この症状が出たらすぐ対策を!50代女性の3人に1人が悩む尿漏れ・頻尿の原因【専門医が解説】
ハルメク365 / 2024年11月21日 22時50分
尿漏れや頻尿などのトラブルに悩む女性は40代から増え始め、50代では3割に! そこで日本泌尿器科学会専門医の中村綾子さんに、尿トラブルの原因になる骨盤底筋について全3回で教えてもらいます。第1回目は、尿トラブルの特徴的な症状についてです。
中村綾子(なかむら・りょうこ)さんのプロフィール
女性医療クリニックLUNAネクストステージ院長。日本泌尿器科学会専門医。2007年横浜市立大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター臨床研修医を経て、09年横浜市立大学泌尿器病態学に入局。みなと赤十字病院、横浜市立大学附属病院、藤沢市民病院、横浜保土ヶ谷中央病院を経て、13年女性医療クリニックLUNAで泌尿器科外来を開始。19年より現職。
姿勢や内臓を支える「骨盤底筋」は縁の下の力持ち
立ったり、座ったり、日常生活を送る中で「骨盤底筋を意識している」という人は少ないのではないでしょうか。
上のイラストのように、骨盤底筋は骨盤の底に位置し、恥骨と尾骨の間に広がっている骨盤底筋は、普段なかなか意識しにくい筋肉です。
しかし、骨盤底筋は、縁の下の力持ちのように子宮や膀胱、腸などの内臓を支えている他、腟や尿道、肛門を締めて排泄をコントロールする、姿勢を維持するといった重要な役割を果たしています。
こんなに重要!骨盤底筋の働き- 腟、尿道、肛門を締めて、 排泄機能をコントロール
- 重い内臓を支えて、正しく機能させる
- 骨盤のゆがみを防ぎ、 姿勢とスタイルを保つ
女性は50代から骨盤底筋が衰えて尿トラブル&ぽっこりお腹に…
「女性は閉経後、骨盤底筋が衰えがちになり、尿もれや頻尿などの症状が出やすくなります。出産時に受けたダメージが加齢によって表面化してくることもありますし、毎日の生活における悪い姿勢も、骨盤底筋に負担をかけ、衰えさせる原因になります」
そう解説するのは女性医療クリニックLUNAネクストステージ院長で日本泌尿器科学会専門医の中村綾子(なかむら・りょうこ)さん。
50代以降になると、尿漏れや頻尿に悩まされる女性は3人に1人と、珍しいことではありません。また加齢による骨盤底筋の衰えは、骨盤の痛みや下腹のぽっこりなどを招く原因にもなるといいます。
女性は50代から尿もれに悩む人が急増! 出典:schulman.c.,et al.:Eur.Urol.32:315.1997
そもそも私たちの筋力は、何もしないでいると20歳前後をピークに徐々に衰えていきます。しかし、正しく使い、トレーニングすれば、筋肉はいつからでも鍛えることができます。それは骨盤底筋にも当然、当てはまることです。
「70代、80代になっても、骨盤底筋はトレーニングすることで強くできます。私のクリニックでは、骨盤底筋トレーニングを2〜3か月続けるうちに、腹圧性尿失禁や過活動膀胱などの尿トラブルに悩まされている患者さんの約7割に改善が見られています」と中村さん。
あなたはどう?3つの尿トラブルの症状
骨盤底筋がゆるむと、重い内臓を支えきれず、下腹がぽっこりに。さらに排泄のコントロールができなくなり、頻繁に尿意をもよおしたり、ちょっとしたことで尿がもれたりすることもあります。
次のような尿トラブルは、骨盤底筋をトレーニングして強くすることで、改善することができるといいます。当てはまる症状があるか、確認してみましょう。
症状1:ふとしたときに尿がもれる……→「腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)」
せきやくしゃみをしたとき、重い荷物を持ちあげたときなど、お腹に力(腹圧)がかかることで尿が漏れてしまう症状。40代以上の女性に起こりやすく、最大の要因は骨盤底筋の衰えです。骨盤底筋が衰えると、尿道をうまく締めることができなくなり、尿がもれてしまいます。
→「切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん)」
トイレに行く途中や、下着をおろす前にもれてしまうなど、強い尿意が起こり、間に合わずにもれてしまう症状が切迫性尿失禁です。背景にあるのが、膀胱にある神経が過敏に反応する「過活動膀胱」です。原因は神経のトラブルや加齢、動脈硬化なども考えられますが、特に女性の場合、骨盤底筋のゆるみが原因とされることが多いです。
→「頻尿(ひんにょう)」
頻尿の定義は、トイレに行く回数が昼間に8回以上、夜間に1回以上とされています。ただし回数は目安で、本人が困っていなければ頻尿とは言いません。原因は、水分のとり過ぎや、心因性頻尿、糖尿病や膀胱炎などの病気が要因でなければ、過活動膀胱によって起こるケースが多いです。またトイレのことが気になって何回も行ってしまう心因性の頻尿もあります。
思い当たる症状はありましたか?次回は、「立つ」「座る」でできる、骨盤底筋のトレーニング方法を教えてもらいます。
取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部) イラスト=今井夏子
※この記事は雑誌「ハルメク」2020年11月号を再編集し、掲載しています。
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