“私らしく”生きる女性たち。#02『全ての人が緩急をつけて働ける世の中を。』GoodMorning 代表取締役・酒向萌実さん
Hanako.tokyo / 2021年6月15日 16時58分
誰かが生きづらい世界ではいつかきっと、自分もつまずいてしまうだろう。そのことに気がつき、動き始めている3人の姿。今回は、GoodMorning 代表取締役・酒向萌実さんにお話を聞きました。
アパレル業界から転職し、社会問題の解決を仕事に。
「政治に参加したり、社会のシステムを変えるためにできることは、〝投票〞以外にもあるんです」そう語るのは、クラウドファンディングサービス〈GoodMorning〉の代表取締役・酒向萌実さんだ。「誰の痛みも無視されない社会に」をビジョンに掲げるこのサービス上のプロジェクトを「女性」というキーワードで検索すると、女性アスリートによるフェムテック開発や、性犯罪についての刑法改正を目指す団体の支援、妊婦のためのオンライン助産師・栄養士相談サービスの実現などのプロジェクトが並ぶ。
酒向さんは〈GoodMorning〉がまだ〈CAMPFIRE〉のサブブランドだった頃に社会問題の解決に興味を持って入社。分社化するにあたって代表就任を提案された。25歳だった。「会社の社長って何をするの?と思って調べても女性の事例はあまりなかったし、身の回りにも少なかった。これで自分がヘマをしたら、“女性だから”“若いから”と思われてしまうかもしれないと、前例があまりないなかで自分がその役割を担うことの重責を感じてしまって……。だから迷ったのですが、事業責任者として、誰よりもこのプロジェクトのことを考えてきたという自負があったので引き受けました」
全ての人が緩急をつけて活躍できる社会を目指す。
当時は取材を受けるたびに「若手女性社長」と形容されることでプレッシャーが増していったそうだ。「確かにそうなんですが(笑)、それだけ珍しいことなんだと再認識しました」と酒向さんは振り返る。
「ジェンダーギャップ解消のためにはまずは管理職割合など人数の均衡に取り組み、事例を増やす必要があると思います。そもそも女性がやると想定されていない仕組みのなかで、自ら『やりたいです』と手を挙げること自体、簡単ではありません。例えば、私はすごく生理痛が重いのですが、毎週の会議に、生理の週は体調が万全でない状態で参加しなければならないことも多いです。周りがほとんど男性だと『自分だけ4回に1回こんなに苦しい思いをしなきゃいけないのは辛い』と思ってしまって……」その状況に限界を感じて、まずは自分の身近なチームメンバーに伝え、サイクルに合わせてスケジュールを調整するようにした。
「急に休んで迷惑をかける方が嫌だったので、カレンダーに記入してその日のスケジュールを緩くしました。チームには男性もいますが、今は私が生理2日目の朝が一番辛いことを理解してくれているメンバーもいます。女性メンバーも、オープンに自分のサイクルについて話ができるムードになってきているのを感じます。コンスタントに仕事のパフォーマンスを出し続けるのがプロだという人もいるけれど、無理なものは無理。毎月ある波をないことにはできません」体調や気持ち、ライフイベントに伴う波は、女性だけでなく男性にもあるもの。
「アクセルを全踏みし続けなければならない社会では、女性の“いつ子供を産めばいいのか分からない”、男性の“育休が取れない”という多くの人が今抱えている葛藤を解決できません。女性も男性も、人生の中で緩急をつけて働く働き方が当たり前の社会になれば、家庭内の家事分担や男性の育休取得率だって改善していくんじゃないかと思います」
【Biography】
・2012ー国際基督教大学(ICU)に入学する。
・2016ーアパレル企業に入社。販売職として勤務する。
・2017ー〈CAMPFIRE〉に参画。〈GoodMorning〉立ち上げに携わる。
・2018ー〈GoodMorning〉の事業責任者に就任する。
・2019ー 〈GoodMorning〉が分社化し、代表に就任。
Profile…酒向萌実(さこう・もみ)
ソーシャルグッドに特化したクラウドファンディングサービス〈GoodMorning〉を運営する。
(Hanako1197号掲載/photo : MEGUMI, text : Mariko Uramoto edit : Rio Hirai(FIUME Inc.))
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