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50代以上の約6割が発症「下肢静脈瘤」になる人・ならない人の分かれ道【セルフチェック付き】

ハルメク365 / 2024年6月2日 20時0分

50代以上の約6割が発症「下肢静脈瘤」になる人・ならない人の分かれ道【セルフチェック付き】

脚のむくみや血管のボコボコ。そんな症状がある人は、下肢静脈瘤かもしれません。日本の50代以上の約6割が発症するというこの病気のセルフケア方法を、医師の広川雅之さんに伺う4回の企画。今回は下肢静脈瘤の4つの種類についてです。

教えてくれたのは、広川雅之(ひろかわ・まさゆき)さん

教えてくれたのは、広川雅之(ひろかわ・まさゆき)さん

お茶の水血管外科クリニック院長。1987年、高知医科大学卒業。ジョンズホプキンス大学留学、東京医科歯科大学血管外科助手などを経て、2005年から現職。東京医科歯科大学血管外科講師、日本静脈学会理事も務める。著書に『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』(KADOKAWA刊)など。

50歳以上の約6割は下肢静脈瘤になっている!?

50歳以上の約6割は下肢静脈瘤になっている!?

こんな人は下肢静脈瘤に特に要注意!
  • 妊娠・出産経験がある
  • 身内で下肢静脈瘤の人がいる
  • 仕事で立っている時間が長い
  • じっとしていることが多い
  • 運動習慣がない
  • 肥満気味

脚の静脈に血液がたまってコブのように膨らんだり、血管が浮き出たりするのが「下肢静脈瘤」。50歳以上の約6割がかかっているとの報告(※)もあるほど身近な病気です。
(※出典:脈管学28:415-420,1989)

「古代エジプトのパピルスにも、この病気のことが書かれています。命に関わるような病気ではありませんが、大昔から多くの人が悩まされてきました。患者さんの約7割は女性で、年齢が高くなるほど多くなります」と、お茶の水血管外科クリニック院長の広川雅之(ひろかわ・まさゆき)さんは話します。

中でも複数回の妊娠・出産経験や遺伝的要因、肥満、運動不足、長時間の立ち仕事などに該当する人は発症しやすいといいます。「最近は新型コロナの影響で、家の中でじっとしている時間が増えたせいか、下肢静脈瘤が悪化する人が目立ちます」と広川さん。

弁が壊れることで下肢静脈瘤は起こる

弁が壊れることで下肢静脈瘤は起こる

重力に逆らって血液を心臓に送っているのが、脚の静脈。左のイラストのように血液の逆流を防ぐ「弁」が壊れると、弁の下流に血液がたまり、血管が太く蛇行することに。老廃物などを含む血液がたまって、むくみやだるさも生じます。

【知っておきたい】下肢にある4つの静脈

【知っておきたい】下肢にある4つの静脈

  • 深部静脈
    脚の深いところを通る静脈
  • 穿通枝(せんつうし)
    深部静脈と表在静脈をつなぐ小さな静脈
  • 表在静脈(小伏在静脈)
    ふくらはぎの後ろ側を通る静脈
  • 表在静脈(大伏在静脈)
    ふくらはぎの内側から太ももを通る静脈

心臓から動脈を通して全身に送られた血液は、静脈を通って再び心臓へ。脚の静脈には中心部を通る「深部静脈」と皮膚のすぐ下を通る「表在静脈」があり、これらは穿通枝でつながっています。下肢静脈瘤は表在静脈で起こります。

下肢静脈瘤は大きく分けて4タイプ

下肢静脈瘤には大きく4つのタイプがあります。「伏在型(ふくざいがた)静脈瘤」は、静脈のコブがボコボコと盛り上がり、脚のむくみやだるさ、こむら返りなどの症状が出やすくなります。重症化すると、かゆみや皮膚の変色、湿疹などの皮膚炎や潰瘍を起こすことも。

「放っておくとだんだん悪化しますから、つらい場合は我慢せず、医療機関に相談を」と広川さんは注意を促します。

一方、「側枝型(そくしがた)静脈瘤」「網目状静脈瘤」「クモの巣状静脈瘤」は軽症タイプ。伏在型のような不快な症状はほとんど出ませんが、見た目が気になることが多いものです。

伏在型静脈瘤

伏在型静脈瘤

血管が4mm以上に太くなり、ボコボコ浮き出る。むくみやだるさも伴う。脚の付け根の静脈弁が壊れる「大伏在静脈瘤」と、ひざ裏の静脈弁が壊れる「小伏在静脈瘤」がある。

側枝型静脈瘤

側枝型静脈瘤

伏在静脈から枝分かれした静脈が2~3mmに拡張して、コブのようになる。むくみやだるさなどの症状はあまりない。中には伏在型静脈瘤が隠れていることも。

網目状静脈瘤

網目状静脈瘤

皮膚のすぐ下を通っている細く小さな静脈に起こる。1~2mmの太さの静脈が青く網目のように見えるが、コブ状に膨らむことはない。自覚症状もほとんどない。

クモの巣状静脈瘤

クモの巣状静脈瘤

皮膚表面にある1mm以下のごく小さな毛細血管がクモの巣のように拡張し、赤紫色に透けて見える。コブのように膨らむことはなく、自覚症状もほとんどない。

「深部静脈血栓症」にも要注意

浅い静脈で起こる下肢静脈瘤とは違って、脚の奥の深部静脈に血の塊(血栓)ができるのが、「深部静脈血栓症」。同じ姿勢であまり動かないでいると、血行が悪化して発症しやすくなります。脚全体やふくらはぎが腫れて痛む場合は早く受診を。血栓が血流にのって肺の血管に詰まると「肺塞栓症」、いわゆるエコノミークラス症候群に至ることがあります。

「下肢静脈瘤は自然に治ることはないので、まずは自宅で簡単にできるセルフケアをおすすめします」と広川さん。次回紹介する体操などのセルフケアをしていきましょう。

取材・文=佐田節子 イラストレーション=みやしたゆみ 構成=大矢詠美(ハルメク編集部)
※この記事は雑誌「ハルメク」2022年6月号を再編集し、掲載しています。

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