ホルモンの分泌量が低下し始め、さまざまな不調に見舞われます。月経不順が見られたら、更年期の始まりです。

「閉経前後の2年、日本人の平均では50歳前後には女性ホルモンが急減します。その変化に体が追いつかず、更年期症状がピークになるのもこの時期。1年以上生理が来なかったら「閉経」したとみなします。つまり、『閉経』は後から振り返って初めてわかるものなのです。女性ホルモンがない状態に体が慣れていけば、更年期症状で困ることは少なくなります」と産婦人科医の高尾さん。

そして55歳あたりからが「アフター更年期」。女性ホルモンのエストロゲンが常に欠乏している状態になります。エストロゲンの分泌量は、閉経後にはなんと男性よりも低い値で一定になるのだそうです。

「女性の平均寿命は約87歳ですから、閉経後の人生はとても長いもの。だからかつての人生50年時代では気にしなくてもよかった、新たな不調のリスクが高まるようになってきたのです」(高尾さん)

女性ホルモンの分泌のUP・DOWNがもたらす更年期症状

女性ホルモンの分泌のUP・DOWNがもたらす更年期症状

更年期症状も、アフター更年期の不調も、鍵を握っているのは卵巣から分泌される「エストロゲン」という女性ホルモン。

卵巣機能が完全にストップする閉経の前後には、心身にさまざまな不調が現れ、その種類は200以上ともいわれています。症状には個人差があるものの、多種多様な症状が閉経を境に一気に押し寄せてきます。人によっては、更年期症状が重く生活に支障をきたすほどの状態になることも。それを「更年期障害」と呼びます。

主な更年期症状は以下の通り。

・運動系症状…肩こり、腰痛、ぎっくり腰、関節痛 
・精神神経系症状…頭痛、不眠、うつ状態、めまい、耳鳴り、物忘れ
・消化器系症状…食欲不振、胃もたれ、下痢、便秘、腹部膨満感、胃痛
・血管運動神経系症状…ホットフラッシュ、動悸、冷え、息切れ
・泌尿器、生殖器系症状…月経異常、尿もれ、頻尿、外陰部掻痒症、骨盤臓器脱、性交痛
・皮膚、分泌系症状…皮膚・粘膜の乾燥、口の渇き、ドライアイ、湿疹

繰り返しになりますが、これらの症状の原因は、卵巣機能が低下することで女性ホルモンの分泌量が減少するため。

「ただ、女性ホルモンの分泌量がなだらかに減少するなら大きな影響はありません。不調をもたらすのは、その分泌量が波のようにUP・DOWNをするから。その浮き沈みに体が振り回されてしまうのです」(高尾さん)

女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が低下すると、自律神経が乱れやすくなり、いわゆる「自律神経失調症状」が出てきます。そのためホットフラッシュなどの血管運動神経系の症状や、うつなどの精神神経系の症状、便秘などの消化器系症状が出やすくなります。

また、エストロゲンは皮膚や粘膜の潤いや弾力を保つコラーゲンを産生する働きや、骨密度を維持する働きがあります。そのため、エストロゲンの減少そのものが皮膚の乾燥や腟の萎縮による性交痛、肩こり、腰痛などをもたらすのです。

更年期症状によく似た、甲状腺疾患に注意!

更年期症状によく似た、甲状腺疾患に注意!

もう一つ気を付けなければならないのが、更年期症状によく似た別の病気です。甲状腺も加齢とともに機能が低下し、更年期で異常をきたすことがあります。主な甲状腺の病気には、甲状腺ホルモンが不足する「橋本病」と、甲状腺ホルモンが過剰になる「バセドウ病」があります。どちらも更年期症状とよく似た症状があり、見逃されがち。

「甲状腺の病気は、血液検査をすればすぐにわかります。更年期障害は、甲状腺の問題やその他の似たような症状を示す病気などを除外して、初めて診断されます。更年期が近づいたら、健康診断などでご自身の健康状態を知るのも大切です」(高尾さん)。

アフター更年期に気を付けるべき病気


アフター更年期には、今まで心配する必要がなかった新たな病気にかかるリスクもアップします。

エストロゲンの恩恵にあずかれなくなる更年期以降、病気のリスクも上がります。例えば、のぼせやめまいなど自律神経が乱れることによって起こる症状や、不眠やうつなどの精神的な不調が現れる他、動脈硬化や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、子宮体がん、乳がん、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や心筋梗塞など、長い時間をかけて進行していく病気にかかりやすくなるのです。

「更年期前の女性が生活習慣病になりにくいのは、エストロゲンのおかげだったと言っていいでしょう。初潮から閉経までのおよそ40年の間、エストロゲンがどれだけ女性の体を守ってくれていたのか。失ってから初めてそのありがたみを知ることになるのです」(高尾さん)。

『更年期の教科書ー閉経完全マニュアル』(世界文化社刊)をもとに作成

『更年期の教科書ー閉経完全マニュアル』(世界文化社刊)をもとに作成

エスロトゲンが減少することで、これらの病気や症状の他にも、抜け毛、肥満、肌のハリがなくなってたるみやシミ・シワが増えるなど、外見上の変化も現れてきます。また、デリケートゾーンが乾燥するなど外性器にも変化が現れます。

これまでどれだけエストロゲンに、おんぶに抱っこだったのか……。

女性特有の体の仕組み、病気の知識を持とう

女性特有の体の仕組み、病気の知識を持とう

健康診断に行く人は多いかもしれませんが、婦人科系の検査もきちんと受けていますか? 婦人科系の検査をしていない人は要注意。さらに、男性と女性では体の仕組みが違うように、病気にも性差があります。うつは女性が2倍、甲状腺疾患も圧倒的に女性に多い病気です。

「男性優位の未成熟な社会の表れともいえますが、日本ではまだ、ウィメンズヘルスがおざなりにされがちです。健康診断をもっと有効に活用して、女性特有の病気を調べるようにしてください。健康診断を単なる流れ作業のように捉えていたり、仕方なく受けていたりするのはもったいない! 更年期以降は意識的に婦人科系の病気、がん、甲状腺の病気などをチェックし、前向きに対策して生きましょう!」(高尾さん)

次回は、更年期を機に見直すべき生活習慣と健康意識について、お伝えします。

高尾美穂さんのプロフィール

高尾美穂さんのプロフィール

医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。東京慈恵会医科大学大学院修了後、同大学附属病院産婦人科助教、東京労災病院女性総合外来などを経て、2013年から「イーク表参道」副院長を務める。婦人科外来に携わるほか、スポーツ庁国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトのメンバーとして、女性アスリートのサポートも行う。ヨガの指導者資格も持つ。著書に『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】 』(世界文化社ホールディングス)、『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP刊)

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