アートと古民家グルメにときめく兵庫県・丹波篠山の旅。
Hanako.tokyo / 2021年3月25日 18時0分
自然豊かな里山でありながら、京阪神から約1時間~90分ほどでアクセスできる兵庫県・丹波篠山(たんばささやま)市。大阪国際空港からも車や公共交通機関を使えば1時間ほどでアクセスできるので、実は東京からでも出かけやすいロケーションです。今回はアートとグルメをメインにおすすめのスポットをご紹介します。
美しき里山、情緒漂う城下町・丹波篠山市。
篠山城跡 大書院。
自然豊かな地域であるとともに、古来京都への交通の要として栄えてきた歴史があり、町並みや祭りなどに京文化の影響を色濃く残す丹波篠山市。盆地特有の寒暖差が丹波黒大豆の栽培に適しており、近年、観光と農業を組み合わせた観光農業も行われています。
有名な観光スポットは篠山城跡とその城下町。近辺には古民家を改装したカフェやレストランが増えています。
冬場はイノシシのぼたん鍋が全国的にも有名で、各々自慢の出汁を工夫した専門店がたくさん。このほか、丹波栗、蕎麦、ぼたん鍋、丹波篠山牛、日本酒なども有名です。
また、「日本六古窯」のひとつ「丹波焼」のふるさとであり、伝統工芸も盛ん。モノづくり文化が根付いている地域でもあります。
茅葺屋根の古民家〈一会庵〉でいただく、自家栽培&自家製粉のそば。
〈一会庵〉外観。
建物は300年前の民家を移築したもの。
そんな丹波篠山には古民家を改装したカフェやレストランがたくさん。そば処〈一会庵〉もその一つ。
丹波篠山市は恵まれた気候風土と美しい水源があることから、そばも名産品。豊かな自然の中、昔さながらの店内で食事を楽しめます。
「そば切り」950円。
「そばがきぜんざい」750円。
自家栽培の玄そばを石臼で自家製粉した〈一会庵〉のそばは、おいしい水と玄そばで作られているからか、涼やかで後味がほのかに甘く噛むほどにおいしさが口の中に広がる逸品。そば本来の味わいを楽しめるようにと、あえてネギとワサビは添えられていません。
特筆すべきはそば湯。鶏白湯スープのようにドロドロで、そばの旨味がこれでもかと溶け出ていて、おかわりしたくなるおいしさでした。
ちなみに使用されている器はこの後ご紹介する、市野雅彦さんが手がける〈大雅工房〉のもの。温かみのある器が、より一層そばのおいしさを引き立てていました。
〈一会庵〉
兵庫県丹波篠山市大熊50-2
079-552-1484
11:30〜14:30(入店終了14:15)
水木日休
カラフルなフラワーローケーキなど、ヴィーガンスイーツが揃う〈SunRice Kitchen〉。
〈SunRice Kitchen〉外観。
〈SunRice Kitchen〉は路地の奥にある。
〈SunRice Kitchen〉内観。
食後にスイーツが食べたくなったら、2020年4月にオープンしたヴィーガンフードの古民家カフェ〈SunRice Kitchen(サンライスキッチン)〉へ。大きな窓の外に広がるお庭を眺めながら、ゆったりとしたひとときを過ごせます。
「フラワーローケーキ」(1P650円)。
「フラワーローチーズケーキタルト」(12cm/2,200円)。
「フラワーローチーズケーキタルト」(12cm/2,200円)。
提供されるフードは全て、プラントベース(植物由来)。身体に優しいご飯と無農薬の米粉を使った焼き菓子や、ロースイーツ(火入れしていないスイーツ)が豊富に揃います。
注目は食べるのがもったいないほど美しい、カラフルなフラワーローケーキ。酵素をたっぷり活かした生のアーモンドやカシューナッツにデーツ、カカオバター、レモンを使っていて、ドラゴンフルーツ、黒豆やターメリックなどの自然由来食品で色付けしています。砂糖ではなくアガベシロップを使用することで、自然な甘みも感じられるギルティフリースイーツです。
バタフライピーを使ったドリンク「ブルーレモネード」(700円)と「ソイミルクティ」(700円)。
また目や頭をスッキリさせてくれるというアントシアンたっぷりの青い花を咲かせるスーパーフード・バタフライピーを使った、色鮮やかなドリンクも見逃せません。
〈SunRice Kitchen〉
兵庫県丹波篠山市向井319-3
090-8335-6130
11:00〜16:00
木金日休
公式Instagram
旧武家屋敷で中国茶と自家製点心を味わえる〈岩茶房丹波ことり〉。
〈岩茶房丹波ことり〉外観。
〈岩茶房丹波ことり〉内観。
趣ある雰囲気の中ティータイムを楽しみたいなら篠山城址、堀端にある〈岩茶房丹波ことり〉へ。旧武家屋敷を改装した同店では、中国茶と自家製点心やスイーツを味わうことができます。
岩茶は1,500円〜で茶菓子がつく。
店頭では自家製焼き菓子やお茶、雑貨なども販売。
同店で提供される中国茶は、中国皇帝の残した稀少なウーロン茶「岩茶」と呼ばれるもの。その数15種にも及び、全て名人・劉宝順氏が伝統的な製茶法用いて作る、現代では大変稀な岩茶です。
ちなみに器は丹波の陶工柴田雅章氏のもの。差し湯をすることで5、6煎味わえる岩茶を味わいつつ、のんびり情緒漂う雰囲気を満喫したいところです。
〈岩茶房丹波ことり〉
兵庫県丹波篠山市西新町18
079-556-5630
11:00〜17:00
水木休
公式サイト
丹波篠山名物のぼたん鍋は、予約が2ヵ月先まで入る〈いわや〉へ。
丹波篠山に来たからには食べたいのが、11月上旬〜3月下旬の期間限定でいただけるイノシシを使ったぼたん鍋。
各席に囲炉裏が設けられた〈いわや〉店内。
数あるぼたん鍋を提供するお店の中でも特におすすめは、土日祝日は2カ月先まで予約が埋まることもある1978年創業の囲炉裏料理〈いわや〉です。ちなみにぼたん鍋のシーズン以外も、囲炉裏を囲んでバーベキューやすき焼き、地鶏の味噌鍋などを味わうことができます。
「ぼたん鍋(ごはん・漬物つき)」5,940円(税込、2名より注文可能、写真は4名分、要予約)。
牡丹の花のように美しく盛られたイノシシ肉は、店主・岩本和也さんが毎日問屋に足を運び、選び抜いた3歳の雌イノシシを一頭買いしたもの。生のまま店舗で手切りでスライスしており、ぼたん鍋を頼むだけでロース、バラ、ウデ肉など、さまざまな部位を一度に味わえるのも同店の魅力です。ちなみに店主のお眼鏡に叶うイノシシは、50頭のうち1頭いるかいないかなんだとか。
スープはオリジナルでブレンドした特製の味噌仕立て。これに店主自ら栽培したコシヒカリや地元産野菜、地元産のこんにゃくや名産品の黒豆を使った豆腐など、合わせるのもこだわりの旬の食材ばかり。
イノシシ肉は脂身の部分が多く見えるのに、木の実を主食とし、しっかりと運動もしているイノシシを仕入れているからか豚脂のようなくどさが全くなく、とっても軽やか。肉の硬さや臭みもなく、けれど肉自体の旨味は豊かです。
〆には、米・食味値鑑定コンクールで最高得点の90ポイントを獲得したこともある店主栽培のコシヒカリの白米に、旨味が凝縮したぼたん鍋の汁と、半熟に仕上げた玉子をのせていただきます。味噌スープは元々出汁をとっていないそうですが、天然の湧き水にイノシシと野菜類から出たうま味があふれ、大変コク深い味わい。ブレンドされた味噌の奥行きある味もあいまり、白米が進んでしまいます。
イノシシ肉のクオリティだけでも突出しているのに、それ以外の食材にも抜かりがない〈いわや〉。このお店のためだけに丹波篠山に訪れる人がいることにも納得です。
〈いわや〉
兵庫県丹波篠山市火打岩495-1
079-552-0702
11:00〜20:00(LO)
木休(4月〜9月のみ)
公式サイト
800年の歴史を持つ丹波焼を作る工房へ。
〈大雅工房〉ショップ外観。
丹波篠山は「日本六古窯」と呼ばれ、平安末期から続いた日本古来の伝統技術を継承しつつ、海外からの評価も高い、日本でも有数の古い焼き物の産地。丹波篠山市の西に位置し、広葉樹で溢れる里山に囲まれている今田地区には、800年以上もの歴史を持つ焼き物「丹波焼」の窯元がたくさんあり、現在も約50軒の窯元と昔ながらの登り窯を見ることができます。
工房にはショップが併設されていることも多いので、せっかく丹波篠山に訪れたなら実際に手にとって焼き物を選んでみては?
〈大雅工房〉のマグカップ。
〈大雅工房〉のビアグラス。
今回訪れた市野雅彦さんが手がける〈大雅工房〉の器シリーズ「TAIGA」は、丹波焼でありながらポップでカラフル、モダンなデザインが特徴的。
〈俊彦窯〉のカップ&ソーサー。
〈俊彦窯〉のお皿。
〈俊彦窯〉のお椀。
〈俊彦窯〉ショップ外観。
清水俊彦さんが手がける〈俊彦窯〉の器も、温かみがありながらも優しい発色で使いやすいデザインのものが揃います。
〈大雅工房〉
兵庫県篠山市今田町下小野原837
079-597-2010
9:00〜18:00 (12~2月は〜17:00)
無休
〈俊彦窯〉
兵庫県篠山市今田町上立杭396
079-597-2647
9:00〜18:00
無休
丹波焼の歴史を〈丹波古陶館〉と〈兵庫陶芸美術館〉で学ぶ。
〈丹波古陶館〉外観。
〈丹波古陶館〉内観。
〈丹波古陶館〉内観。
〈丹波古陶館〉内観。
丹波焼の歴史をより知りたくなったら、美術館や博物館へ。
江戸時代そのままの姿で商家が立ち並ぶ一角に佇む〈丹波古陶館〉では、丹波焼創世記から江戸時代末期に至る800年間に作られた代表的な品々が、年代、形、釉薬、装飾などに分類して展示されています。
〈丹波古陶館〉
兵庫県丹波篠山市河原町185
079-552-2524
10:00〜16:30
月休(祝日・振替休日の場合はその翌日、8月20日〜31日、12月25日〜1月3日も休み)
公式サイト
〈兵庫陶芸美術館〉では、幅広く内外の陶芸作品を紹介する「特別展」と、丹波焼や県内産陶磁器をはじめとする2,000点余りのコレクションを紹介する『テーマ展』を開催。また、土練機や電動ロクロ、電気窯、ガス窯などの設備が揃う工房もあり、実際に陶芸体験やワークショップに参加することもできます。
〈兵庫陶芸美術館〉
兵庫県丹波篠山市今田町上立杭4
079-597-3961
10:00〜18:00(GMは〜19:00、7月の土日は9:30~19:00、いずれも入館は閉館の30分前まで)
月休
公式サイト
センスが光るクラフトグッズが揃うセレクトショップ〈archipelago〉。
〈archipelago〉内観。
取材時はブックフェアを開催。
〈archipelago〉外観。米倉庫をリノベーションした建物。
丹波焼だけでなく、素敵なクラフトグッズをもっと見てみたくなったら、セレクトショップ〈archipelago(アーキペラゴ)〉へ。2016年にオープンした同店には、アパレルブランド出身の小菅ご夫妻がセレクトしたセンスの光る品が揃います。
「霧の朝/ジャム(丹波黒大豆)」(864円)など丹波篠山の名産品も扱う。
陶器類もディスプレイ。
陶芸品や書籍、雑貨や衣服、食器なども揃うほか、「霧の朝/ジャム(丹波黒大豆)」など丹波篠山の名産食品もラインナップ。クリエイティブ系職種を中心に県外から訪れる人も多い、おしゃれなセレクトショップで丹波篠山土産を選んでみるのも良さそうです。
〈archipelago〉
兵庫県篠山市古市193-1
079-595-1071
11:00〜17:00
水〜金休
公式サイト
城下町に佇むゲストハウス〈Taos〉で古き良き日本の暮らしを体感。
〈Taos〉外観。
〈Taos〉の目の前には小川がせせらぐ。
丹波篠山には集落や古民家を利用した宿泊施設が多くあり、「丹波篠山らしい暮らし」を体感する宿泊施設として運営されています。城下町の小川の畔に佇むゲストハウス〈Taos(タオス)〉もその一つ。
〈Taos〉1階リビング。
〈Taos〉の1階廊下。中庭が見える。
薪火野カンパーニュ、コーヒー、蜂蜜、季節のチーズがセットの朝食(700円)。用意されているものを翌朝温めていただくスタイル。〈丹波岩茶房ことり〉の中華粥メニューもあり。
古い城下町の路地、篠山のまちを楽しむ宿として、小川のせせらぎや鳥の声、季節を楽しめる草花や庭を満喫できます。また、宿での調理も可能。地元の器や作家さんの家具も気軽に使えます。
〈Taos〉
兵庫県丹波篠山市呉服町75-5
079-506-9072(9:30〜18:30)
公式サイト
次のお出かけは、心がほころぶ丹波篠山へ。
歴史や文化もあり、自然も豊かで京阪神からのアクセスも良好な丹波篠山。次の旅行先候補にしてみてはいかがでしょうか?
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