「老人脳」になる人、ならない人の違いは?脳の老化を緩やかにする4つの習慣
ハルメク365 / 2024年7月2日 11時50分
![「老人脳」になる人、ならない人の違いは?脳の老化を緩やかにする4つの習慣](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/halmek/halmek_article_9529_0-small.jpg)
周りが気にならなくなる、記憶が曖昧になる、同じ主張を繰り返す、感情的になる…。これらはすべて、脳の老化が原因。そこで、いつまでも脳が元気な状態を保つための方法を専門家に伺う全5回の企画。今回は脳のピークを保つ4つのやるべきことについてです。
教えてくれたのは:西剛志(にし・たけゆき)さん
東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、これまでに1万人以上に講演会を提供。エビデンスに基づいた研修、商品開発サービスなども全国に展開。テレビやメディアなどにも多数出演。著書は海外でも出版され累計31万部を突破。近著に『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム刊)
あれ?この人、変わったかも?!は老人脳が原因
70代の知人ケイコさん(仮名)から、こんなことを聞かれました。
「高校時代の同級生に10年ぶりにあったんですが、自分の話ばかりで、私の話をあまり聞いてくれない様子だったんです。以前と変わってしまったのですが、何かあったんですかね?」
脳科学者としての意見が欲しいとのことだったので、こう答えました。「それは、老人脳になっているのかしれませんよ」
脳は通常30代から少しずつ萎縮が始まります。そして60代半ばになるとMRI検査の画像を見てすぐにわかるくらいの「明らかな萎縮」が起きています。もしそのまま何の対策もせずにいると、脳の老化、つまり老人脳になっていくのです。
老人脳はその人の行動や生活習慣、そして考え方にまでさまざまな変化を生じさせています。
【NG】老人脳の人の行動や生活習慣- 新しいことをするのが面倒になる
- 忘れ物が多くなる
- 集中力が続かなくなる
- 無配慮になる
- ミスが多くなる
- 耳が聞こえにくくなる
ここに挙げたのは、老人脳の症状のほんの一部です。
脳のピークは能力によって変わる
もう年なので最近、脳の働きがどんどん悪くなってきているように感じる……。そう感じるのは事実かもしれませんが、脳の老化現象はずっと前から始まっています。脳の老化は高齢になってから起こるのではないのです。
もちろん個人差があるので、みなが同じということではありませんが、ハーバード大学をはじめ、さまざまな研究機関で調査したデータでは、能力別のピークは下記の通りです。
【能力別】脳のピーク年齢- 情報処理能力のピーク……18歳
- 人の名前を覚える能力のピーク……22歳
- 顔を覚える力のピーク……32歳
- 集中力のピーク……43歳
- 相手の気持ちを読む力のピーク……48歳
- 語彙力のピーク……67歳
この数字を見て、どんな印象を持ったでしょうか。情報処理能力は10代がピークなのに対し、語彙力は50代以降にピークを迎えます。
ただ、このピークは人によって振れ幅が大きいということもわかっています。その差は何か?ピークを長く保てる人は、老人脳にならないために、脳の老化をゆるやかにしたり(スローエイジング)、積極的に若返らせる工夫(ダウンエイジング)をしています。
何もしないと自然に脳は老化しますが、うまく工夫すると、効果が出てきます。脳を元気にすることは人生を充実させるための大切な行為です。
脳のピークを長く保つためにやるべき代表的な4つのこと
脳の老化防止のために、運動が大切なことは知られています。特に私が提唱する運動は、ダンスなどの「コーディネーション運動」です。コーディネーション運動とは、複数の動きを同時にする運動のこと。脳から体への伝達速度をよりスピーディーに、より正確にすると言われています。
やるべきこと2:室温も大切!脳の老化防止に最適な室温とは?脳年齢と部屋の温度が関係していると聞いて、驚く人もいるかもしれませんが、部屋が寒いと老人脳のリスクが高まります。理由は、寒いと血管が縮み、血圧が上がってしまうため。高血圧は認知症のリスク因子なので、血圧を下げることは老人脳を防ぐために大切なことです。
やるべきこと3:デジタルツールも脳を活性化させる!老人脳になりやすい人の特徴の一つに「新しいことに挑戦しない」ということがあります。そこで、X(旧Twitter) やInstagram、FacebookなどのSNSを始めてみるのもいいでしょう。SNSは認知機能を上げる「脳活効果」をかなり期待できます。言ってみれば「脳活SNS」という感じです(もちろん、適度な付き合い方が大事です)。
やるべきこと4:「いいストレス」を増やして「悪いストレス」を軽減「ストレス」には2種類が存在します。「いいストレス」は、新しいことに挑戦したり、運動で体に適度な負荷をかけることで起きるストレス。「悪いストレス」は、不安・執着・怒り・寂しさ・恐れ・悲しみなどが原因で起きるストレスです。悪いストレスを減らして、いいストレスを増やし、脳や健康にいい生活を送りましょう。
次回からは、脳を老化させないための習慣を詳しく解説します。まずは、運動と食事についてです。
※本記事は、『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム刊、1540円/税込)より一部抜粋して構成しています。
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