弘中綾香の「純度100%」~第40回~
Hanako.tokyo / 2020年12月11日 12時0分
ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。2020年も大詰め!いろいろあった、いろいろなかった、そんな今年を振り返ります。
「2020年という問い」
2020年がまもなく終わろうとしている。日々ニュースから流れる情報に右往左往していたら、あっという間に年末だ。例年よりもなんだか早く感じるのは私だけではないはず。こんな状況になるまでは、何年後、何カ月後、というタームで時間を区切るのが当たり前だった。仕事の目標でも、旅行の予定でも、なんでも。それがいきなり、2週間後はどうなるか分からないけどとりあえず…、といったその場しのぎのツギハギに変わり、終わりのないマラソンを走らされているような気分だった。そんな調子で日々過ごしていたら、もう師走がやってきた。さて、2020年はどんな一年だったか。この一年をどう形容しようか。
この振り返りを書くにあたって、ガラになくとても悩んだ。今も現在進行形で新型コロナウイルスの猛威を受け止めるために必死に毎日頑張っている人が沢山いるし、仕事や生活環境が打撃を受けて生活するのもやっと、コロナが憎くて憎くてたまらないという人も大勢いる。そんな人たちを含めた大きな視点でこの状況について語るまでの力は、まだ私にはない。挑戦してみても、きっと当たり障りのない言葉に逃げてしまうに違いない。私たちに出来ることを今やろう、とか、未来は変えられる、などの分かりやすくて大切なフレーズ。今の私の肩書きであれば、そう着地するのが正解だ。
けれども、これはほぼ「趣味」でやっている書き物/読み物なので、誰にでも言えることは言いたくない。だって純度100%だもん。個人的な2020年の振り返りにであることを先にお断りしておきます。お許しください。
こんなことになる前、私にとって2020年は節目になる年のはずだった。というか、きっと自分の中で仕事においてここで大きな一区切りをつけるタイミングになると、前々から想定して私なりに動いてきた。全く想像していなかった職業にたまたま就くことが出来て、しかも20代最後という脂の乗った時期に、自分の国でオリンピック・パラリンピックが開催されるなんて!前世でどんな徳を積んだ人間なんだ、とあまりの偶然と強運に興奮したことを覚えている。
メインキャスターになりたいなんておこがましいことを考えていたわけではなくて、そんな一大イベントに何かしらで関われたら、このギョーカイにいる意味、この仕事をやっている醍醐味みたいなのを味わえるんじゃないか、色んなもろもろの苦労が報われるんじゃないか、この仕事をやっててよかったって思えるんじゃないか、と一縷(いちる)の願いを込めていたのだ。「2020年までは頑張ろう」が、自分の中での合言葉みたいな感じだった。
その支えが、今や宙ぶらりんだ。今まで鼻先にぶら下げていたニンジンが急に無くなってしまった。こうなってしまった以上、果たしてどこまで頑張ればいいのか、何を私のゴールとするのか。舞台はもう何も用意されていない。自分で考えろ~と何処からか声がして、宇宙にぽーんと投げ出されたような感覚。緊急事態宣言が出た4月から5月にかけては仕事もほぼ休みだった。自宅で過ごす時間が多く、だらだらと日々を過ごしながら、こんなことばかりを考えていた気がする。
これまでは必死に「一人前になりたい」「認められたい」という気持ちで走ってきたけれど、このままでいいのだろうか。自分がかつてなりたかった自分にはなれているんだろうか、モヤモヤする日々。でも時間の経過とともにだんだんと日常に戻り、また忙しさにかまけている。
率直に言って、答えは出ていない。むず痒い気持ちは今もまだ続いている。どんな仕事も二つ返事で全部こなすのが良さだった私が、これは本当にやるべきこと?と立ち止まることも多くなった。けれども、こんなタイミングがあってよかったと思う日が来ると信じている。予期せぬタイミングで戸惑いもあったけれど、自分の生き方やこれからを深く考える機会になった。こんな人は私だけではないはず。一斉に止まれ!の号令をかけられて、いつもは目が向かないところに考えを回すことが出来た。
この問いの答えが出るのはいつなのかしら。当分この状況は変わらなそうだし、それぞれじっくり向き合っていきましょ。
次回:12月25日更新予定
photo:moron_non
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【弘中のひとりごと】
次回の更新では…たまげる発表がありますよ…
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