弘中綾香の「純度100%」~第48回~
Hanako.tokyo / 2021年4月9日 7時0分
ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。お待たせしました、通常連載の再開です!今回は子どもの頃から大切にしているという、ある時間について。
「時間が無いときこそ、必要な時間」
最近は時間が無くて…と言い訳をするが、私は小さい頃から本を読むのが好きだ。明確なきっかけや理由があったわけではないのだけど、比較的本好きな両親の元で育ったので本はいつも身近にあったし、図書館にもよく行っていた。
好きだったのは、「かいけつゾロリ」「こそあどの森の物語」「名探偵夢水清志郎」シリーズ「ダレン・シャン」「ハリーポッター」シリーズなどなど。ファンタジーや海外の作品が好きだった。あとは、世界や日本の偉人の伝記仕立ての教育系漫画もなぜかよく読んでいた。昔取った杵柄というのか、あの時期に読んで学んだ知識だけで今クイズ番組に出ているようなものだ。とにかく子供向けのあらゆる本を読みつくしていた気がする。
学校の図書室ではもう読むものがなくて、というか興味を引くものがもう残っていなくて、なぜだか『源氏物語』を読んだ記憶もある。もちろん現代訳版だけれど、小学生の私には光源氏の言動が全く理解出来なくて(まあ、あのプレイボーイぶりには今でも理解が追いつけないが)、なんでこれが教科書に載るんだろうって思ったことを覚えている。でもとにかく物語というものが好きだった。想像の世界の中への没入感。
そんな本好きが高じてか、文字を読むスピードだけはあまり人に負けたことがない。国語や現代文の試験のときに、長文読解の設問でいつも一番早くページをめくっていたのは私だった(今更の自慢をぶち込みましてすみません)。訓練された速読ほどのスピードには到底およばないが、ハードカバーでも1時間ちょっとで読めることは特技と言っても良い気がしている。とはいえ、年を重ねていくにつれて自分が自由に使える時間も少なくなっていくし、その割にやらなきゃいけないことが出てくるから、中々読書にまで時間が回らないことが多い。
けれど、やっぱり頭をリフレッシュするというか、ごちゃごちゃとした現実とか考えなきゃいけないことからエスケープするために必要な時間。読書というと何かを新しく学ぶインプットと捉えられがちだけど、そんな高尚な時間ではなくて、私にとってはシンプルな息抜き、その場で出来る現実逃避。異世界に連れて行ってくれることもあれば、はたまたこの世界でこんな考え方があるんだ、と新しい風を運んできてくれることもある。自分の視点ひとつだと息が詰まりそうだから、意図的に本を読む時間を作るようにしている。
うってつけなのは、近頃にわかに増えてきた、コーヒーショップと本屋さんが併設されているお店。コーヒー片手に座りながら試し読み出来るなんて最高の場所だ。気になるものを何冊か選び、最初の方をチラッと読む。だいたい最初の何十ページかで好みか好みじゃないかは分かるので、好みなものだけ買って帰る。でも、だいたい自分が面白いと思った本は止めることが出来ずにそのまま読み終えてしまうので、忘れたころにもう一回読む。
話は逸れるが、本ほど見かけや話題性で買って面白くなかったときに凹むものはない、と思いません?ネットで買って、届いたものを読んでみて「違う」と思ったときの絶望感。かさ張るし。だから面倒でもなるべく本屋さんに行って買うようにしているのだが、最近はグッとくる作品に出会っていなかった。
…でも、先日久しぶりに出会えました。一つはもともと好きな作家さんの新作。もう一つは漫画なのだけど、15年ほど経って再会した名作。この二つについては、改めて次回ご紹介させてください!
次回:2021年4月22日更新予定
photo:moron_non
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【弘中のひとりごと】
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