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泊まることで町の人と同じ感覚になれるホテル〈HOTEL WHY〉も。今、注目を集めている徳島県・上勝町が実践する「ゼロ・ウェイスト」って?

Hanako.tokyo / 2020年11月11日 12時0分

泊まることで町の人と同じ感覚になれるホテル〈HOTEL WHY〉も。今、注目を集めている徳島県・上勝町が実践する「ゼロ・ウェイスト」って?

ゴミを減らす、エネルギーやアメニティの無駄遣いはしない、そして食材は地産地消。泊まって地域の魅力を知り、さらに活性化の力になる。ホテル選びこそエシカルな視点で。徳島県・勝浦川の上流に位置する山間の静かな町、上勝町では、〈上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY〉が中心となりなぜ買い、なぜ捨てるかを町全体で考えています。

泊まることで町の人と同じ感覚になれる場所。

円形のホテル棟は、メゾネットタイプの客室が4部屋。チェックインの際にゼロ・ウェイストについてのオリエンテーションがあり、ゴミステーションの見学も実施。マウンテンビューの部屋は上勝の豊かな自然が目の前に広がる。

徳島の市街地から車でおよそ時間。勝浦川の上流に位置する山間の静かな町、上勝町。住人は1500人ほどの小さな町が、今、日本で大きな注目を集めている。「ゼロ・ウェイスト」とは、無駄・浪費・ゴミをなくすという意味だ。上勝町では、2003年に日本ではじめて「ゼロ・ウェイスト宣言」を打ち出し、ゴミゼロの町を目指している。町には、ゴミステーションがあり、ゴミ収集車はなく、町民たちは自分たちのタイミングでゴミ出しをする。分別は45種類。紙類だけで、9種類にも分けるというこまかさだ。さらに、リサイクルしやすいように、紙パックはきれいに洗って干してから出す。瓶や缶、ペットボトルも同様にして、さらに種類で分別もする。その細分化やひと手間のおかげで、焼却・埋め立てゴミとして捨てるのではなく、資源として買い取られるものが生まれ、町のリサイクル率は約80%に達するという。

建築を担当したのは中村拓志&NAP建築設計事務所。建物は上から見ると「?」のマークの形をしている。

ホテルで働く大塚桃奈さん(右)と田村浩樹さん(左)。田村さんは上勝町出身。農業をしつつ〈WHY〉で働く。

町にあった焼却炉は、とっくに閉鎖された。ゴミを減らすには、まず、「燃える・燃えない」ではなく「リサイクルできる・できない」の判断からなのだ。この取り組みを体験したい、学びたいと国内外から多くの人がやってくる。そのレクチャーの場として今年オープンしたのが〈上勝町ゼロ・ウェイストセンター〉だ。ゴミステーションを中心に、リユース雑貨が並ぶ〈くるくるショップ〉やラボラトリー、コミュニティホール、そして宿泊施設の〈HOTEL WHY〉がある。ホテルに泊まり、町民と同様に分別する。それだけで、今までと違う意識に気づかされる。小さなゴミひとつで、変わるのだ。

住む人、ひとりひとりがアクションを起こしている。

フロントの〈くるくるショップ〉は集まった町民の不用品がセレクトショップのように並ぶ。持ち帰りは自由。当然、すべて無料。

ゴミステーションは平日は朝7時から午後2時まで開く(利用は町民のみ)。その間に親子が並んで分別をしていたり、トラックで大きな廃材を運ぶ人がいたり。ついでに、〈くるくるショップ〉をのぞいて使えるものがないかスタッフとおしゃべりも。そんなふうに〈上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY〉は町の交流の場としても役割を果たしている。

不用品は、持ち込むときと持ち帰るときに重さを量る。フロントではその量を掲示。「年間どれくらいの重さのものが循環しているのかを知ってほしい」。

食器や衣類、家具などが並ぶ。

ゼロ・ウェイストを実現するためには、町民の協力は欠かせない。だからこそ、密な結びつきや共有する思いやりが生まれる。それに惹かれ、この町に移り住む人も多い。〈HOTEL WHY〉で働く大塚桃奈さんも、環境ビジネスに関心を持ち、この地に移住したひとり。「捨てられたその先が見えると、選ぶものが変わると思います。ホテルで使うものも、必要な分だけ持って行くとか、余計なゴミが出ないものにするなど、ひとつひとつが泊まる方々が考えるヒントになればいいなと思って選んでいます」

きれいにまとめて分別中!

町には、レストランやカフェ、ブルワリーがあり、それぞれが食べるものや日用品の量り売りをしていたり、環境を考えてつくられた雑貨を販売したり、楽しく分別について学べるイベントやワークショップを開催したりしている。一方的に役場が主導するのではなく、町に住む人、お店や工房を持つ人それぞれがゼロ・ウェイストについて考え、アクションを起こしている。それがひとつの町おこしにもなっているのだ。訪れた私たちにとっても、ただおいしいものを食べるだけ、買って帰るだけでない、ここにしかない特別な感動を共有できる。

ゴミを出さない町のルールとアイデア

無駄なゴミを出さないために、徹底した取り組みをしている上勝町。楽しく、進んでできる発想がたくさん。

THINK #01

THINK #02

THINK #02

THINK #03

THINK #03

おそろいのワークウェアもかわいい!



THINK #01:各家庭にコンポストがあり、 生ゴミは堆肥にして活用。
生ゴミは水分が多く、高温での焼却が必要。そのためコストも余計にかかる。上勝町ではコンポストもしくは電動生ゴミ処理機の家庭普及率が98%で生ゴミを出さない仕組みに。だから、ゴミステーションも驚くほど臭いがせず、清潔だ。



THINK #02:数値化し、わかりやすくゴミの行き先を示す。
ゴミステーションの表示には「出」「入」の文字と数字が。これは処理するために町から出るお金とリサイクルで入るお金のこと。また、きちんと分別するとポイントがたまるカードも。数字で見ることで“いいこと”がよりわかりやすくなる。



THINK #03:誰かのいらないものは誰かの必要なもの。
〈くるくるショップ〉には掲示板があり、あげたい・もらいたいをリクエストできる。捨てるのにはもったいないけれど、もう使わないものをゴミを出すついでに出せるのは動線としてとてもスムーズだ。余った乾電池だって必要な人のもとへ。

〈HOTEL WHY〉

星空を眺め、朝には霧がかかった神秘的な山々を楽しむ。のびのびと過ごせる贅沢な場所!

朝食は〈RISE&WIN〉のデリバリーが届けられる。フィッシュカツのベーグルサンドは自分で挟んで。ビールの醸造カスなどを使ったグラノーラも美味!

〈上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY〉はリユース・リサイクルの素材で建てられており、ホテルの窓枠にも古い障子やガラス戸が。マウンテンビューの部屋はデッキ付き。上勝の自然を楽しむトレッキングやレイクカヤックも体験可能。

エシカルにステイを楽しむあれこれ。/部屋で飲むコーヒー、お茶、石鹸などはチェックイン時に必要な分だけ分けるシステム。

部屋でもゴミを6種に分別。チェックアウト後、実際にゴミステーションで分別体験を。

アメニティも最小限。寝間着、歯ブラシなどは持参して。

徳島県勝浦郡上勝町大字福原字下日浦7-2
080-2989-1533
1泊2名1室・1名料金13,200円〜(朝食付き、税・サ込)
全4室

(Hanako1190号掲載/photo:Norio Kidera text:Kana Umehara, Azusa Shimokawa edit:Kana Umehara)

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