【セルフチェック】突然死しないために体のSOSを見逃さない!50代から気を付けたい心臓病と予防法
ハルメク365 / 2024年11月18日 22時50分
最近階段で息切れがひどくなった、胸がなんだか苦しくてよく眠れない。普段生活している中で起こる心臓からのSOSかもしれません。まずは、あなたの心臓が抱えているリスクをチェック! 心臓の病気について、その予防や対処法を紹介します。
更年期以降は注意!突然死の可能性もある心臓の病気
さっきまで元気そうにしていた人が突然、その場で亡くなってしまう、あるいは急な発病から24時間以内に死亡する……。このような突然死の約6割が、心臓の病気が原因と報告されています。
出典:厚生労働省 2017年患者調査
突然死の原因になる病気の代表が、「心筋梗塞」などの虚血性心疾患です。心筋梗塞やその前段階の狭心症は、加齢とともに患者数が増加。女性の場合は閉経以降から増え始め、70代、80代で発症のピークを迎えます。
「突然死の原因となる心臓の病気で多いのは、心筋梗塞や致死性不整脈、大動脈解離、心筋症、肺血栓塞栓症など。このうち最も多いのが、約半数を占める心筋梗塞です。発症すると約3割の方が突然死に至ります」と話すのは、帝京大学医学部循環器内科教授の上妻謙さん。
「心筋梗塞」ってどんな病気?注意したい症状は?
心筋梗塞は、心臓の筋肉(心筋)に酸素や栄養を届ける冠動脈が急に詰まって血流が途絶え、心筋の一部が壊死(えし)する病気です。突然、焼けつくような激しい胸痛に襲われ、それが15分以上続きます。心筋の壊死が進むと心臓の働きが極端に低下し、命に関わる危険な不整脈も出現。突然死を招きかねないので、一刻も早く救急車を呼ぶ必要があります。
また、この心筋梗塞の前段階といえるのが狭心症です。一番多いのは運動時に発作が起こる「労作性狭心症」。階段を上ったり、走ったりするときに胸が苦しくなりますが、じっとしていれば10分以内に症状は治まります。
「原因は動脈硬化。冠動脈の内側にコレステロールがたまって血管の内腔が狭くなり、心筋への血流が低下します。女性は更年期以降、動脈硬化が急激に進み、70~80代になってから狭心症や心筋梗塞を発症する人が増えます」と上妻さんは説明します。
一方、睡眠中や明け方、午前中の安静時に胸痛発作が起こる「冠れん縮性狭心症」も要注意です。「冠動脈が一時的にけいれんするのが原因で、こちらも更年期以降に起こりやすい。女性ホルモンの低下によって血管内皮の細胞の働きが低下するためと考えられています。喫煙や多量の飲酒、ストレスの多い人は特に注意が必要です」
労作性狭心症早歩きをする、階段や坂道を上るなどすると息苦しさや胸痛が。発作は数分~10分ほど続き、安静にすると落ち着く。動脈硬化が原因。生活習慣病や肥満のある人に多い。
冠れん縮性狭心症睡眠中や朝方など体をあまり動かしていないとき、また急に寒い場所に出たときなどに起こる。動脈硬化とは関係なく、冠動脈のけいれんが原因。発作は5~15分ほどで治まる。
心筋梗塞冠動脈にできたプラーク(脂肪の塊)の被膜が突然破れて血栓が生じ、その血栓で血管内が詰まる。血流が途絶えると心筋が壊死し、突然死につながる。狭心症が進行した結果、発症することも。胸痛発作は狭心症より激烈で、持続時間も長い。
こんな症状が出たら心筋梗塞の可能性大!・焼けつくような激しい胸の痛み
・息苦しさや胸の圧迫感
・冷や汗や吐き気
これらは心筋梗塞の典型的な症状です。これらの症状が出たら心筋梗塞の可能性大! また発作の持続時間も狭心症より長く、15分以上続きます。
あなたの心臓リスクをチェック!
普段生活している中で起こる息切れや胸の圧迫感は心臓からのSOSです。心臓からのサインを見逃さないよう、あなたの心臓が抱えているリスクをチェックしてみましょう。
チェック項目は以下の8個です。
□最近、階段などで息切れがするようになった
□夜中や朝方に胸が苦しくて、目が覚めたことがある
□失神したことがある
□不整脈がよく起こる
□健康診断で心電図の異常を指摘されたことがある
□脂質異常症、糖尿病、高血圧などの生活習慣病がある
□喫煙している
□突然死した肉親がいる
悪玉コレステロールや中性脂肪が多い脂質異常症、糖尿病、高血圧などの生活習慣病は動脈硬化を促進しますから、心当たりのある人はきちんと治療しておくことが将来の突然死予防につながります。
この他、心臓のSOSサインには不整脈も。いきなり意識を失って倒れたことがある人は、危険な不整脈が隠れている可能性が大。不整脈がよく起こる、健康診断で心電図の異常を指摘されたことがあるという人も、循環器内科の受診を。また突然死を起こした肉親がいる人も用心するに越したことはありません。
上記のチェック項目に一つでも当てはまる人は、早めの予防対策を講じましょう。
次回は、そもそも心筋梗塞にならないための食事や運動、ストレス対策など、心臓を守る8つの生活習慣を紹介します。
教えてくれたのは、上妻謙さん(こうづま・けん)さん
帝京大学医学部循環器内科教授。1991年、東北大学医学部卒業。三井記念病院、エラスムス大学(オランダ)留学などを経て、2013年から現職。専門は虚血性心疾患、カテーテル治療など。監修著書に『詳しくわかる狭心症・心筋梗塞の治療と安心生活』(主婦と生活社刊)。
取材・文=佐田節子 イラストレーション=山村真代 構成=大矢詠美(ハルメク編集部)
※この記事は雑誌「ハルメク」2020年2月号を再編集、掲載しています。
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