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義実家へのストレスで体調不良に…夫も味方してくれない女性に住職・名取芳彦さんがアドバイス

ハルメク365 / 2024年8月18日 14時50分

義実家へのストレスで体調不良に…夫も味方してくれない女性に住職・名取芳彦さんがアドバイス

「女性のための人生相談」は読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は46歳女性の「義実家へのストレスで体調不良になった」というお悩みに、仏教の教えをわかりやすく説いて「穏やかな心」へ導く住職・名取芳彦さんが回答します。

46歳女性の「義実家へのストレスで体調不良になった」というお悩み

46歳女性の「義実家へのストレスで体調不良になった」というお悩み

75歳の義両親との関係がうまくいかず、20年近く悩んでいます。

主人(45歳)はリップサービスが旺盛で、実家に戻ると私のことを必要以上に悪く言ったり、事実と異なることを伝えたりしていて、その都度、義両親から電話やメールで悪く言われます。

「誤解ですよ、事実と異なりますよ」と、なるべく冷静に伝えますが、まったく聞き入れてもらえず、こちらが嘘つき扱いされてしまいます。

こういう類の話は重過ぎるだろうと思い、家族や友人にも話せず、一人で抱え込んでいましたが、10年ほど前からストレスがたまり過ぎて不眠になってしまいました。

不眠に関しても、義両親からは「仕事もしないでヒマ過ぎて眠れないのだろう」と勝手なことを言われています。

体調を崩してからは、いくら努力しても変わらない現状に疲弊し、少しずつ距離を取るようにしています。

できればうまく関係を築きたいと思い続けてきましたが、もう諦めてもいいでしょうか。ここまでされていても、疎遠にするのは薄情なのではないかと、また悩んでしまいます。

どうかいいアドバイスをいただければ幸いです。

(46歳女性・sayさん)

名取さんの回答:このあたりで義両親との関係を転換した方がいい

このあたりで義両親との関係を転換した方がいい

 義理の両親との人間関係のストレスを10年も抱え、ついに心身に不調をきたすようになったのですから、このあたりで義両親との関係を転換した方がいいと思います。今のまま、事あるごとに不満やいらだちを募らせる時間の使い方は、とてももったいないと思います。

sayさんの抱えている問題は(1)義両親(2)ご主人(3)sayさん自身に関しての3つです。

義両親の事情をわかろうとすると心がスッキリするかも

義両親の事情をわかろうとすると心がスッキリするかも

まずは(1)義両親について。かわいい我が子(sayさんのご主人)の言うことをうのみにしている義両親は、sayさんに息子を取られたと、今でも思っているかもしれません。息子をバトンのようにsayさんに渡して、親としてお役御免になったと割り切れず、上手に子離れができていないのです。

また、75歳は終戦直後に生まれた昭和世代で、“出る杭は打たれる”“他人と違ったことをしない”が世渡り術として通用していた時代です。今流に言えば「同調圧力」ともいえます。

異なった意見に耳を傾けたり、疑問を持つ心の扉が開いたりすることがなかなかありません。結果として、(親族を含めた)仲間の言ったことをそのまま信じる傾向があります(特殊詐欺の犯人はこれを逆手に取っているのでしょう)。

しかし、昭和に流行した講談にも「片言極め難し」(へんげんきわめがたし)というせりふがたびたび登場します。一方の話だけを聞いて判断するのはとても難しいという意味です。

私が30代の頃、檀家のおばあちゃんが「うちの嫁は仏様(ご先祖のこと)はホットケ(放っておけ)様で、何もしてくれないんです」と愚痴をこぼしました。それをうのみにした私は「そうですか。お嫁さんも関心を持ってくれるといいのにね」と答えたことがあります。

数週間後、お寺に来たおばあちゃんは得意そうに「嫁に『住職さんも、あなたはもっとご先祖のことに関わりを持った方がいいって言っていたわよ』って言ってやりました」と私に報告しました。

以後、お嫁さんの私に対する態度がしばらくよそよそしくなったのは言うまでもありません。おかげで「片言極め難し」を痛感し、片方だけの言葉で物事を判断しないよう努めるようになりました(今回のご相談もsayさんからの片言ですが、それを承知で回答させていただいています)。

義両親も75歳になれば、息子からの片言を承知の上で、「親も含めて、他人の前で女房の悪口など言うものじゃない」「嫁の悪口を言えば、私たちが喜ぶとでも思っているの?情けない男だね」と諭してほしいですね。

しかし、sayさんの文面からすると、義両親にそのような対応を望むのは難しそうそうです。

ご両親が育った時代背景や高齢であることを考えると、これまでの自分の生き方や考え方を軌道修正する勇気や気力はあまりないかもしれません。

そうした事情をわかろうとしてあげるだけで、義両親へのいらだちは心の整理箱にしまわれ、心がいくらかスッキリするでしょう。

ご主人には釘を刺し、自分の現状や希望を伝えてみること

ご主人には釘を刺し、自分の現状や希望を伝えてみること

次に(2)ご主人についてです。私がsayさんの立場なら、ご主人に穏やかな口調で、次のように抜けない釘を刺すでしょう。

「実家へ帰って私のことを冗談にでも悪く言えば、あなたの親は自分の子どもを守ろうと、あなたの言葉を信じて私を悪者にしたくなるでしょ。そして、あなたは、自分が悪者に仕立てた私を、かばおうとも、弁護しようともしない……」

「このままだと、私とあなたの両親がどんな関係になるか、私とあなたがどうなるか、予想するのは難しくないと思うんだけど。そして、あなたがそうなるのを望んでいるとは思いたくないんだけど……」

――こんなことを言われたら、私ならビビって、以後二度と実家で女房の悪口は言わないでしょう。

それを伝えた上で、事態の緊急性を認識していないご主人に、ご主人の軽いノリが原因でsayさんの心身が不調になってしまった現状から義両親と距離を置きたい旨を、お伝えになられた方がいいでしょう。

スルースキルを身に付ける&会話を掘り下げないことも大切

スルースキルを身に付ける&会話を掘り下げないことも大切

最後に(3)sayさんについてです。

私も時々、思いもしない自分の悪いうわさを聞いてショックを受けることがあります(ご主人の話をうのみにした義両親がsayさんに放った言葉もそれです)。

人は、他人の一面だけを見たり聞いたりして、判断を下しがちです。自分はそうしないように努めても、他人がそうするのをやめさせることはできません。

そこで、ショックを受けないために、私は、私の一面からどんな悪い評価がされるか3つくらい考えています。そうすれば、悪いうわさを聞いても「そう思っている人はいるだろうと思っていました」と軽くスルーできるようになります。

私に関してなら「本の印税をたくさんもらっているらしい」「いつも上から目線なんだ」「偉そうなことを書いているけど、夫婦仲は悪いらしい」と思っている人は少なくないでしょう。そのくらいの予想はできています。

sayさんも、そんな準備をしながら、義両親とは挨拶程度の関係で、こちらからの一方通行の関心くらいを持っていればいいかもしれません。一方通行の関心とは、相手にそつなく返答し、それ以上は突っ込まないという意味です。

例えば、「先日は主人がごちそうさまでした」(sayさん)、「お袋の味はおいしいって、たくさん食べてたわよ」(義両親)、「私も頑張ってレパートリーを増やしますね」(sayさん)で、それ以上掘り下げた会話はしません。

「この間は旅行のお土産をありがとうございました」「おいしかった?」「とてもおいしかったです」レベルの言葉のキャッチボールです。「旅行はどうでした?」なんて聞かなくてもいいのです。

「疎遠になるのは薄情かも……」なんて、心配しなくていいですよ。心身が不調になるほどのsayさんが、義両親と距離を取るのは “薄情”ではなく、“大人の智恵”だと思います。

回答者プロフィール:名取芳彦さん

回答者:名取芳彦さん

なとり・ほうげん 1958(昭和33)年、東京都生まれ。元結不動・密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所研究員。豊山流大師講(ご詠歌)詠匠。写仏、ご詠歌、法話・読経、講演などを通し幅広い布教活動を行う。日常を仏教で“加減乗除”する切り口は好評。『感性をみがく練習』(幻冬舎刊)『心が晴れる智恵』(清流出版)など、著書多数。

構成=渡邊詩織(ハルメクWEB)

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