【人生相談】「孫の顔が見たいのに、遠方の息子夫婦が帰ってきてくれずに寂しい」に住職が名回答!
ハルメク365 / 2024年12月2日 11時50分
62歳女性「結婚して遠方に住む息子家族。孫の顔を見たいのに帰って来てくれなくて寂しい…」というご相談。「還暦を過ぎても、人は“人生で初めてのこと”を経験します」と住職・名取芳彦さん。仏教の教えをわかりやすく説いて「穏やかな心」へ導きます。
62歳女性「遠方の孫ともっと会いたい…」という相談
息子二人が結婚して独立しているのはうれしいのですが、どちらも遠方に居を構えているので、なかなか会えなくて寂しいです。
もっと孫の顔が見たいと思っていますが、お嫁さんに遠慮してしまい、どう声かけしたらいいのか、わかりません。
連休やお盆、年末年始など、気持ちよく帰ってきてもらえるようにするには、どうしたらいいか教えてください。
(62歳女性・みいこママさん)
名取さんの回答:「少なくとも間違いではない」方法で誘ってみて
還暦を過ぎても、人は“人生で初めてのこと”をたくさん経験します。結婚して遠方に住んでいる二人の息子の母になる、ということも、みいこママさんにとって、生まれて初めての経験でしょうし、祖母になるのも初めてでしょう。
初めてのことへの正しい対処法は、経験したことがないので、誰にもわかりません。わからなくて当たり前なのです。そして、対処法が正しいか、間違っているかは、いつも結果論です。
「こうすれば正しいだろう」と思って実行しても、結果はあとにならないとわかりません。そしてその結果も、時間が経ったり、他の縁が加わったりすることで、また引っくり返ることがあります。
ですから、自分が「正しい」と思うこと、あるいは「少なくとも間違いではない」と思うことを、えいッ!と、やってみるしかありません。
こうしたことを踏まえて、みいこママさんのお悩みにお答えすると……息子さんの家庭にも、それぞれ事情があるでしょう。
子育てに日々忙殺されてクタクタになっているかもしれません。収入と支出のバランスがトントンかもしれません。そのような事情を、息子さんに電話やメールで聞けるなら、直接お聞きになるといいでしょう。
実家に子どもたちを連れてくる時間が取れないなら、みいこママさんのほうから会いに行けばいいでしょう。息子さんの家に宿泊するのがはばかられるなら、ホテルに泊まればいいのです。
連休やお盆、年末年始などに合わせて、観光地で全員集合する手もあります。息子さんに経済的に余裕がないなら、実家までの旅費や宿泊費を助成してあげてもいいでしょう。
「一緒にご飯を食べよう」「孫を連れて行ってあげたい(一緒に行きたい)場所がある」など、孫たちに会う口実は、佃煮にできるくらいあります。
「そんなことを言えば、お嫁さんがどう思うかわからない」と心配になるかもしれませんが、誘い方が正しいか、間違っているかは、後にならないとわからないのです。
誘い方をお友達に聞いてみるのもいいでしょう。「私が採用した誘い方を提案してくれた人にランチをご馳走します」とアイデアを募集してもいいかもしれません。三人寄れば文殊なみの知恵が発揮されます。
息子さん家族も(祖)父母に会いに行くのは初めての経験
みいこママさんにとって、遠方にいる孫たちに会いたいと思うのが初めての経験であるように、息子さん夫婦や、お孫さんたちにとっても、遠くに住んでいる(祖)父母に気持ちよく会えるにはどうすれはいいかを考えるのは、初めての経験です。
正しい方法は誰にもわかりません。「少なくとも間違ってはいないだろう」と思える方法を試してみてはいかがでしょう。
仏教の教えに「牛は水を飲んでミルクにし、蛇は水を飲んで毒液にする」という言葉があります。
息子さんそれぞれの家族が、孫に会いたいと願う祖父母の思いをミルクにするか、毒液にするかは、息子さん家族の問題です。
みいこママさんの願いが叶っても、叶わなくても、それをミルクにして笑顔で暮らしてくれる息子さん家族であってほしいと思います。
回答者プロフィール:名取芳彦さんなとり・ほうげん 1958(昭和33)年、東京都生まれ。元結不動・密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所所長。豊山流大師講(ご詠歌)詠匠。写仏、ご詠歌、法話・読経、講演などを通し幅広い布教活動を行う。日常を仏教で“加減乗除”する切り口は好評。『感性をみがく練習』(幻冬舎刊)『心が晴れる智恵』(清流出版)『気にしない練習』(三笠書房)、『心がすっきりかるくなる般若心経』(永岡書店)など、著書多数。
※この記事は2023年5月の記事を再編集して掲載しています。
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