「神様の乗り物?「お神輿」の魅力を、浅草の老舗〈宮本卯之助商店〉で徹底解剖!」/MARIKOの、神社 de デトックス!
Hanako.tokyo / 2021年7月14日 12時0分
日本のお祭りと言えば「お神輿」!現在はお神輿も自粛が続いていますが、何とお神輿って神様の乗り物なんです。そんなお神輿を間近に見られるお祭は、神様に最も近づくまたとない機会!今回は創業160年を迎え、お神輿や和太鼓などの製作で日本の伝統芸能を支えてきた浅草の〈宮本卯之助商店〉へ。普段はなかなか知ることのできないお神輿の魅力について伺います。
宮内庁御用達!浅草の老舗へ。
今回、伺ったのは浅草の〈宮本卯之助商店〉。毎年五月に行われる〈浅草神社〉の「三社祭」での「宮神輿」をはじめ、全国の神社仏閣のお神輿の製作や修復を手掛ける宮内庁御用達の老舗です。伝統を守るのみならず、海外でも和太鼓の魅力を発信するなどグローバルな展開も。ちなみに私も過去に三社祭に参加しましたが、粋な江戸っ子とお神輿の華麗さは圧倒的!その迫力に引き込まれてしまいました。
実はお神輿は神様の乗り物。神社にとって最も大切なお祭りである「例大祭」ではお神輿に神様が乗り移り、氏子地域を回る「ご神幸(しんこう)」を行います。お神輿に乗った神様は「御旅所(おたびしょ)」という神社やご祭神にゆかりのある場所を巡り「渡御(とぎょ)」をするんです。ちなみに、激しくお神輿を揺らすのは「魂振り(たまふり)」といって神様の霊威をより一層高めるためなのだとか。
お神輿を見るポイントは?
そもそもお神輿って、どう見るものなんでしょう?「お神輿には神様の御御霊がいらっしゃるので、本来は見上げるものです。作る時には、見上げた時に美しく見えるよう、四方どこから見ても顔になるように心掛けています」と話すのは、八代目代表取締役社長の宮本芳彦さん。確かに、人々の熱気渦巻く中心で高々と掲げられ、太陽を浴びるお神輿の美しさは目に焼き付くほど。お神輿の美の神髄は見上げてこそなんですね…!
過去の三社祭の様子。お神輿の煌めきと担ぎ手の熱量のすごさ…!
「屋根」「堂」「台輪」で構成されているお神輿は、各神社の「建築様式」に則って制作されることが多く、まさに “小さな神社” そのもの。宮本卯之助商店が手掛けた浅草神社の「宮神輿」は、従来よりも屋根の曲線がなだらかで、堂がきゅっとスリムで美しい比率であることがポイント。また、宮本卯之助商店のお神輿は、屋根の上の鳳凰の羽が水平であるのが特徴です。
元々、鳳凰のお神輿は「鳳輦(ほうれん)」という天皇のための乗り物でもあったのだとか。
屋根の四隅から伸びる「蕨手(わらびて)」は、繊細な装飾が魅力。
一基のお神輿は、約20人もの職人さんによって一年掛かりで作られます。ケヤキやヒノキなど「木地」のセレクトから始まり、「組木」という釘を一切使わない骨格造りまで。ちなみに、屋根部分の「漆塗り」では、約20工程もの繊細な作業を経て、彫刻や彫金が施されるのだといいます。こんなところに注目しても面白いですね。
宮本卯之助商店が初めて取り入れた「三味線胴」。正面には「朱雀」の彫刻が。
担ぐ際の土台となる台輪では、丸みがある「三味線胴」というデザインを宮本卯之助商店が初めて取り入れました。台輪の四面には東西南北それぞれに「青龍」「白虎」「朱雀」「玄武」の四神が彫刻されます。ちなみにお神輿の正面は神社と同じく南向き。ですから正面の台輪には南を護る「朱雀」が彫刻されているんです。お神輿の彫刻は神社の由緒や歴史をテーマに凝ったものも多く、ぜひ間近で観察してほしいとのことでした。
神輿造りは、世代を超えたバトンタッチ!?
工房には新人の若い方から40年以上にもなる大ベテランの職人さんまで、実にさまざま。
職人さんの作業場は、それぞれに個性が。
宮本卯之助商店には「重義」という社是があります。これは、“義” を “重” んじ、正しいことを行うという意味で、目先ではなく長い目で見て良い仕事することに繋がります。通常、20~30年ごとに修理に出されるお神輿については、「過去から現在の職人に理念がバトンタッチされるということですね」と宮本さん。
お祭りの開催自体が難しい中ではありますが、「大切なのは、祭の本義を変えないこと。神様が氏子地域を巡り「五穀豊穣」などを祈るという、祭本来のあり方を守りながら、現在の生活に合わせた新しいカタチを一緒に考えていきたいですね」と話してくださいました。神様と人のエネルギーが一体となることこそがお神輿の魅力。カタチは変わっても、ぜひまた開催されますように…!
参照文献:『神社のいろは 神社検定公式テキスト1』
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