熱中症の4割は室内で起こる!?【救急専門医が教える】室内熱中症を防ぐ7つの方法

知らぬ間に室内で発症してしまうことがある、室内熱中症。特に65歳以上は注意です。そこで救急専門医の三宅康史さんに、すぐに実践できる、室内熱中症の予防方法について教えてもらいます。

「熱中症かも？」の前に、まず予防！

第1回目では、熱中症が発症しやすい場所や、応急処置方法などについて紹介しました。

体温調節機能が衰え、暑さを不快に感じにくい65歳以上の人は、特に予防が大切です。「体調が悪いかも？」「もしかしたら熱中症かしら？」となる前に、簡単にできる7つの方法で、室内での熱中症を防ぎましょう。

室内熱中症の予防方法1：温度計を見てエアコンをつける

高齢になると暑さを感じにくくなるため、エアコンをつけないまま、気付かぬうちに熱中症になるケースが多く見られます。そこで、「部屋に温度計を設置して、28～30℃を超えたら冷房をつける習慣をもって」と帝京大学医学部附属病院で救急医療を専門とする三宅康史（みやけ・やすふみ）さん。

室内温度の設定基準は、暑がりな人に合わせましょう。
 

室内熱中症の予防方法2：体重や尿などをチェックする

熱中症を防ぐには、自分の体重や尿の色・量などを観察することも有効です。

「朝、体重が減っていれば脱水気味が疑われますし、尿量が減って色が濃ければ水分摂取が十分でないと考えられます。毎日の変化を観察すれば、体調管理にも役立ちますよ」と三宅さんは言います。

室内熱中症の予防方法3：汗は軽く押さえるように拭く

汗には、皮膚の上で蒸発し、気化熱により体温を下げる機能があります。よって「汗をかいたら、すぐにしっかり拭き取るのではなく、軽く押さえるように拭くこと」と三宅さん。

ニオイやべたつきが気になる人には、ぬれタオルや汗拭きシートもおすすめです。

室内熱中症の予防方法4：睡眠の環境をしっかり整える

寝室は、家の中で熱中症が発生しやすい場所。「夜になると外気温は下がりますが、寝室は日中の熱がこもって暑いままということが多く、その状態で寝ると熱中症になる危険があります」と三宅さんは注意を促します。

寝る前からエアコンや扇風機で寝室を冷やしておきましょう。

室内熱中症の予防方法5：時間を決めてこまめに水分をとる

加齢とともに体内の水分量は減り、脱水状態に陥りやすくなります。「“のどが渇いたら”ではなく、起床後、10時、食事の前後、15時、入浴前後、寝る前と定期的に水分補給をして」と三宅さん。

室内熱中症の予防方法6：外出時には氷を入れた水筒を持ち歩く

水分補給は体を冷やすためにも重要です。「外出時は保冷力のある水筒に氷を入れて持ち歩きましょう。買ったお茶や水を水筒に注げば、冷たい状態をキープできます」と三宅さんは言います。

室内熱中症の予防方法7：経口補水液や栄養を補助するゼリーを常備

「梅雨が明けたばかりの暑い日や猛暑日・熱帯夜が続く時期は熱中症を発症しやすくなります」と三宅さん。水分と塩分を補給できる経口補水液や体調管理に役立つゼリー飲料など常備しましょう。

まだまだ続く気温30℃以上の真夏日。しっかり熱中症予防をして、この夏を乗り切りましょう。

三宅康史（みやけ・やすふみ）さん

帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長。1985年東京医科歯科大学医学部卒業。さいたま赤十字病院救命救急センター長、昭和大学医学部教授などを経て、2016年より現職。日本救急医学会専門医・指導医・評議員、日本集中治療医学会専門医・評議員など。

取材・文＝五十嵐香奈（ハルメク編集部）　イラストレーション＝Yuzuko
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年7月号を再編集し、掲載しています。