【中高年女性】お腹の脂肪はなぜ危険?こんなお腹の出方の人は要注意!【判定基準をセルフチェック】
ハルメク365 / 2024年10月31日 18時50分
内臓脂肪レベルでどんなことがわかるの?肥満は2種類に分かれ、怖いといわれているのが生活習慣病のリスクを高める「内臓脂肪型肥満」です。皮下脂肪型肥満との違いや内臓脂肪レベルの判定基準、増える原因や減らし方について詳しく解説します。
監修者プロフィール:吹田 春佳さん
LIGHT CLINIC 副院長。30年、50年先の健康を見据えた肥満治療普及を目指してダイエット専門クリニックLIGHT CLINIC(ライトクリニック)を立ち上げ。健康的にダイエットができるよう、内服治療の相談、ダイエット施術から食事・運動指導まで、ダイエットのトータルサポートを提供している。
肥満は内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満の2種類
肥満とは、体脂肪が過剰になった状態のことを指します。日本ではBMI(Body Mass Index)が25を越えると肥満と判断されます。
体脂肪には「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2種類があり、それぞれが過剰になった状態のことを「内臓脂肪型肥満」や「皮下脂肪型肥満」といいます。
内臓脂肪型肥満内臓脂肪型肥満とは、腹腔内の腸間膜につく脂肪である内臓脂肪が過剰に蓄積しているタイプの肥満です。
内臓脂肪型肥満は男性に多く見られ、下半身よりもお腹まわりが太ることが特徴。内臓脂肪は付きやすいものの、落としやすい脂肪といわれています。
皮下脂肪型肥満皮下脂肪型肥満は、皮下組織に蓄積する脂肪である皮下脂肪が過剰に蓄積しているタイプの肥満です。
子宮や卵巣など妊娠や出産に関連する臓器のある女性は、外的な衝撃から内臓を守るために皮下脂肪が付きやすいとされ、太ももやお尻など下半身の肉付きがよくなります。
皮下脂肪は内臓脂肪に比べ、落としにくいといわれる脂肪です。
内臓脂肪型肥満は怖い!生活習慣病の元凶に肥満の中でも怖いといわれているのが、内臓脂肪型肥満です。内臓脂肪型肥満になると、インスリン抵抗性といって、インスリンの働きが悪くなってしまいます。
その結果、メタボリックシンドローム、脂質異常症、高血圧、糖尿病など、生活習慣病に最も悪影響を及ぼすといわれており、動脈硬化を促進させ、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを高めることにもつながります。
見た目は太って見えないのに、内臓脂肪レベルや体脂肪率が高い「隠れ肥満」の可能性もあるため、注意が必要です。
内臓脂肪レベル10以上は注意が必要!
内臓脂肪レベルとは、内臓脂肪(内臓の隙間に付く脂肪のこと)の蓄積の状態を表したものです。体にどのくらい内臓脂肪がついているかが1、2、3……などの数字で表示されます。
タニタが公開する内臓脂肪レベルの判定基準は、以下です。
- 9.5以下(標準)
内臓脂肪蓄積のリスクが低い - 10.0〜14.5(やや過剰)
運動やカロリー制限によって、標準レベルを目指すことが推奨される - 15.0以上(過剰)
運動やカロリー制限を積極的に行い、減量する必要がある。医学的な診断については医師に相談
内臓脂肪レベル10は、内臓脂肪面積(体の断面積に占める脂肪の面積)にすると約100平方センチメートルになり、内臓型肥満と判定されます。
内臓脂肪レベルは適正値を保つことが大切
年を重ねると「食べる量は変わっていないのに太りやすくなった気がする」と感じ始める人もいます。これは、加齢に伴って基礎代謝量が低下することで、内臓脂肪が付きやすくなるためです。
内臓脂肪は、ぽっこりお腹や内臓脂肪型肥満の原因になるものの、衝撃から内臓を守る、内臓の位置を正常に保つなどの役割もあり、人間の体になくてはならないものです。
また、脂肪細胞にはアディポネクチン(動脈硬化予防、高血圧予防、インスリンの作用の正常化、心臓の保護などを行う)やレプチン(食欲を抑え、体重や肥満を抑制する役割がある)の分泌という大切な役割もあります。
しかし、内臓脂肪が増え過ぎるとアディポネクチンの分泌量が減ったり、レプチンの感受性が低下してしまい、体重増加、高血圧、高血糖、動脈硬化の促進、血栓ができやすくなるなどのデメリットが生じるため、適正値を保つことが大切です。
内臓脂肪と皮下脂肪の見分け方はある?
内臓脂肪型肥満の場合、ウエストまわりに脂肪が蓄積されるため、お腹が膨らんで丸くなってリンゴのように見える「リンゴ型」に太るといわれています。
一方、皮下脂肪型肥満の場合、太ももやお尻など下半身に脂肪がつくため「洋ナシ型」のように太ります。
なお、内臓脂肪は落ちてもなかなか見た目ではわからないといわれています。ダイエットでは、皮下脂肪が落ちて初めて効果を実感できる人もいるようです。
内臓脂肪レベルの測り方
内臓脂肪レベルの測り方は、いくつかあります。
体組成計を使う自宅で体脂肪レベルを測りたい場合には、家庭用の体組成計(体脂肪計、体重計)を使うのが便利です。
体組成計では、内臓脂肪レベルや体脂肪率、皮下脂肪率、骨格筋率(筋肉量)、推定骨量、BMI、基礎代謝や体内年齢なども算出できます。
内臓脂肪の表示は製品によって変わり、0.5レベル単位で表示されるものもあれば、1レベル単位で表示されるものもあります。
BMIや腹囲を参考にする体組成計がない場合は、BMIを計算することで肥満の度合いがわかります。
BMIは「体重kg÷(身長m×身長m)」の計算式で算出します。日本肥満学会では、BMI22を適正体重(標準的な体重で、統計的に最も病気になりにくい体重)としており、18.5未満は低体重、25以上は肥満です。
ウエスト周囲径でいえば、女性の場合は90cm、男性の場合は85cmになると内臓脂肪面積が約100平方センチメートルとなり、内臓脂肪型肥満に該当します。
しかし、ウエスト部分には皮下脂肪もあるため、ウエスト周囲径のみでは内臓脂肪と皮下脂肪のどちらが多いのか判断は難しいです。BMIの場合も、皮下脂肪や筋肉を含むため、内臓脂肪が多いかの判断は難しくあくまで参考程度になります。
正確な数値を知るには病院で内臓脂肪測定(腹部CT)を自分の内臓脂肪レベルがどのくらいか、正確な数値を知りたい場合は、病院で腹部CTを受けることで内臓脂肪を測定可能です。
腹部CTでは、1平方センチメートル単位という細かなデータで測定結果がわかります。
内臓脂肪が増える原因
なぜ内臓脂肪が増えるのか、原因をチェックしてみましょう。
摂取エネルギーが多過ぎる(カロリーオーバー)消費エネルギーよりも摂取エネルギーが多いと、消費し切れなかった過剰なエネルギーが脂肪として体に蓄積されてしまいます。食べ過ぎや高カロリーな食事には注意が必要です。
現代人は、コンビニなどの普及によっていつでも手軽に食事を取れるため、内臓脂肪がつきやすい環境といわれています。
加齢による基礎代謝量の低下基礎代謝とは、呼吸や体温の維持、心臓を動かすなど、生きていくために最低限必要なエネルギーのことで、何もせずじっとしているときでも消費されます。
基礎代謝量は年を重ねるごとに低下していくため、摂取したエネルギーを消費しきれなくなり、脂肪がつきやすくなるのです。
運動不足運動習慣がない人は摂取したエネルギーを消費しづらく、また、運動不足になると筋肉量が低下するため、基礎代謝が落ちて内臓脂肪がたまりやすくなります。
睡眠不足睡眠も、内臓脂肪の増加など肥満に影響しています。睡眠時間が短くなると「レプチン」と「グレリン」というホルモンのバランスが崩れてしまうためです。
脂肪細胞が分泌するレプチンは満腹ホルモンとも呼ばれ、食欲を抑える作用があります。一方、グレリンは胃で作られ、食欲を増進する作用があるホルモンです。
睡眠時間が短いとレプチンが減り、グレリンが増えるため、食欲が増してしまいます。「睡眠時間が短い=起きている活動時間が長い」ということなので、人間の体は活動のために必要なカロリーを摂取しようとするのです。
アルコールの取り過ぎ糖質を多く含むアルコールは、エネルギーとして消費されなかった分が脂肪となりやすいです。また、内臓脂肪の蓄積を促すホルモンや、食欲を増進するホルモンを分泌するため、内臓脂肪を増やす原因になります。
内臓脂肪を減らす方法
ここからは、内臓脂肪を減らす方法をご紹介します。
食生活の見直し内臓脂肪を減らすためには、バランスのいい食事を心がけつつ、タンパク質を増やし、脂質や炭水化物を減らすことを心掛けましょう。
タンパク質は、筋肉の維持のために必要不可欠な栄養素です。タンパク質は肉や魚、豆類に豊富に含まれていますが、選ぶ食材によっては脂質の取り過ぎにつながる可能性があります。肉や魚は、なるべく脂の少ない部位を選ぶといいでしょう。
有酸素運動内臓脂肪を燃焼させるのにおすすめなのは、有酸素運動です。有酸素運動にはウォーキングや水泳、サイクリング、ジョギング、ランニングなどがあるため、自分の好きなものや続けやすいものを選ぶといいでしょう。
脂肪を燃焼させたい場合は、30分以上続けるのがおすすめです。最初は自分のペースで始めて、慣れてきたら少しきついと感じるほどの強度で続けると効果的です。
筋トレ有酸素運動にプラスして、筋トレを行うのもおすすめです。
筋トレによって筋肉量が増加すれば、基礎代謝量がアップして内臓脂肪が落としやすくなります。筋トレの後は代謝が高くなるため、有酸素運動もより効果的になるでしょう。
基礎代謝を高める内臓脂肪を燃焼させるためには、基礎代謝を高めることが大切です。
食事でしっかりタンパク質を取り、筋トレなどで筋肉量を増やしましょう。また、腸内環境を改善すると、基礎代謝が上がりやすくなるとされています。
水分補給も血行促進につながるため、基礎代謝がアップする効果が期待できるでしょう。ウォーキングなど有酸素運動では汗をかくため、水分不足にならないようこまめな水分補給が大切です。
基礎代謝は、体温を上げることでも高められます。シャワーではなく毎日の入浴を習慣化するのもおすすめです。
内臓脂肪レベルは増え過ぎに注意が必要
内臓脂肪は人間が生きていく上で欠かせないものですが、多過ぎると内臓脂肪型肥満となり、生活習慣病リスクを高めてしまいます。
内臓脂肪レベル10以上になると内臓脂肪型肥満となり、カロリー制限や運動によって標準値に戻すことが推奨されるため、これを一つの目安にするといいでしょう。
内臓脂肪レベルの正確な数値を測りたい場合は病院で腹部CTによる内臓脂肪測定を受ける必要がありますが、簡易的なものであれば家庭用の体組成計で測定可能です。自分の体の状態について知り、健康的な減量を心掛けましょう。
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