『わたしはこうして起業しました。』女性起業家たちのきっかけと資金集めの方法とは?
Hanako.tokyo / 2021年8月28日 18時0分
働き方改革の影響か、はたまたコロナ禍がきっかけか。ダブルワークをしたり、自分の才能を開花させたり。様々な「夢」を実現させた人たちに、そのきっかけや想いなどを聞いてみました。
1.【資金:特別定額給付金、みちのく・ふるさと貢献基金などを活用】学生時代のアルバイトで特許を取得して起業。/〈bloomin〉代表取締役社長・黒田和瑚さん
青森県黒石市ののどかな田園風景に、ひときわ目を引く一台の赤い車。黒田和瑚さんが代表を務める〈bloomin〉のキッチンカーだ。
資金:特別定額給付金、みちのく・ふるさと貢献基金などを活用
スライスした赤い果肉のりんごを、バラの形にして急速冷凍。その技術で特許を取得したのは、当時まだ大学生だった黒田和瑚さん。「市内の冷凍加工会社でアルバイトをしていたとき、赤い果肉のりんごは酸化が進みやすいという課題に直面し、急速冷凍することに。バラに見立てた『アプローズン』を開発したことで、無添加のりんごの味をそのまま届けられるようになりました」
黒田さんが〈bloomin〉を起業したのは、大学4年生だった昨年7月。資本金は、新型コロナウイルス感染症の経済対策として受給した特別定額給付金を充てたほか、アルバイトしていた冷凍加工会社、りんごの生産者に協力してもらったという。また、県内各地へ「アプローズン」を使ったスイーツを届けられるようにと、赤いキッチンカーを製作。これには、青森県内の事業を支援する「みちのく・ふるさと貢献基金」の地域振興助成金を活用した。「都内での催事や、県内のカフェ、キッチンカーなど、さまざまな場所でアプローズンを展開していきます」
Profile…黒田和瑚(くろだ・わこ)/第19代ミスりんごあおもり。2020年、黒石市で加工食品販売会社〈bloomin〉を設立した。最新情報はInstagram(@bloomin_wako)をチェック。
(Hanako1199号掲載/photo : Jun Nakagawa, Yuji Hachiya, Yoichi Nagano text : Yoshie Chokki, Chihiro Kurimoto, Keiko Kodera)
2.【資金:アルバイトで稼いだお金】10年でたどり着いた、自分で作ったものでお金を稼ぐ。/縫いぐるみ作家・SOBOROさん
誰をも虜にする、愛らしい表情と温もりあるボディ。縫いぐるみ作家、SOBOROさんの生活を支えるのは、彼女が生み出す“子供たち”。
この道に出会うまでは、アルバイト生活をしていた。「竹竿職人の両親に幼い頃から“自分の作ったものでお金を稼ぎなさい”と言われていて。でも何ができるのか、ずっと見えなかった。会社員が不向きなのは気づいてたけど(笑)」34歳のとき、アルバイトで稼いだ数万円を元手に、自作の縫いぐるみをSNSを通じて発信、販売。すると、驚くほどの反響があった。翌日にはバイトを辞め、作品の売り上げのみで生計を立てることを決意。SNSでの手応えが彼女の背中を押した。「起業家ではないので、助成金に頼ることは頭をよぎらなかったですね」
現在、販売価格は1体6万5000円。妥協しないためにかける時間を換算しているだけでなく、ドイツ製のウールやアルパカなど、使う素材のクオリティを追求するからこそ。値段にはきっちり裏付けがあるのだ。「作家として食べていく以上、作品の価値を上げていくことは命題です。この金額で売れないのなら、仕事として成立しないと覚悟をもって日々取り組んでいます」
Profile…SOBORO(そぼろ)/東京藝術大学卒業、同大学院修了。その後は約10年間、アルバイトをしながら道を模索。2017年頃より今のスタイルに。Instagram:@sobokoara
(Hanako1199号掲載/photo : Jun Nakagawa, Yuji Hachiya, Yoichi Nagano text : Yoshie Chokki, Chihiro Kurimoto, Keiko Kodera)
3.【資金:クラウドファンディング】“個”でなくチームみんなで。参加型支援で鎌倉を元気に。/援農プロジェクトチーム・ニュー農マル
肥沃な土地で自然の恵みを受けて育つ鎌倉野菜。いま、地元の食文化を支えてきた農業を支援するプロジェクト「ニュー農マル」が注目を集めている。“参加型支援”を活用し、地域活性を叶える秘訣とは?
ニュー農園では牡蠣の殻や竹炭といった肥料を活用し、“畑育”に挑戦。
「ニュー農マル」の拠点となっているのが鎌倉の野菜直売所〈かん太村〉。地元でとれた野菜のほか、弁当の販売なども行っている。
軒先に季節の地野菜が並ぶ。地元以外から買い物に訪れる人も。
鎌倉で持続可能な“農”をサポートするという目的のもとに「ニュー農マル」のプロジェクトがスタートしたのは、昨年8月のこと。リーダーの河野竜二さんは、もともと湘南や鎌倉で、環境問題をテーマにしたイベントの企画運営などに携わっていたが、コロナを機にかねて関心のあった地元の農業支援に本格的に取り組むことにした。
生産者をサポートしたいという思いから、まずは「ニュー農マル」の活動に賛同してくれるメンバーを募るとともに、クラウドファンディングでの資金調達をスタート。第一期の目標設定額を200万円とし、集まった支援金をいかに活用するかをメンバーとともに話し合った。クラウドファンディングといえば、個人が何かしらの目的を持つ個人に対して支援をするというイメージがあったが、さまざまな仕事を持つメンバーが活動に賛同してくれたことで、河野さんは「チームで取り組めば、より強い発信力を持つことができると思った」と話す。
地域と農業の活性を目指した参加型の支援。そこには豊かな暮らしにつながる希望がある。
Profile…ニュー農マル(にゅーのうまる)/“援農”をテーマに2020年に発足。クラウドファンディングを活用した資金調達や、ユニークな返礼サービスも話題に。現在、サポーターズクラブのメンバーを募集中。詳細は、@new_nou_malにて。
(Hanako1199号掲載/photo : Jun Nakagawa, Yuji Hachiya, Yoichi Nagano text : Yoshie Chokki, Chihiro Kurimoto, Keiko Kodera)
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