見逃してはいけない「疲れ」はこれ!疲労で発症リスクのある3つの病気とは?
ハルメク365 / 2024年6月18日 11時50分
![見逃してはいけない「疲れ」はこれ!疲労で発症リスクのある3つの病気とは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/halmek/halmek_article_8008_0-small.jpg)
加齢で体が疲れやすくなった、は間違い!? 「実際に疲れているのは体ではない」と、疲労医学を専門とする梶本修身さんは言います。まずは症状をセルフチェックしてみましょう。疲労の原因となる自律神経の“サビ”について教えてもらいました。
1つでも要注意!【セルフチェック】
はじめに、次の症状で当てはまるものをチェックしてみましょう。一つでも当てはまる人は要注意です!
●朝起きたときにだるさを感じる
●起床後4時間以内に眠くなる
●布団に入って5分以内に眠ってしまう
●バスや電車でうたた寝をしてしまう
●お風呂に入るとすぐのぼせる
●物忘れやうっかりミスが増えた
●いつもなら楽しみなことが億劫に感じる
●好きな趣味でも飽きやすく集中力が続かない
起床して4時間後は、最も覚醒度が高い時間帯。この時間に眠くなるのは、疲れが抜けていない証拠だと言います。また、自律神経の機能が落ちると、体温調整が機能せず、のぼせやすくなります。
朝からだるい&疲れの原因は自律神経の“サビ”!
年齢を重ね「体が疲れやすくなった」という声をよく聞きます。しかし「実際に疲れているのは体ではない」と、疲労医学を専門とする東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身さんは言います。
「疲れの原因は、実は脳の中にある“自律神経の疲れ”です。自律神経には、体を活発に動かす際に働く交感神経と、安静時に働く副交感神経があり、相互に働いて心拍や発汗などを調整しています。
しかし運動や環境の変化、ストレスなどによって交感神経の緊張状態が続くと、自律神経の中枢が消耗します。
それを食い止めるため、自律神経は眉間付近にある眼窩前頭野(がんかぜんとうや)に信号を送り、これ以上、体を動かさないよう『体が疲れた』と錯覚をさせます。疲れは、自律神経からのSOSなのです」と梶本さん。
■年齢とともに自律神経の機能は低下!![04_年齢とともに自律神経の機能は低下!](https://halmek.co.jp/media/uploads/7b4b7803b104bbe5ef524e10446b53381663648517.7107.jpg)
出典:東京疲労・睡眠クリニック
問題は、自律神経は非常に老化が早いということにもあります。自律神経の機能は、50代で20代の3分の1にまで低下します。加齢によって疲れやすくなるのは、単に筋肉の老化だけでなく、自律神経の老化が進むからです。
「自律神経が活動すると、活性酸素が発生し、細胞が酸化して“サビて”しまいます。その繰り返しによって自律神経の機能が低下し、疲れを感じやすくなります。サビきった自律神経の回復は難しく、普段から極力『自律神経を疲れさせない』ことが大事」と梶本さんは言います。
自律神経の疲れが長期化すると“病気のタネ”に
自律神経を疲れさせる要因はさまざまなことが考えられますが、コロナ禍を経て増えているのが“精神的ストレス”だそう。
「落ち着いたとはいえ感染の不安もまだあり、夫が家にいて生活リズムが狂う、一人の時間が持てない、など“自分の領域”を失ったストレスが顕著です。これは運動由来の疲労などと違って自覚しにくいです。
自覚なしに疲れが蓄積していくと、頭痛やめまいなど自律神経失調症に見られる不調が現れ、長期化すると、認知症や生活習慣病、がんなどの発症リスクにつながります」と梶本さんは注意喚起をします。
■自律神経の疲れでまず起こる症状は……●全身の倦怠感
●注意力、意欲の低下
●頭痛、めまい
【疲れを放置すると発症リスクがある病気】
●認知症
●生活習慣病
●がん
疲れが長期化すると、全身のだるさや頭痛、めまいなどの症状が現れます。さらに、免疫力の低下、血管の老化も進み、認知症や生活習慣病、がん発症のリスクも高まります。
そうした“病気のタネ”を一掃するために、次回からは自律神経を消耗させない方法を「睡眠」と「生活習慣」に分けて紹介していきます。
教えてくれたのは梶本修身(かじもと・おさみ)さん
1962(昭和37)年生まれ。東京疲労・睡眠クリニック院長。医師・医学博士。大阪大学大学院医学研究科修了。2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。近著に『疲労回復の名医が教える 誰でも簡単に疲れをスッキリとる方法』(アスコム刊)などがある。
取材・文=新井理紗(編集部) イラストレーション=山村真代
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年11月号を再編集し、掲載しています。
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