弘中綾香の「純度100%」~第58回~
Hanako.tokyo / 2021年9月10日 7時0分
ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。今回は雑誌の撮影について。
(photo : Yasutomo Sampei styling : Yui Funato hair&make : Akemi Kibe [PEACE MONKEY])
「手元に置いておきたくなる」
2年ほど前から、雑誌のお仕事をやらせていただくようになった。こういったテレ朝以外のお仕事は会社が私を売り込んで仕事を持ってきてくれるわけではなく、オファーを頂いて出来るものなので、色んな雑誌からお声掛けいただいてとてもありがたく思う。こんな風に外のお仕事が出来るようになったきっかけは、Hanakoのメイク企画ページだと私は踏んでいる。ウェブでの連載はその前からやっていたけれど、そのページで誌面に初めて登場した。おととしの秋口発売の号である。秋冬に向けたメイクの企画で、メイクアップアーティストの河北裕介さんにとびっきりお洒落なメイクをしてもらった。いつもテレビの仕事のときはセルフメイクなので、プロにやってもらうというだけでも特別な体験だし、それがあの有名な河北さんだなんて夢みたいな話だった。カメラマンはこの連載の写真も撮ってくださっている三瓶康友さん。とってもユニークな方で、何をどうしたらいいかわからず棒立ちの私にポージングを自らやって教えてくれた。そんな素材をおしゃれな誌面に仕上げてくれたのはもちろんHanakoチームの皆さんで、出来上がりのページを見て、色んな分野のプロが力を尽くすとこうも素敵なページになるんだなあと思ったのを覚えている。
そんなHanakoの出来が良かったのだろう(自分で何度も言うな!)。そこから色々な女性誌や美容誌にお声がけいただくようになって、ファッション企画から仕事に関するインタビューや対談まで様々なページに参加させていただいている。最初はもちろん緊張していたけれど、どこの現場に行っても女性の割合が多く雰囲気が良いので、すっかり居心地よく思えるようになってきた。皆さん和気あいあいとお菓子を食べながら他愛のない話に花を咲かせていることもあり、私にとっては最新の流行りの情報をゲットする格好のチャンスであったりもする。テレビの現場はもうちょっと殺伐としているというか(笑)、制作のスタッフも撮影のクルーも大人数で男性が多いことがほとんどだし、時間にも追われているし、もうちょっとサバサバした感じなのである。ほかに細かいところで言うと、お弁当が全然違う。テレビは揚げ物とか中華とかガッツリ白飯を食べられるようなおかずがどーんとのったお弁当が用意されているのに対して、雑誌は野菜やフルーツがてんこ盛りの見るからに体に優しそうなケータリングを用意してくださっている。飲み物も見たことのない洒落たお茶が置いてある。どちらもおいしいのだけれど、それぞれのキャラクターが出ていて面白いのだ。
今の10代の子たちは雑誌を読まないと聞くけれど、私が高校生や大学生だったときは毎月のように何冊も雑誌を買って、載っている情報を抜け目なくすべて頭に入れるように隅から隅までくまなく読んだものだ。雑誌に載っているアイテム=オシャレ、というのは私たちの揺るぎない価値観で、親からの誕生日プレゼントとかお年玉で買うものといえば、誌面で見つけた流行りのものだった。なりたいアイコンは〇〇専属モデルの誰々、に出てる誰々、ってクラスメイトのみんなが憧れるようなメディアだった。そんな思い出があるからこそ、雑誌に自分が載っているのを見るとなんだか気恥ずかしさでいっぱいになる。オファーをいただくたびに私でいいのかしら?と不安になる。でもやっぱり、ものすごくうれしい。
インターネットとデジタルデバイスで色々な情報を知ることが出来るような時代にはなったけれど、1ページ1ページめくるたびに何が書いてあるんだろう?とワクワクするような気持ちと、読み終わったのに手元に置いておきたくなる気持ちは若い子たちにも味わってもらいたいと思うのだ。
【弘中のひとりごと】
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